知らぬ間に皮膚に菌が繁殖 ー「 でんぷう 」という病気


痛くもかゆくもなく、自覚症状まったくなし。知らない間に真菌の一種 ( カビ ) が背中に広がっていました

それは癜風 ( でんぷう ) という、聞いたこともない皮膚の感染症でした。いったいどんな病気なのか、どんな薬をもらったのか紹介します。勧められたシャンプーは真菌が原因のフケ症にも良いので、併せてお届けします。

褒められた直後に 「 あら ! 」

この病気が発覚したのは、健康診断で皮膚科 Bőrgyógyászat を訪問したからでした。( 私はハンガリーで民間の保険に加入していて、提携するプライベート病院で健康診断を年に 1 回、無料で受けることができます。)

まずは一通りの問診を受け、視診に。指示に従いほぼすっぽんぽん状態になったので、女医さんでよかったと心から思っていたら……。

先生は私のからだを正面からしげしげと眺めて、「 まぁ、こんなきれいな肌、見たことないわ!」

予想もしなかった言葉に驚き、「 え、そうですか ? 」ともじもじしていると、「 本当よ!本当にきれい 」と繰り返す先生。感嘆とも言える声に、恥ずかしいのを通り越してちょっと怖くさえなりました (笑)

しかし先生、今度は私の背中を見て「 あら ! 」と。

いきなり白衣のポケットからスマホを取り出し、カシャっと撮影。なにが起こっているのかわからず不安になっていると、

「これ、pitiriázis verzikolor になっているわ。」 スマホに納めた画像を私に示したのでした。

診断書。英語ではPityriasis versicolor、tinea versicolor。Photo by Ako

癜風ってどんな病気 ?

ピティリアージス・ヴェルジコロル ?

初めて聞いた言葉に狼狽していると、先生は「 gomba ( ゴンバ = カビ、真菌 ) が起こす病気で、versicolor ( 変色 ) という言葉通り、皮膚の色が茶色くなったり白くなったりするの 」と説明してくれました。

確かに、画像で示される私の背中の下の方は、うっすらと不規則な茶色に。

わかりやすいように拡大、コントラストを強めに出しています。日焼けによるシミと間違えやすいですが、違います。Photo by 夫

「 カビなのに痛くもかゆくもないんですね ? 全然気づきませんでした 」と伝えると、ゴンバのせいでメラニン合成ができなくなるだけなので、そういう症状はないとのこと。

いったい日本語ではなんと言うのか、診察後に早速検索。すると、癜風 ( でんぷう ) という聞いたこともない ( そして絶対読めない )  病名がでてきました。俗称は黒ナマズ、ナマズ。先生が言っていたゴンバは、正確には癜風菌という種類。

かなり一般的な病気でありながら、気づかないことも多く、あまり知られていないようです。

この菌は、通常は無害で、誰の皮膚にでもある程度の量はいます。ただ、高温多湿環境や、妊娠、低栄養素、免疫系の機能低下などがあると一部の人は発症してしまうのだとか。

私は皮膚がとても弱いので、それも影響したのかもしれません。過去には、家族の中で 1 人だけ疥癬 ( かいせん、ダニの一種「ヒゼンダニ」が寄生し起こる ) にかかり、あまりのかゆさに地獄の体験をしたこともあります。

先生によると、感染症と言っても弱いため、家族に移すことはないとのこと。安心しました。

処方された薬

私が処方されたのは、Terbinafin WAGNER というスプレー。調べたところ、テルビナフィンは、抗真菌薬として用いられる有機化合物の一種でした。

朝晩 1 回ずつ患部に吹き付け、2 週間続けます。Photo by Ako

パッケージを見ると足の絵白癬 ( 水虫・たむし ) にもよいようです。ただしこれは市販薬ではなく、医師からの処方箋がないと買えません。

シャンプーはフケ症の人にもおススメ

もう一つ、先生に買うように言われたのは Nizoral ( ニゾラル )  というシャンプー。

中はショッキングピンク。泡立ちは悪くないものの、使用後はリンスをしないとかなりきしみます。少量ですが 3800Ft ( 約 1300 円 )と結構なお値段。Photo by Ako

Sampon ( シャンプー ) ではありますが、頭から腰まで使い、1 – 2 分たったらお湯で流します。頻度は 1 週間に一度、とりあえず 1 か月続けて様子を見るようにと。

回復しても再発することが多いので、その場合はまた使うように言われました。

Nizoral は、処方箋なしで、薬局やドラッグストアで購入可能です。パッケージを見ると、korpásodás ellen との表記。つまり真菌が原因のフケ対策に、ということ。

有効成分はケトコナゾールという、真菌症の治療に使用されるイミダゾール系合成抗真菌薬の一つ。白癬、カンジダ症、脂漏性湿疹の治療に用いられています。

調べてみたら、日本にもニゾラールというクリームがありました。

皮膚の病気になりまして

2018.05.16

実のところ、私は不快な症状が皆無だったのと、もともと病変部が目立たなかったため、深刻な気分にはまったくなっていませんでした。

ただ検索中に、無数の斑が大きく広がった画像の数々に遭遇。もしかして放置していたら大変なことになる? とせっせとスプレーもシャンプーもしました。

ゴンバの診断を受けてから 2 週間半。正常な肌と見分けがつかないくらいにきれいになりました。これなら先生に、正面からも背面からも褒められるかもしれません ! ( ちょっと怖いけど !! )


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ABOUTこの記事をかいた人

鷲尾亜子

1997年よりハンガリー在住。日本とハンガリーでの新聞記者の経験を活かし、現在、Twitter では「 ハンガリーのニュース 」、また政治経済ニュースレター「 ハンガリー経済情報 」( 有料 ) を配信中。