「フロント ( ” front ” )」 ハンガリーに来てからよく聞くようになった言葉です。体調不良の際、よく悪者扱いされています。
最初の頃は、「そうかなぁ」と疑心暗鬼でしたが、在住歴が長くなった今では私もよく使っています。
「フロント」とは何者 ? その正体や、つきあい方についてまとめました。
なんでもかんでも悪者
「フロント」とは「気圧」のことを指します。
ハンガリーでは、こんな感じで会話に登場。
「頭が痛い・・・」→「それはきっとフロントよ」(友達)
「今日はボーっとして、やる気が出ない」→「それはきっとフロントだよ」(同僚)
「今日は赤ちゃんがぐずってばかり」→「それはきっとフロント!」(おばあちゃん)
このように犯人扱い率がものすごく高いです。
特に、お天気が崩れそうなとき ( = 低気圧がくる前の気圧の変化 ) に症状が出るようです。
ハンガリー人は、「フロント」について話しだすと皆さん盛り上がりますね。自分の頭痛の方が天気予報よりも正確、と言う人もいるくらいです。
「気圧」が体に与える影響
実際のところ、気圧は本当に体に影響を与えるのでしょうか?
調べてみると、出てくる出てくる! ハンガリー語のみならず、英語でも日本語でも、情報はネットで大量にあります。
日本でも近年、「気象病」、「お天気痛」、「低気圧頭痛」など、認知度は上昇中。
日常生活では意識しませんが、地球上には空気の圧力があり、私たちの体にも当然それはかかっています。天気が変わると、気圧も変化。私たちが受ける圧力も変わるというわけです。
頭痛の場合によく言われるのは、
低気圧により、身体にかかる圧力が下がる
↓
全身の血管が緩む
↓
脳の血管も膨張し血流に変化をもたらす
↓
頭痛を誘引しやすい。 ( ただし高気圧への変化で影響を受ける人もいます )
その他、気圧の低下による自律神経のバランスの乱れが体調変化をもたらす、という説もあります。
ただし、調べれば調べるほど諸説あり。メカニズムは完全に解明されたはないようです。
確実に言えるのは、気圧変化の影響を受けるのは、すべての人ではなく、敏感な人のみということです。ハンガリーでは “ frontérzékenység ( フロントエールゼーケニシェーグ = 気圧に敏感 ) ” と呼ばれています。
対処方法
当地での一般的な頭痛への対処方法は、「とにかく早めに薬」、「カフェイン入りのコーヒー」、「水をたくさん飲む」、「ストレッチ」、「普段から十分な休息と運動」など。でも効果のほどは個人差もあり、千差万別です。
鎮痛・解熱剤 ( 頭痛、生理痛など ) : Aspirin、Advil、Algoflex、Panadol、Nurofen、Saridon、Rubophen
鎮痛剤 ( 生理痛、筋肉・関節痛など ) : Cataflam dulo、Algoflex、Voltaren
医者の友人のおススメは、「 頭痛日誌 」をつけること。
発症した時間、天気、気温、前日の睡眠時間、体調、食べ物や、頭痛の程度や場所、頭痛以外の症状 ( 吐き気、まぶしいなど ) を記録します。また、どんな対応法が、効果があったのか / なかったのかも記録。
これがあると自分のパターンをある程度把握でき、予防しやすくなるでしょう。
また、単なるフロントの影響ではなく、深刻な病気が潜んでいる恐れもあります。「 頭痛日誌 」があれば、医師の診察を受ける場合、より具体的に自分の症状が伝えられます。
最近では、スマホのアプリで気圧変化の把握が可能です。中には、気圧等から片頭痛、頭痛の発生危険度を予測してくれる便利アプリも登場。
地球上では気圧の変化はつきまとうもの。こうしたものをうまく利用しながら、「フロント」で気が滅入らないよう生活したいですね。
全国気象サービス ( OMSZ ) では毎日、気象変化が健康に及ぼす影響についての予報や情報 ” Orvosmeteorológia ” を提供しています。Orvos はドクター、meteorológia は気象学のことです。
ハンガリー語のみではありますが、melegfront ( 高気圧 )、hidegfront ( 低気圧 )、fejfájás ( 頭痛 ) という言葉を発見したらご用心ください!
Orvosmeteorológiaはこちらから