ペットボトル等のデポジット制度、ハンガリーでも開始に

2024 年 1 月から、ハンガリーではペットボトルや缶、瓶などの飲料容器の回収・保証金の返金制度が始まります。

自動回収機に持って行けば、1 本あたり 50 フォリントが戻ってくることに。どのような仕組みなのか、ご紹介します。

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制度のポイント

EU ( 欧州連合 ) では、プラスチック製品などをできるだけ長く使い、再利用、リサイクル、再生する循環型経済の推進に力を入れています。

例として、ペットボトルの回収率は 2025 年までに 77 %、2029 年までに 90% に引き上げることが目標。そのため、加盟各国がこのような回収・補償金の返金制度を既に導入したり、これから導入しようとしています。( 通常、「 デポジット制度 」と呼ばれます。)

ハンガリーもそうした政策に沿うため、2023 年 10 月に新たな制度を発表。これにより、2027 年までに飲料ボトルのリサイクル率 90 % を達成するのが目標です。

制度について、ざっくりまとめたのが以下となります。

 

制度のポイント

【 回収対象 】飲料用のペットボトル、瓶、缶、その他の容器 ( 容量は100㎖ ~ 3ℓ )。牛乳と乳製品のボトルは対象外。

 

【 回収場所 】売場面積 400㎡ 以上の食品小売店は、自動回収機を設置する義務が課されます。それより小さい小売店も、自主的に設置することは可能。また、人口 1000 人以上の自治体でも設置が義務付けられます。回収場所は REpont と名付けられます。

 

【 返金される保証金の額 】

▷ 再生利用はできるものの、そのままの形での使用は 1 回限りの飲料ボトル ( =リユース不可、Nem újrahasználható ) は 1 本につき一律 50 Ft。ミネラルウォーター、ジュース、ソフトドリンク、ビール、ワインなどが入った、ペットボトル、アルミ缶、瓶などです。

▷ 詰め替えて繰り返し使える瓶などのボトル ( =リユース可、Újrahasználható ) は製造業者が自主的に金額を決定。

 

【 開始時期 】 2024 年 1 月 1 日

 

【 運営者 】 MOHU Hulladékgazdálkodási Zrt. ( ハンガリー石油ガス会社 MOL の廃棄物回収処理会社。2023 年夏から、全国の廃棄物回収処理を行っています。)  各小売業者が MOHUと契約を結び、自動回収機を設置。お店により自動回収機の大きさや見た目は異なることがありますが、機能は皆同じになります。

 

次に、もうちょっと細かいことについて見ていきましょう。

 

回収・返金の対象品は、どうやって見分ければよいですか ?

保証金 50 Ft が戻って来るリユース不可のボトルには、下のようなマークが貼り付けられることになっています。

画像出典:ハンガリー官報 2023 年 10 月 4 日付 第141号

 

リユースが可能なボトル には、少し違うマーク。70 Ft はあくまでも例で、実際には商品ごとに違う返金額になります。

画像出典:ハンガリー官報 2023 年 10 月 4 日付 第141号

 

表示義務は、 2024 年 1 月 1 日以降に流通販売する商品が対象のため、制度開始直後は以前のものと混在することが予想されます。完全に新制度に移行するのは同年 7 月 1 日からです。

マークなしのボトルは回収対象外。引き続き、これまで通りの分別方法でゴミを出してください。

マーク付きのものを集合住宅のゴミ捨て場に出すこともできますが、返金される額を捨てていることになります。

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自動回収機の場所はどうやったらわかりますか ?

自動回収機は、Tesco、Spar、Lidl、Audi、Auchan、PennyMarket、CBA、Coop などの大きめのスーパーで設置されます。

MOHU によりますと、制度開始当初は全国 2000 か所、そのうち 4000 ~ 5000 か所に増える見込み。

MOHUは、近く新制度に関してアプリをリリースする予定で、その中に REpont の場所が一目でわかるマップも入るとのこと。

回収はどの場所でもよく、飲み物をもともと買ったお店に持って行かなければならない、ということはありません。

 

 

ペットボトルや空き缶はつぶして持って行った方がよいですか ?

つぶさないでください !!

返金できるかどうか識別するために自動回収機のシステムに登録されているのは、各ボトルの元の形状や重さ等だからです。

つぶすと、返金可能マークやバーコードが読み取れなくなる恐れもあります。ですので、そのまま持参してください。

キャップは外してください。

 

現金が返ってくるのですか ?

自動回収機から、50 Ft 硬貨がザクザク出てくるわけではありません。レシートのような引換券が出てくるので、それを店内のお買い物に使うことができます。現金が良い場合は、レジでその旨伝えれば受け取れます。

また、MOHU のアプリでは、自分のハンガリー国内の銀行口座に合計金が入金される仕組みもできるそう。

さらに自動回収機のディスプレイに表示されるオプションで、慈善団体への寄付を選択することも可能になる予定です。

 

 

これにより、飲料の値段はあがるのでしょうか ?

ハンガリーではこの制度のことを「 デポジット制度 ( betétdíjas rendszer ) 」という言い方はしていませんが、考え方は同じです。つまり、ボトルを買う時に料金  ( 保証金 ) が上乗せされ、飲み終わった容器を持って行くと料金が返却されるという仕組み。

回収に持って行けば返金されるため、表面上の価格が仮に 50 Ft 上がっても、消費者が損することはありません。逆に言えば、きちんと返さなければ損をします。そうやって回収への動機を高めるのが狙い。

実際に 50 Ft ぴったり上昇するのかどうかは、1 月にならないとわかりません。そのあたりは、メーカーや小売店がどう決定するかにもよるからです。ですが、値上げは確実とみられています。

 

 

返金額はずっと50 Ftなのですか ?

リユース不可のボトル回収については、2024 年の 1 年間はずっと 50 Ft です。

2025 年については、2024 年の 9 月 15 日までに決められることになっています。

 

 

今からペットボトルや空き缶をためておく必要はありますか ?

必要ないです。

回収対象のマークがついていない限り、自動回収機では引き取ってくれないからです。2023 年末まではこれまで通りの方法で処分し、翌 1 月 1 日以降から、捨てないでとっておいてください!

 

制度に関する政令:ハンガリー官報 2023 年 10 月 4 日付 第 141 号

参考にした記事:
2024. január 1-től új italcsomagolás visszaváltási rendszer lesz Magyarországon (MOHU, 2023年10月9日)
Felesleges már most gyűjteni a PET-palackokat, de elmondjuk, januártól hogyan működik a visszaváltás (HVG, 2023年10月6日)

ABOUTこの記事をかいた人

鷲尾亜子

1997年よりハンガリー在住。日本とハンガリーでの新聞記者の経験を活かし、現在、Twitter では「 ハンガリーのニュース 」、また政治経済ニュースレター「 ハンガリー経済情報 」( 有料 ) を配信中。