暮しの基盤となる『 住居 』。その揉めごとに巻き込まれると、心身ともに負担が大きくなります。でも、海外生活最初のビザ申請時に、滞在先アパートを確保しておく必要があるため、皆さん慌ててしまいがち。急がば回れ、少し立ち止まって、契約前にトラブルを未然に防いでいただければ幸いです。『 基本編 』では、ハンガリーでお部屋を借りる前に知っておきたい留意点を扱います。最後には、契約書を読む際に役立つチェックリスト付きです。
最重要点: 契約書をすべて読む
馴染みのない言語の国で、物件を探すのは至難の業。日本語が通じる不動産会社を探そうにもなかなか見つからないのが現状です。
賃貸契約のトラブルを未然に防ぐ最も大切なことは、契約書をきちんと読むこと。外国語で専門用語や難しい言い回しを理解するのは大変ですが、重要なポイントだけでも書き出しておくことは必要です。注意を払うのは当然のこと、と思われるかもしれませんが、確認不足や書類不備によってトラブルが引き起こされています。
例えば、契約書が賃主にとって都合のいい内容になっていた事例では、物件売却のため、借人が突然、退去命令を言い渡されたことがありました。( 家主の都合で退去をお願いする場合、通常は 1 ~ 2 か月前に通告するよう、契約書には記載されています。)
では、その確認不足、書類不備を無くすために、ハンガリーで不動産探しを経験した人たちはどのような対策をしているのでしょうか。
それは下記の2点。
- 通訳ができる方や不動産事情に詳しい方などに内見、契約時に同行してもらう
- 契約時には、必ず第三者を立ち会わせる
ハンガリー語や英語がどれだけ流暢であっても第三者の存在は重要です。
なぜ契約時に第三者が必要なのか

契約前には、なるべく内見してください。 Photo by Attila
借り手が外国人である場合、契約書は英語 ( 稀に日本語 ) で用意するのが一般的です。ハンガリー語がわからなくても問題はありません。万が一、家主がハンガリー語に精通していない相手に現地語のみの書類を渡してきた場合は、必ず英語版をお願いするようにしてください。それを拒むようであれば、そのアパートは借りない方が賢明です。
しかし、賃借人にとって英語が母語でないことは多々あります。第一の安全策は、通訳者にお部屋の内見、契約に同行してもらうことです。その目的は、円滑なコミュニケーションですが、それ以外にもあります。裏の理由は、内見時の家主や管理人の発言を聞き、ある程度の人柄や様子がわかるから。
また、ハンガリーで賃貸契約を結ぶ際は、契約書には本人以外に証人 ( 第三者 ) の署名蘭もあります。これが設けられていないケースは、要注意。証人といっても、金銭に関わる保証人ではありません。契約時にきちんと説明をしたかどうかを証明するための人物です。
そのため、適切な通訳者やハンガリーの不動産事情に精通した方など、契約時に第三者を立ち会わせることは非常に大切なのです。
大袈裟なと思われるかもしれませんが、実際にトラブルに遭われた方々の契約書を拝見すると、その多くは証人がありませんでした。ダブルチェックの意味でも、自分以外にもう一人、現場に立ち会える人を見つけましょう。
外国人にも対応している不動産会社はどこか
英語でのサービスを提供しているのは、主に大手不動産会社になります。ハンガリーで知名度が高いのは、DUNA HOUSE、Otthon Centrum、TECNOCASA など。オンライン上でも英語で賃貸物件を探すことができます。不動産会社を通す利点は、専属の弁護士がいること。契約書も法のスペシャリストが用意しますので、賃主と借主の間で起こるリスクは軽減されます。( お互いの要望によって内容を変更することはできます。)
その難点は、値段が割高になってしまうこと。そのため、特に学生さんは、個人で部屋を貸している方を探すことが多いようです。確かに、初期費用は下がります。その反面、個人契約の場合、その後に発生する出費が高くなる可能性があるということを心得てください。
契約書内のチェックリスト

契約書の内容を確認する際に、このチェックリストがお役に立てれば幸いです。次回は、具体的なトラブル事例をみていきながら、この一覧表を振り返ります。また内見時に注意しておきたいこともお届け予定です。
