日本から来ると、ハンガリー人の日々のチョコレート消費の多さに驚くかもしれません。
贈り物の定番で、一年を通してあらゆる場面で登場します。また、イベントがなくても、常備している家庭は多いです。
いったい、ハンガリー人はどれくらいチョコを食べている?
数字で見るハンガリーの第 3 回は、ここの人たちのチョコ愛ぶりについて、お伝えします。
「 チョコ帝国 」 -形を変え、品を変え年中登場
“ Apa, nézd ! Ott a csoki birodalom ! ”
― パパ見て! チョコ帝国が!
ある日、スーパーで買い物をしていると、女の子が目を輝かせて叫び、お父さんの注意を惹いていました。
叫んだ先を見ると、ウサギや卵の形をしたチョコが棚を占領。復活祭用でしたが、まだ 1 か月以上も前のことでした。
復活祭 ( イースター ) はキリストの復活を祝う行事。そこで欠かせないのは卵とウサギです。
諸説ありますが、《卵》は生命の源を意味します。そして、それを持ってきてくれるのが、子沢山で繁栄の象徴とされる《ウサギ》。チョコレートの卵やウサギは、フランスとドイツで19 世紀から始まったそうです*。
( *出典:BBC、Cadbury )
ただ、チョコレートは復活祭の時だけ多く消費されるわけではありません。
その他、どんな時に贈る習慣があるのでしょうか ?
● クリスマス
ハンガリーでは 12 月 6 日がサンタクロース ( Mikulás ) の日。
この 1 年間良い子にしていた子には、サンタが小さなプレゼントとチョコレートを持ってきてくれます。この時期は、サンタクロースに姿を変えたチョコレートで国は溢れることに。
● 誕生日
子どもの場合がメインですが、プレゼントの他に小さなチョコレート ( 板チョコやチョコバーなど ) を添えます。
私の息子が小さい頃は、誕生日パーティともなると、大量のチョコをいただきました。
● その他、ありとあらゆる行事
自宅での食事に招待された場合は、ワイン + 花 + 箱詰めチョコを持っていくのが一般的。
またお世話になった人々 ( 学校や習い事の先生、はたまた警備員さんや清掃職員さんなど ) 、年度末やクリスマスの時に渡します。
相手が男性の場合はお酒のみにすることも多いですが、女性ならチョコやお花がスタンダードな贈り物です。
日本でのチョコ売上高が最も多い月は 2 月。言わずもがな、バレンタインデーのためですが、これは日本の習慣。
ハンガリーでは、男性が女性に花をプレゼント。もしくは 2 人でお祝い、というのが多いです。
年間消費量は何キロ?
では、いったいハンガリー国民は、どれくらいのチョコレートを食べているのでしょうか?
統計は少し前の 2013 年ですが、年間 1 人あたり 3.9キロ。
1 か月にすると、100 グラムの板チョコ約 3.2 枚。これは赤ちゃんも入れての平均なので、子どもから大人まではもっと多くなります。*
( *出典:Euromonitor )
一方、日本は近年は増加傾向にあると言っても、同じ 2013 年時点では 1.93キロ。*
( *出典:日本チョコレート・ココア協会 )
つまり、ハンガリー人は、日本人の約 2 倍を食べていることになります!
ハンガリー語で「 チョコレート 」は ?
正式名称は、” csokoládé / チョコラーデー “。でも普通は ” csoki / チョキ “ です。日本人には、じゃんけんの「 チョキ 」のように聞こえてしまいます ( 笑 )
チョコ愛がもっと進むと、” csokika / チョキカ “ と言う人も時々あり。これは「チョコちゃん」というニックネーム風の呼び名です。
別の調査によると、ハンガリーの子どものいる世帯のうち、 22 %は「 週に定期的に板チョコを食べている 」と回答。
好まれているのはミルクチョコ、その次にダークチョコ、ホワイトチョコの順でした。ブランドでは、Milka、Boci、Tibi、Kinder。*
( *出典:2017年、TNS Hoffmann )
「 何らかのチョコレート菓子を食べている 」と範囲が広げられた場合、36 % が定期的に食べているとしました。
人気が高いのは、小腹がすいたときに手に取れるウェハースやバータイプ。ブランドでは Balaton、Sport、Milka でした。ハンガリー人夫と息子のいる我が家も、「 定期的 」と言うより「 ほぼ毎日 」、チョコやチョコレート菓子を食べています。
上には上がいた!
チョコ大好きなハンガリー人ですが、欧州の中ではどうでしょうか ?
意外にも、実は中程度。上には上がいます!
欧州で最も年間消費量が多いのはスイスで、9 キロ。世界一でもあります! ( 出典:Euromonitor 2014年 ) 他の統計では 10 ~ 11 キロと出ているところも。
スイスの次は、ドイツ、オーストリア。
チョコレート界の横綱、大関はいずれもドイツ語圏なのです。その後、英国、アイルランド、北欧諸国と続きます。
消費量が多そうなベルギーは 5.2 キロ、フランスは 4.2 キロと、意外に控え目。
一方、南欧諸国は 1 ~ 2 キロ台と、それほどメジャーではありません。チョコ消費量は、暖かい国ほど低い傾向があります。
でも日本人の私は、チョコレート界ではいわば幕下力士。
関取以上は皆「 すごくたくさん食べている 」で、あまり違いはわかりません。
そして毎春、毎冬、スーパーに溢れかえるウサギやサンタクロースのチョキたちに圧倒されています。