生ごみも、分別回収に

ハンガリーでは 2024 年 1 月から、生ごみの分別収集が始まりました。

対象エリアはまだ極一部ですが、今後徐々に増加していく予定。これまでは「 普通ゴミ 」扱いで緑の大型ゴミ箱に捨てていましたが、どう変わるのでしょうか。新システムを紹介します。

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2023.10.13

ゴミとして捨てずに資源に

欧州連合 ( EU ) では、かつての大量生産➞大量消費➞大量廃棄から脱却し、使用後の再利用や再資源化を進めるべく、様々な取り組みがされています。資源をできる限り長く循環させる「サーキュラーエコノミー ( 循環型経済 )」の実現が狙いです。

生ごみなどバイオ ( 有機性 ) 廃棄物の分別収集もその一環。こうした廃棄物は、飼料や堆肥にしたり、バイオガスとして発電に利用したりすることが可能です。

2024 年 1 月 1 日からは、ハンガリーを含む EUの 27 加盟各国で、生ごみの分別収集システムの運用が義務化されています。

当地で回収するのは、全国の廃棄物処理を管理する会社 MOHU*。既に下のような MOHU の案内を見たことがある人もいるかもしれませんね。

*正式名称はMOHU MOL Hulladékgazdálkodási Zrt.。ハンガリー石油ガス会社MOLの子会社で、2023年夏から35年間に渡って家庭・産業廃棄物の処理業務を行う営業権を持っています。

 

MOHUによる回収可能な生ごみに関する案内。左上から時計回りに「果物・野菜」、「残飯」、「乳製品」、「パン類」。 画像:MOHU

 

対象エリアは徐々に拡大

分別収集は全国で一斉にスタートするのではなく、段階的に対象エリアが拡大していきます。

2024 年に対象になるのは、ブダペスト市の 11 区および21 区、デブレツェン市、セーケシュフェヘールヴァ―ル市、タタバーニャ市など 14 の自治体 ( 下地図参照 ) 。必ずしも規模の大きい自治体が含まれているわけではなく、ジュール市、ペーチ市、セゲド市ではまだ始まっていません。

また対象になっている自治体でも、回収が行われるのは一部の場所だけ ( 具体的にはこちらを参照 )。そのため影響が出るのは 46 万人で、ハンガリー全人口の 5% 弱に留まっています。

現在の計画では、2025 年からは住民 150 ~ 200 万人程度に広げられます。これにより、同年末までには都市部すべてをカバーするように。なお、人口の少ない村では、今のところ導入の予定はありません。

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分別回収ルール

次に、自分の居住地も対象になった場合はどうすればよいのか、見ていきます。

「 生ごみ 」に入れて良いもの、ダメなもの

「 再資源化 」のためには、まず分別の規則をしっかり守ることが大事。MOHU が回収可能・不可として挙げているものは次の通りです。食べ物の残りはだいたい大丈夫ですが、「 骨類 」はダメなのでご注意ください。
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回収可能のもの
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  • 果物や野菜のくず ( 皮、葉っぱなど含む )
  • コーヒー、茶かす ( フィルターは不可 )、スパイス・ハーブ類
  • 卵の殻
  • 残飯
  • パン類
  • ソース・ドレッシング類
  • 加工食品、加工肉製品
  • チョコレート、ミューズリー類、コーンフレーク類
  • 乳製品
  • 缶詰、瓶詰食べ物

 

回収不可のもの
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  • 骨類
  • 食品包装資材
  • 掃除機用ゴミパック
  • 使用済み衛生用品 ( 使用後のティッシュペーパー、おむつなど )
  • たばこ吸い殻
  • スポンジ、ぞうきん

 

専用容器の配布

分別回収が義務付けられるエリアでは、MOHUが各家庭に5 ℓの容器を無償で配布します。もちろん、自前で容器を準備しても問題ありませんが、配布品の蓋はゴムパッキン付き。密閉できるので、臭い漏れや昆虫の進入を防げます。

そこで集めた生ごみを専用大型ゴミ箱へ。入れるのはあくまでも中味だけで、容器ごとポイはしないでください!

ゴミ箱に移す際、生ごみをビニール袋などに入れる必要はありません。( ビニール袋は再資源化プロセスで分解できないため。)   

この大型ゴミ箱も MOHU が集合住宅ごとに支給。茶色が目印です。

左:家庭用の生ごみ容器(5ℓ) 右:生ごみ回収用の大型ゴミ箱(集合住宅用、120ℓ)  画像出典:MOHU

 

ミミズを飼って堆肥化するの?

この制度で義務付けられたのは、生ごみの分別収集。生ごみをためて「堆肥化」させることが義務になったわけではないので、ミミズを飼ったりする必要はないです !

集められた生ごみは、バイオガスプラントで再利用され、そこから電気と熱がつくられます。

 

回収の頻度は

2024 年 3 月現在は、週に 1 回。夏場は週に 2 回になる予定です。回収曜日は場所により異なります。

また、MOHU によりますと、月に 1 回は大型ゴミ箱を洗浄するとのこと。

 

コンポスト向け収集場所

自分の家ではまだ戸別収集が行われていないけれど、生ごみ堆肥化 ( コンポスト ) に参加したいという場合は、MOHU が指定した業者に持ち込むことができます。

MOHU による受け入れ可能施設のリストはこちらから  ( 2024 年 3 月 10 日現在 ) 。まだまだ少なく全国でも数十しかありませんが、今後拡大の予定です。

ブダペスト市では 2020 年秋から、市営緑地管理会社 Főkert がコンポスト事業を開始。現在は 50 か所近くでコンポストボックスが設置されています。(リストはこちらから )

 

ただし、コンポストボックスは、MOHU による生ごみ回収可・不可の分類と若干異なりますのでご注意ください。

コンポストボックスは、野菜果物くず、卵の殻、コーヒー・茶かすの他、髪の毛、爪 (マニキュアを塗っていないもの)、庭の剪定で出た小枝や葉っぱ ( 小さくすること )、未処理の木材、培養土なども入れて大丈夫です。

逆に禁止物には、食品残飯、パン類、加工食品、動物残し( 骨、乳製品、脂肪 ) があります。これらはネズミを寄せつけたり感染症のリスクになるため。また、油脂 ( 動物性、植物性両方 ) は通気性を悪くすることから腐敗を起しやすく、堆肥の質を低下させるので入れないでください。

詳細はこちらから: humusz.hu ( ブダペスト市から補助金を得て活動するゴミ削減のための市民団体 )

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