ハンガリー在住 3 年目のまじゃおらさん ( 30代、女性 ) は、当地で第 2 子を妊娠、出産しました。お産経験者といえど、ハンガリーでは初めて。ハンガリー語はまだまだ、英語も専門用語になると自信がない中で、病院通いにも奮闘し、無事に元気な子を出産しました!その体験談を連載します。
第1回目は、当地の産婦人科事情です。気になるお金のことも具体的にレポートしています。
前書き
上の子が 1 歳半になった頃、身体に異変が。あれ、もしかして?と思い、妊娠検査薬を試してみると、陽性。
初めての妊娠、出産は日本だったため、ハンガリーでの経験値はなし。第二子妊娠にとても心躍らせてはいたものの、内心は不安でした。だって、まずどこへ行けばいいの?からクエスチョンマークのオンパレードだったから。
幸いだったのは、上の子の保育園繋がりでママ友たちができていたこと。強い味方がいっぱいでした。そして、妊婦健診や産後のことなど、医療制度の詳細はハンガリー暮らしの健康手帖の記事を読みながら知識を蓄えていきました。
私の経験が少しでも誰かの役に立てばと思い、気になるお金や医療サービス事情など、詳細にお伝えします。
年齢:30代
保険:ハンガリーの国家保険に加入 ( TAJ kártya あり)
在住地:ブダペスト
妊娠、出産経験:日本で有り、ハンガリーでは初
ハンガリー語レベル:初級 ※英語での日常会話はOK
第2子出産年:2023年
ハンガリーで初妊婦健診
健診先に選んだのはプライベートクリニックでした。理由はシンプル、友人からの紹介です。ハンガリーでは、医者に関わらず何事においても「 紹介 」で選ぶことがとても多いように思います。
産婦人科医は、優しい同世代ぐらいの女性の医師 ( 以下、L医師 ) で、英語もペラペラ。
とはいうものの、私自身が言語に長けているわけでもないので、初診は通訳者に同行してもらうことに。
ちょうど、当地の日本商工会が医療通訳サービスを期間限定で在住者に無料提供してくださっていたので、申し込みました。一番必要としていたタイミングで言葉のサポートをしていただけて、本当に有難かったです。
初診では、膣エコーで胎児の状態をチェック。無事に心音も確認できました。これに加えて、子宮頸がん検査も行い、今後の検査についての説明を受けました。
診察予約をしてその時間に行ったので、待ち時間も許容範囲内。診察の所要時間は 20 分程度だったかと思います。室内も設備も日本と大差ない感じ。対応も丁寧でした。
いろんな意味で安心感を得られ、初診での印象もすごくよかったので、出産まで L 医師の元でお願いすることに決めました。
妊娠が確定したら、次は
妊娠が確定したら、Védőnő ( 保健婦 ) ※のところへ行きます。
※ 保健婦さんは、簡単な健診を定期的に行ったり、妊娠に関する不安や困りごとがないかなど気軽に相談にのってくれる存在です。ブダペストの場合は、産後すぐは週1ぐらいの頻度で自宅訪問して、母体や子どもの健康チェックなどをしてくれます。
自身の登録住所で担当者が決まっています。「 Védőnő 」と住んでいる地区名 ( 例:ブダペスト 2 区なら 「 2. kerület 」) で検索すると、一覧リストが出てくるはず。
滞在許可証で登録している住所で担当者の連絡先を見つけて、問い合わせ。基本的に問い合わせの際はハンガリー語のみなので、言語に自身がない場合は、話せる方にお願いするのがベターです。繋がりにくいことが多かったので、そんな時は根気よく電話をしてみてください。
私も何とか予約をとり、その日時に担当者がいる Védőnői Szolgálat ( 保健婦サービスセンター) へ。
担当者はハンガリー語しか話せなかったですが、とても優しく、ホッとしました。最初の頃は通訳者の力を借りて、その後は翻訳機などを使いながらコミュニケーションを取りました。
ここでは、Várandósgondozási könyv ( マタニティケア手帳 ) をもらいました。日本の母子手帳とは異なり、出産までの記録に使うものです。母親が見るためというよりも、産婦人科医や保健婦などが妊娠状況の確認をするために使う手帳ですね。
妊娠中は血液検査などをはじめ、様々な検査を受けます。その大半は、公立病院で受けなければなりません。当地のプライベートの産婦人科医の所では、「 検査は別機関で 」となるのはよくあることのようです。
公立病院で検査を受けるためには、Háziorvos ( 家庭医 ) からの紹介状が必要だったため、保健婦さん訪問が終わったら、今度は家庭医のところへ。
家庭医は待ち時間が長く、ハンガリー語のみ。妊娠の疲労もあるうえに、あまり親切にしてもらえず、しょんぼり。でも子どもためなら挫けられない!
実際には、「 Beutaló ( 紹介状 ) 」を発行してもらうわけではないです。マタニティケア手帳内のあるページがその役割を果たすのですが、家庭医からそのページに署名をもらう必要があるわけです。
私立と公立で雲泥の差
Genetikai ultrahang ( 遺伝学的エコー検査 ) と呼ばれる精密なエコー検査が妊娠中に3回、それぞれのトリメステル※であります。最初の検査は妊娠 12 週目 ( 第1トリメステル最終週 ) に行います。ここでは、赤ちゃんの成長だけではなく、先天的な染色体や遺伝子異常 ( 例:ダウン症 ) を見るそうです。
※妊娠期間を約 3 か月ごとのトリメステル ( trimester ) に大きくわけます。いわゆる、前期、中期、後期の区分です。
遺伝学的エコー検査はどの診療所でも受けられるわけではなく、公立病院、もしくはその設備を完備しているプライベートクリニックへ行きます。
公立病院の場合は保険適用なのですが、プライベートの場合は全額自己負担。
どれぐらいの差があるかというと
私立:50,000 Ft
とかなりの差。血液検査も合わせて行いましたが、それでも日本円にして 2 万円近くの差になります。
じゃあ公立で受けたい!となりますよね。ここでのハードルは、すぐには予約が取れないということなんです。
私たちも公立病院で予約しようとすると既にいっぱい。ハンガリー人の場合は、妊娠がわかった段階で妊娠期間中の遺伝的エコー検査の予約をしておくようなのです。
12 週目までに受けなければならないので、仕方なくプライベートへ行ったわけです。
2 回目以降の予約は相当早くにしたので、公立で受けられました。ただ、1 回目は知らなかったのでかなりの出費になりました。
その代わり、プライベートクリニックは日本の病院に負けないぐらい施設はキレイ!更に夫の付き添いも OK です。( 公立病院での検査時は、付き添い人は入室できません ! )
第1トリメステル費用まとめ
妊娠 12 週目まで、公的サービスとプライベートクリニックの両方を利用しました。かかった費用は、
- 妊娠検査薬 1 箱… 約 1,000Ft
- 保健婦による健診等 … 無料
- 家庭医の紹介状署名 … 無料
- 妊婦健診1回 ( プライベートクリニック )… 18,000Ft ※後にインフレで診察料は上がりました。
- 子宮頸がん検診1回 ( プライベートクリニック ) … 5,000Ft
- 公立検査機関での血液検査等の費用 … 無料
- 遺伝学的エコー検査 + 血液検査 ( プライベートクリニック ) … 50,000Ft
合計 74,000Ft / 3万円少々
妊婦健診の回数は人によっては、第1トリメステルで 2-3 回になることがあります。クリニックによって診察料は異なるので、第 1 トリメステルでかかる費用に 10 万フォリント / 4 万円少々を想定して準備しておくといいかなと思います。( 全てをプライベートクリニックで行う場合や当地の国家保険に加入していない場合は、これ以上の金額になると予測 )
わからないことだらけ、することだらけであっという間の第1トリメステル期間でした。
次回は、第2トリメステル以降についても報告していきます。
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写真提供:まじゃおら