ハンガリーでは 2021 年 7 月から、使い捨てプラスチック製品の生産・流通販売が禁止になります。
どのような製品が禁止対象になるのか、逆に例外扱いの製品はなにかを見ていきます。
( 2020年7月に公開した記事に、更新情報を追加。構成を変更しお伝えしています。 )
禁止になるプラ製品
ハンガリーでは既に、大半の店でレジ袋は有料。
また、スーパーや個人店では、独自に脱プラスチックに取り組んでいるところも多いです。
しかし新たな法律は、かなり野心的。
買い物、外食、パーティなどで日常的に使われる製品の多くが禁止されることになります。
今後、企業側は代替品や再利用可能品への転換が必要に。消費者もこれまでの「 当たり前の習慣 」を捨てなければなりません。
・カトラリー ( フォーク、ナイフ、スプーン、箸 )
・ストロー
・マドラー ( 飲み物をかき混ぜる棒 )
・発泡ポリスチレン製の皿、容器、コップ、蓋
・綿棒のプラスチック軸
・風船に使うプラ製柄
・薄型使い捨てビニール ( 厚さ 15 ミクロン ~ )
もっともこれらは 21 年 7 月 1 日を境に一斉に消えるわけではありません。
スーパーが持つ在庫は販売可能のため、消費者も当面はこれまでどおり購入できます。
また飲食店も、在庫で持っている使い捨てカトラリーなどはなくなるまで使用可。
さらに、プラ製コップと蓋については、業界の準備期間に配慮し、全面禁止は 2023 年 1月 1 日から。
そのため今後しばらくは、紙製、プラスチック製両方が混じる移行期間のようになりそうです。
禁止対象外のもの
一見、厳しい規制のようですが、禁止の対象外になっているものもあります。
- 超薄型ビニール袋 ( 15ミクロン未満 )
- 生物分解性プラスチック
- 医療分野で使われている使い捨てプラ製品 ( 医療用手袋など )
しかし国内プラスチック業界が政府に陳情し、対象外に。
この背景には、コロナ禍でただでさえ状況が思わしくないところ、規制強化でさらなる打撃を業界が受けるという懸念がありました。
他方、こうしたビニール袋は野菜、パンの他、肉や水分を含む食品を衛生的に包む役目を果たしており、食品安全の向上にもなっていることが配慮されました。
ただし、使用を可能な限り抑制するため、超薄型ビニールには環境保護税の中で最も高い税額 ( 1900 Ft / kg ) を課すことも決定。( 1 枚あたり 5 Ft )
生分解性プラスチックも、これまでの非課税から、500 Ft / kg を課すことに。
税を払うのは製造業者ですが、スーパーなど流通業者への販売価格には負担分が上乗せされることでしょう。
そのため今後、紙袋の利用も増えていくことと考えられます。最近では、野菜やパンを入れるためのネットを販売しているスーパーも増加中です。
なぜ今、禁止 ? 3つの R に向けて
ハンガリーの新規制は、欧州連合 ( EU ) が 2019 年に採択した使い捨てプラ製品禁止に関する指令に基づいています。
加盟各国は 2021 年までに、国内法として整備しなければなりません。
プラスチックは海洋ゴミの 80 % 以上を占め、欧州の海岸や海で最も頻繁に見つかるのもこうした使い捨てプラ製品です。
プラスチック残留物は、ウミガメ、アザラシ、鯨、海鳥だけでなく魚介類などの海洋性生物の体内でも確認されています。EU は、海洋生物や生息環境を守るための措置として、厳しい規制で合意したというわけです。
こうしたことから、EU 域内すべてで、これから規制が強化されます。( 参考: EU MAG )
プラスチック容器包装に関しては 3 つの「 R 」が提唱されるようになり久しいです。それらのRとは
✔ Reduce ( リデュース:ごみを減らす=発生抑制 )
✔ Reuse ( リユース:何度も使う=再使用 )
✔ Recycle ( リサイクル:使えなくなったものは資源に戻す:再資源化 )