知っておきたい、ハンガリーのたばこルール


ハンガリーでは、2012 年から厳しいたばこ規制が敷かれています。基本的に屋内はすべて禁煙。違反者には罰金も科されます。

また、買える場所も非常に制限されており、日本とはかなり違うので注意が必要です。今回は、そうした当地の事情をまとめました。

吸えないところ

日本でもこの 4 月 1 日から「 健康増進改正法 」が全面施行され、規制はかなり厳しくなりますね。(日本厚生労働省

ハンガリーでは 、ノンスモーカーを守り喫煙を抑制するために、2012 年から屋内や交通機関では禁煙。
日本の改正法よりも厳しいです。( 法律はこちら )

例として
次の場所では全面的に禁煙
「 喫煙室 」もありません。

● オフィス ( 職場 )
● 宿泊施設 ( ホテルなど )
● 飲食店 ( レストラン、カフェ、バーなど )
● 商業施設 ( ショッピングモール、映画館、スポーツアリーナなど )
● 交通機関 ( 駅構内、ホーム、車両など )

また、屋内だけでなく
敷地内全体が禁煙となっているのは、

● 学校
● 病院
● 行政機関
● 児童福祉施設
など

つまり、個人宅でもない限りは、基本的に屋内ではすべて禁煙です。

「 小さいレストランだから OK 」といった特別措置もありません。

日本人出張者で、ホテルの部屋で吸って、ホテル側から「 今度吸ったら罰金ですよ! 」と警告されたケースもありますのでご注意を。

さらに、「 外 」であっても禁止されているところがあります。

例として

● 児童公園 ( játszóter / ヤーツォーテール ) および周辺 5 メートル以内

● バスやトラムの停留所および周辺 5 メートル以内

テラス席は?

春から秋にかけて、レストランやカフェでよく設けられるテラス席。
完全に「外」ですが、原則、建物入口から 5 メートル以内は禁煙です!

外だからと言って喫煙可とは限りません。ブダペスト市内のカフェにて。Photo by Ako

さりとて、「 5 メートル」はよくわからないのが正直なところ。

店員に聞くのが一番ですが、一つの見分け方は、テーブルに灰皿が置いてあるかどうか。

置いてあったら喫煙 OK 。置いていない場合はやめた方が賢明です。

厳しい罰金

法律では、禁煙場所で喫煙した際の罰則規定もあります。

罰金は 2 万 ~ 5 万 Ft ( 7200 円 ~ 18 000 円 ) と、ハンガリーの物価水準からするとかなり高め。

( *Ft = ハンガリーフォリント、100 Ft ≒ 36 円、2020 年 1 月現在 )

ただ実態として、処罰されたケースはそれほど多くは聞きません。また、バス停留所などで吸っている人もチラホラ。

下の図は、ブダペスト市内のバス停、鉄道駅構内、駅ホームでの取り締まり回数と検挙数を示したものです。

年平均では、取り締まりが 1600 回ほど。検挙数は僅かに 100 程度になっています。また、平均罰金額は  2.1  万 Ft でした。( 出典: hvg.hu )

確かに、人口や人の往来数を考えれば随分少ない感じです。でも、規則上は、罰金対象になることをくれぐれもお忘れなく !

《 18 禁マーク 》店のみで購入可

たばこは「 国家たばこ店 」でのみ購入可。知らないと、何のお店かと「 ?? 」になる外国人も。 Photo by Ako

ハンガリーで、たばこがスーパーやガソリンスタンドで買えたのは昔のこと。

今では、国から営業権を得た小売店「 国家たばこ店 ( Nemzeti Dohánybolt ) 」のみになります。
電子タバコ、カートリッジ式も同様です。

この小売店、数も規制されており、最大人口 4 000 人あたり 1 軒と決まっています。

外観に関しても厳しく統一されています。

たばこ宣伝ポスターの貼り付けは一切禁止。

その代わり、どのお店もハンガリー国旗色 ( 赤・白・緑 ) でタバコのマーク《 T 》、および《 18 禁 》マークを掲げることが義務付けられています。

なぜこのマークかというと、ハンガリーでは 18 歳から成人で、喫煙・飲酒が認められているため。

余談になりますが、外国人観光客には、その手の専門ショップかと勘違いされることが少なからずあるようです ( 笑 ) 。

なお、空港では、免税店内でたばこを購入できます。

おどろおどろしいパッケージ
ハンガリーではたばこパッケージの規制もあり。

商品の宣伝はできず、健康被害を警告するかなりグロテスクな写真をつけることになっています。( これは EU 共通 )

どのメーカーでもこれらの写真使用が義務付けられています。Photo by Ako

表示されている文章も

「 喫煙は心臓発作を起こします 」
「 喫煙は口腔・咽頭がんを起こします 」
「 喫煙は胎児を殺しかねません 」
「 喫煙は失明リスクを高めます 」

と、容赦のない警告。

さらに、テレビや新聞雑誌などでの広告掲載も禁じられています。

ハンガリー人の喫煙率

これほど厳しい法律が導入され、また物品税も大幅に引き上げられたわけですが、どのくらい効果があったかというと、、、

2017 年のハンガリー人喫煙率は 27%と、EU の平均水準。2014 年比では 3 ポイント減となっており、それなりの効果を発揮しているようです。

ただ、引き続き、18 歳以下で定期的な喫煙を始めるケースは 57 %と高いことなど、問題を抱えています。( EU 平均も 52 % と高いです )

( 出典:EU 市民の世論調査 Eurobarometer 458 Attitudes of Europeans towards tobacco and electronic cigarettes 2018 年 2 月発行 )

ABOUTこの記事をかいた人

鷲尾亜子

1997年よりハンガリー在住。日本とハンガリーでの新聞記者の経験を活かし、現在、Twitter では「 ハンガリーのニュース 」、また政治経済ニュースレター「 ハンガリー経済情報 」( 有料 ) を配信中。