「 行かなければ 」と思いながら先送りにしていた乳がん検診。そんなある日、国から無料のマンモグラフィ検診のお知らせが来ました! 国家健康保険に入って以来 20 年、こんなことは初めて。なので有難い。でも痛い?とちょっと不安。検査制度や実際の様子をご紹介します。
へぇ!x3の制度
検査の知らせを受け取り、「 へぇ! 」と驚くことが少なくとも 3 回はありました。
まずは、この無料検診制度の存在自体に。ハンガリーの国家健康保険に入っていれば、確かに基本サービスは「 ただ 」です。その反面、待ち時間が長い、医療スタッフが足りない、設備が古い、運営資金が不足しているなどの問題も多々抱えています。そのため、公的医療サービスに対する私の期待値はものすごく低く、このような制度があることも知りませんでした。
通知には、こうありました。「 ハンガリーで乳がんは、女性の罹患率・死亡率ともに非常に高い病気のひとつです。そのため国は、マンモグラフィの無料検診を実施しています。」
対象は
✓ 45 ~ 65 歳
✓ 2 年に 1 度
とありました。
なるほど、今回初めてお知らせが来たのは、私がこの年齢ゾーンにバッチリ入ったからでした ( 笑 ) 。手紙では、「 この年齢層 」の人が「 この頻度 」で検査を受けると、羅患しても死亡率が減ると証明されているとの説明あり。日本では 40 代以上に推奨されていますから、同様の考え方があるのでしょう。
次の驚きは、検診日時です。受け取った通知では、「 2 月 27 日、12 時 38 分」と指定されていました。こんな分刻み、約束時間に緩いハンガリーではありえません。「 そんなに時間に厳しいの ?? これは絶対遅れちゃダメだわ 」と、逆に緊張すら覚えました。( 2024年10月更新情報:現在は、これほど厳密な時間指定はなく、自分で希望の時間を連絡できるシステムになっている地区もあるようです )
さらなるびっくりは、指定された診療所が自分の居住地域外の場合、交通費証明を国に提出すれば後で還付されるという記述でした。なんだかすごいじゃない、ハンガリーの乳がん検診!
検査前の手続き
そんな「 へぇ! 」を抱えながら、迎えた検診日。指定されていた持ち物は、検診の通知、保険証、過去の検査記録 ( あれば ) の 3 点のみです。私が向かったのは、 MaMMa 乳がん検診センターというところ。ブダペスト市 2 区の外来診療所建物内にありました。
「 12 時 38 分 」の分刻み予約に緊張して、到着したのは随分早い 12 時前でした。外来診療所全体の案内窓口はありましたが、 MaMMa の受付窓口はありません。ドアの前の廊下に並べられた椅子で待つ、というこの国の典型的な方式。しかもドアには「 ノックしないでください。こちらから開けます 」との張り紙が。仕方ないのでまずは座ることに。その時他に待っていたのは 2 人だけでした ( 普通のハンガリーの診療所では 7 - 8 人はいます ) 。
幸い 4 - 5 分でドアは開いたので、それを逃すことなくアシスタントに検査通知票を提出。名前を呼ぶまで待つように言われ、再びドアが閉まりました。
その後は、意外と早く入室でき、アシスタントに保険証を見せた他、検診歴、過去のガンや手術の有無などを一通り聞かれました。結果に関しては、しこりなどが見つかり「 要精密検査 」となった場合、 2 週間以内に電話するとのこと。連絡がなかった場合、つまり異常なしの場合は、その旨の結果を直接取りに行くか、郵送にするか選択できます。( 郵送の場合でも追加料金は、切手代のみ ) アシスタントは、特段愛想はありませんでしたが、逆に意地悪ということもなく淡々と終了。それからは、更衣室入室の指示が出るまで、再び「 廊下待機 」です。
いよいよ検査
全般的にすいていたため、更衣室にも数分後には入れました。ここでは、腰まで脱衣して隣のレントゲン室が開くのを待ちます。 体を覆うものは特に用意されていません。初検診の心細さも相まって、頭の中には「まな板の鯉」が浮かびます ( 笑 ) 。そのため、とても感じの良い女性の担当医が迎えてくださったときは、ホッとしました。そして先生の背後に、ありました、マンモグラフィがど~んと!
検診はこんな感じでした。
( 1 ) 視触診
両手バンザイ状態で行います。
( 2 ) マンモグラフィ
まずは胸を上下から挟まれ、右乳房が終わったら左乳房。
その後、機械が傾き、脇の下あたりからの右左を撮影。
いずれも、あっという間に終了。合計 5 分程度だったでしょうか。先生が誘導してくださるので、大きなマンモグラフィ機械を前に戸惑うこともまったくなし。
そして、予想外に痛くありませんでした! 「 ぎゅ~っ 」とは来るものの、「 これ以上挟まれたら泣くわ 」という 2 歩くらい手前で止まります。先生も「 そうなんです、皆さん、そうおっしゃいますよ 」と。最新マシーンのため、患者フレンドリーに改良されているらしいです。
雑感 & おまけ情報
診療所に入ってから出るまで、約 30 分でした。結果的には、「 12 時 38 分 」に縛られることなく前倒し対応してもらえました。建物は古く、受付システムはハンガリーの習慣に慣れていないと戸惑うかもしれませんが、全般的には問題なくスムーズに終了。この程度で検診は済むので、億劫がらずに 2 年毎できちんと受けることが大事ですね。なお検査結果については、 「 異常はなかった 」という通知が 2 週間半後に郵送されてきました。ついでに、自分で行うしこり確認のコツも絵付きで入っていました。
以下、追加関連情報です。
・ 指定された日時は変更可能です。ただし、私が当初、変更希望の電話をかけたところ、 1 か月先まで埋まっていました。
・ MaMMaは民間会社で、国が検診をアウトソースしているとのこと。そのため、この年齢層以外の方、国家保険未加入の方でも、 有料で検査を受けられます。料金は、超音波検査も入れて 2.5 万 Ft ( 約 1 万円 ) 。英語を話すスタッフは一部のみ。
・その他の私的クリニックでもマンモグラフィ検診は可能です。料金は 2 万 Ft ( 約 8600 円 )から 。婦人科検診にセットで含まれている場合もあります。( 2024年10月更新情報:現在の私的クリニックでの料金は 4 万 Ft~が相場のようです)
※ Ft = ハンガリーの通貨「 フォリント 」