どこで、どれだけ?ハンガリーのチップ習慣

日本の日常生活では馴染みのないチップ。ハンガリーでは一般的です。どんなときに、いくら渡せばよい  ?  レシートに「 サービス料込み 」と書かれていたら ? また、テーブルにバンドが来て演奏したら ?   今回は当地のチップ文化についてお届けします。

よほどのことがない限り渡す 2 つの分野

ハンガリー語のチップ = borravaló ( ボッラヴァロー ) の意味そのものは「 bor ( ワイン ) のためのもの 」。ハンガリーでは15世紀に、何らかの売買契約が結ばれた際、売り手、買い手双方がワイン 1 リットル分のお金を上乗せしなければならないという法律があり、それがこの由来だそうです。法律はその後廃止になりましたが、言葉自体は残ることに。Photo by Ako

ハンガリー語でチップは、borravaló ( ボッラヴァロー ) 。現地の人々の間でも、どこで、いくらくらい、というのは時折話題になり、その都度、絶対的な答えはありません。

ただ、「 よほどのことがない限り渡す場所 」というのはあり、これらはマナー、エチケットの範疇のようです。

まずはレストランで、チップ相場は 10~15 % 。昔は、ウェイター、ウェイトレスは給料をもらわずチップのみが報酬だったこともあったそうで、その名残もあるようです。

また、美容院 (ネイルサロンやエステサロンも ) も 10 %前後上乗せが一般的。

ハンガリー中央統計局の調査でも、この 2 つの分野だけで家計が支払ったチップの 60 %を占めています ( * )。この調査は 2014 年実施と少し古いですが、傾向は変わりないでしょう。

( *調査の対象は1,591世帯のみのため推定。 出所: ハンガリー中央統計局 )

それぞれのチップの目安

その他にも、チップ対象になりうるサービスはまだまだあります。「 何か便宜を受けたら多少のお礼をする 」というのが基本的な考えのようです。

ハンガリーの家族や周囲の友人らに聞いたものに基づき、サービスの種類と額の目安を表にまとめてみました。

 

ガソリンスタンドは見落としがちかもしれません。かくいう私も当初、知りませんでした。当地での基本はセルフ給油のため、従業員に入れてもらうのは通常外の便宜供与と考えられるためです。

その他、個人により渡したり、渡さなかったり、といったサービスには次のようなものがあります。

また、外国人がハンガリーで観光ツアーに参加する際、ガイドさんや運転手さんに最後にいくらか感謝の気持ちとして渡すこともあります。( 特に、個人ではなく会社に雇われている場合 )

支払い方法

チップの割合はあくまでも目安「丸めて」支払うのが一般的です。

例えば 7,300 Ft であれば 10 % を足せば 8,030 Ft ですが、実際に支払うのは 8,000 Ft と言ったように。

( Ft = ハンガリーフォリント。2019年11月現在、100 Ft ≒ 37 円 )

その際は、8,000 Ft を渡して、「 ありがとう ( Köszönöm / クスヌム ) 」と言えば、特に説明しなくても相手はすぐに理解します。( 英語で Thank you ! でももちろんOK )

もしくは 1 万 Ft 札で支払うのであれば、
「 お釣りは 2,000 Ft でいいです 」
( 2,000 Ft-ot kérek vissza / ケートエゼール フォリントット ケーレク ヴィッサ)

もしくは、

「 代金は 8,000 Ft として、お釣りをください 」
( 8,000 Ft-ból kérek vissza  / ニョルツエゼール フォリントボール ケーレク ヴィッサ )
などと伝えます。

カードを使う場合は、通常、チップ分を手書きで加えて、一括払いが可能。

または、飲食代はカードで支払い、チップは現金で別に直接渡す方法もあります。

チップは義務 ?
米国などでは、チップを渡さないとレストラン店員が追いかけてくるという話も時に聞きますが、ハンガリーではそのようなことはありません。

ただ全く渡さないのは、よほどサービスが気に入らなかった、と受け取られる可能性あり。特段サービスが優れていなくても、10 % 前後は普通に渡します。特によかったと思えば 15 %程度に。

反対に、サービスがかなりひどかった場合は、チップは渡さないと言うハンガリー人も結構います。

外国人がチップを忘れないよう、ご丁寧に計算式を含めるレストランも… これにしなければならない、というわけではありません。 Photo by Yuri

こんな時はどうする?

「サービス料込み」の場合

レシートの下の方に、szervízdíj ( サービス料 )と書かれていたとき。

Photo by Yuri

周囲に聞いてみると、チップは別途上乗せしないという人が多かったです。でも、食事内容も給仕も素晴らしかった、大満足 ! と思えば 5 % 前後は上乗せするという人もいました。

このサービス料は、もともとチップ ( 従業員にとっては所得になる ) の課税のあいまいさを回避するために 2005 年に導入された法律によるもの。レストラン側は 15 %まで自由に課すことができます。

ただ、ハンガリー人の中には、サービス料は強制的にチップを支払わされるようで好きではないと言う人も。そのためでしょうか、サービス料を課していないレストランも結構あります。

専門家によると、サービスがあまりにひどい場合、抗議してサービス料の帳消しを願い出ることもできるそうです。( これは知りませんでした! 私の友人知人で、実際にこのようにしたという話は聞いたことはありません。)

レストランで生バンドがテーブルに

レストランでの生演奏 Photo by Yuri

観光客や外国人が多いハンガリー料理レストランでは、ロマ系の民族楽団が生で演奏していることがあります。

躊躇してしまうのは、自分のテーブルに彼らがやって来たとき。しかも、「 上を向いて歩こう 」など日本の曲を演奏することがあるんですね。

でも、曲をリクエストしない限りは、支払わなくても大丈夫。( もちろん渡せば喜んでもらえます )  リクエストした場合は、500 ~ 1000 Ft 程度は礼儀とお考えください。

その他、ハンガリーには医師や医療スタッフに謝礼を渡す習慣があり、hálapénz ( ハーラペンズ = 謝礼金 ) と呼ばれます。こちらは 単純な borravaló ( チップ ) とは違い、医療制度の構造的問題にもかかわり賛否両論。今後、当サイトでも扱うことを考えています。

ABOUTこの記事をかいた人

鷲尾亜子

1997年よりハンガリー在住。日本とハンガリーでの新聞記者の経験を活かし、現在、Twitter では「 ハンガリーのニュース 」、また政治経済ニュースレター「 ハンガリー経済情報 」( 有料 ) を配信中。