一家に一本? 虫刺されに Fenistil


夏になると、悩ましいのは虫刺され。いろいろ対策をしたつもりでも、刺されるときは刺されてしまいます。そんな時、ハンガリーにはどのような市販薬があるのでしょうか ? 薬局でまず出されるのは Fenistil ( フェニスティル ) 。どんな薬か、日本の代表的製品と比較しながら見てみましょう。

フェニスティルの中身

フェニスティルの当地での浸透ぶりは、国内の市場を独占しているのでは ? と思うほど。試しに周囲のハンガリー人、在留邦人に聞いてみたところ、、、10 人中 10 人が持っていました !

一般的なのは、患部にそのまま塗るジェルタイプ。子ども用には、飲むタイプの滴剤 ( Fenistil Junior ) もあります。虫刺されはもちろんのこと、かぶれ、じんましん、日焼けなど、いろいろな肌のかゆみや痛みに効くそう。

1 日 2 ~ 4 回塗ります。お値段は 50 g が 2500 Ft ( 約 580 円 ) 、 30 g が 1600 Ft 程度 ( 約 610 円 ) 。( Ft = ハンガリーフォリント、2019 年 6 月現在 100 Ft=約 38 円 ) Photo by Ako

主成分は、抗ヒスタミン薬の 1 つであるジメチンデン ( dimetindén ) 。かゆいのは、体内からヒスタミンが分泌されるためと言われており、それを抑えるのが目的です。ステロイド剤は入っていません。また、香料、着色料の添加もなし。

子どもや妊婦さんには大丈夫 ?

使用説明書によると、ジェルタイプは、乳幼児には広範囲で使用しないように。特に炎症を起こしている時は厳禁です。

妊娠中、または授乳中の場合も同様に、広範囲では使用しないようにしてください。また、使用にあたっては、医師、または薬局で相談するよう勧められています。

滴剤のジュニア向けは、生後 1 か月 ~ 1 歳であれば、かかりつけ医師にご相談ください。生後 1 か月未満、逆に18 歳以上は服用不可です

2022 年 6 月 22 日追記 ベビー用

すみれさん

生後 1 ヵ月から使用可。2 600 Ft 程度 Photo by すみれ

子どもが生後半年ぐらいの時に、ちょうど夏真っ盛りでした。赤ちゃんだったので、虫よけスプレーをつけるのもはばかられ、そのままベビーカーでお散歩へ。

公園で一休みしたわけでもなかったのですが、帰ってくるとしっかりくっきり蚊に刺された跡が。本人もかゆかったようで掻いていました。

肌が弱めなため、翌日には赤く腫れあがってしまい、主治医に相談しました。そこで教えてもらったのが、滴剤の Fenistil です。飲み物に混ぜてあげても気づかずに飲んでくれて、赤みもかゆみも引いていきました。

ムヒやウナコーワとの違い

フェニスティルは、「 抗ヒスタミン薬が患部に染み込み、早ければ 2 ~ 3 分でかゆみや痛みが和らぐ 」という説明書きがされています。ただ、日本人の私には実はちょっと物足りず、、、。効いているのか効いていないのか、よくわかりません。

というのは、塗っても、拍子抜けするほど何も感じないからです。あの、ムヒウナコーワの、塗った瞬間からの「 スーッ 」はどこへ ??

日本の代表格であるこれら 2 つの主成分は、ともにジフェンヒドラミンという抗ヒスタミン薬です。なので、その点はフェニスティルと同じ。その他、製品によって、炎症を抑えるステロイド成分、局所麻酔成分、殺菌効果成分などが入っています。

決定的な違いは、ムヒとウナコーワには “ l – メントール ” と “ dl – カンフル ”  が含まれていること。これこそが、あの清涼感をもたらすのです!

この「 ひんやり感 」が忘れられず、日本製品を買ってくる在留邦人も多いです。 Photo by ブラニョ

昔ながらのキンカンにも同様に、l – メントールと dl – カンフルが含まれています。意外なことに、抗ヒスタミン薬は入っていません。他の成分はアンモニア水やトウガラシチンキ。これらが、「 すばやく患部の熱を奪い去り、局所刺激を与えることにより、かゆみや痛みの伝わりを抑制 」するそう。( 金冠堂のホームページより )

日本の虫刺され製品の大半は、メントール、カンフル入り。 Photo by Ako

もっとも、このスースーが常に良いとは限らないようです。息子が 3 歳くらいのとき、フェニスティルより素早くかゆみが引くだろうと考え、ウナコーワを塗ったのですが、、、結果は、大泣き !!  刺激が強すぎたようです。もしくは、掻きむしっていて沁みたのかもしれません。どうぞご注意くださいね。

その他の虫刺され薬

フェニスティルよりは知名度は落ちますが、もちろん他の虫刺され用の薬もあります。薬局やドラッグストアでは、rovarcsípés ( 虫刺され )、csípés utáni krém ( 刺された後のクリーム ) といった言葉で探してみてください。

– Supraderm ジェルタイプ  ( 主成分は抗ヒスタミン剤ジフェンヒドラミン。ムヒやウナコーワと同じ。) 50 g、約 2,200 Ft / 20 g、約 1,600 Ft
– Cetirizin  錠剤 ( 主成分は、抗ヒスタミン剤セチリジン。花粉症にも。 )  60 錠、約 1,306 Ft

その他、ハーブ系であれば、

– Naturland csípés utáni krém キンセンカ入り  50 g、約 1,200 Ft
– Biomed árnika krém アルニカ花、カモミール、マリーゴールドの混合 60 g、約 800 Ft
– Biomed Rapid svédkeserű krém スウェーデン発祥ハーブミックス「 スウェディッシュ ビター 」、メンソール入り 30 g、約 800 Ft
– Himalaya multipurpose cream アロエヴェーラ入り 20 g、約 800 Ft

*各製品の価格は、HáziPatikapingvinpatikaherbadiszkont で調べたものです。小売店ではもう少し高いですが、ネット販売は送料がかかるのでご注意!( 2019 年 6 月 10 日 現在 )

ドラッグストアでも買えます。Photo by Yuri

私はハンガリーで、抗ヒスタミン剤 & メントール入りの塗り薬に出会ったことがまだありません。そのため自宅にいるときは、もっぱら氷をあてがい患部冷却でかゆみ緩和。その後、念のためフェニスティル、という 2 段構えです。もし良い薬をご存知であれば、ぜひ教えてください!

” スーッ ” があった! ( 2021 年 8 月 1 日追記 )

 

と、読者 N さんからご連絡がありました。

スイス製の Novosil というジェルで、インドの乳香の木と蓼の成分、バジリコ油、ミント油、セージやヤロウのアロマオイルなどが入ってるそう。

スーッとするだけでなく、息子さんも「 痒いのなおった! 」と。Nさん曰く、効能も悪くなさそうです。

 

Photo by Nさん ネットショップでは、50ml で約 2500 Ft 前後。外箱には虫刺されの他、西洋イラクサで蕁麻疹ができたとき、日焼け後の肌トラブルにもよいと記載されています。

チャラーン ( ネトル )ーー悪魔と天使のギザギザ葉っぱ

2018.05.11
次の場合は、市販薬ではなく、医師に診てもらう方が安心です。

✓ ハチなど重大なアレルギーを起こす恐れがある場合
✓ マダニなど感染症を媒介する虫の場合
✓ 広範囲にわたり刺された場合、重症な場合
✓ 刺された後に発熱や気分不良などアナフィラキシーショックの可能性がある場合

マダニ にご注意! ( 上 )

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ABOUTこの記事をかいた人

鷲尾亜子

1997年よりハンガリー在住。日本とハンガリーでの新聞記者の経験を活かし、現在、Twitter では「 ハンガリーのニュース 」、また政治経済ニュースレター「 ハンガリー経済情報 」( 有料 ) を配信中。