息子と 1 型糖尿病 ( 4 ) 自立への道

ブラニョさんの息子さんが 1 型糖尿病を発症して約 10 年。赤ちゃんだった彼も、もう小学生。連載第 4 回のテーマは「 自立への道 」。いろいろなことが自分で少しずつできるように、というブラニョさんの試みについて。そして、 2 つの大切なモットーについてお送りします。

できるようになったこと

息子はこの春で 11 歳になりました。背の高い夫の DNA が入っているためでしょう、私はもうすぐ背を追い抜かれそうです!

糖尿病との生活も、赤ちゃんの時は私がすべてを行っていましたが、いつまでも四六時中ついていられるわけではありません。将来は自分で管理できるよう支えながら、親子で二人三脚の毎日です。今回は、これまでに息子ができるようになったことをお伝えします。

血糖測定器。写真下の黒い棒状のもので針のようにプチっと刺し、少量の血液を採取して測ります。 Photo by ブラニョ

まず、4 歳くらいで自分で血糖値を測れるようになりました。

でもインスリンポンプからインスリン投与を行っていたのは私でした。というのは、当時使っていたのは旧式。 今のポンプのように、血糖値とこれから摂取する炭水化物の量を入力するとインスリン投与量を自動計算する機能はなかったのです。そのため、手動で投与量を調整していました。

こうしたことから幼稚園の時は、朝は遅めに連れて行き、昼食の前に帰宅する毎日でした。

小学 1 年生になり、今のポンプに変更。それを機に、次の 3 つも自分でできるよう練習。

( 1 ) 血糖値の測定
( 2 ) 血糖値と炭水化物量をポンプへ入力
( 3 ) インスリン投与

これで、午後まで 1 人で学校にいられるようになりました。

炭水化物の量は学校給食で把握するのは困難なので、お弁当を持たせることに。毎朝、お弁当箱の上に、息子がわかるように炭水化物の量を貼ります。それは小学 4 年生になった今でも変わらない日課です。

お弁当箱の上に、炭水化物の量を記しておきます。 Photo by ブラニョ

小学校入学したての頃は息子も緊張したでしょう。母親の私の心配はそれ以上だったかもしれません。最初の 2 週間は、私も学校の廊下で座って待っていたほど。今、元気に学校に向かう様子を見ては、息子も、そして私も ( 笑 ) 成長したなと思います。

2 つのモットー

1 型糖尿病と暮らしていくうえでモットーにしていることは 2 つあります。1 つは、「 あまり先の事は考えない 」

過去には、ネットで病気のことを調べるたびに、こんな合併症も、あんな合併症もある、、、と情報が入り過ぎ、絶望的になった時期がありました。でも、考えすぎても始まらないのです。それより、今、できることをしよう、と気持ちを切り替えることの方が大事。

もう 1 つは、「 病気だけどそれに支配されない。うまく付き合って、なるべく普通で豊かな生活を送ろう 」ということ。

年齢が上がると、友だちとの交流や外出の機会が自然に増します。そのようなときも「 行かない 」ではなく、「 どのようにしたら行かれるか 」考えます。

その 1 つが誕生日会。パーティは甘いジュース、スナック、ケーキと、コントロールが難しい食べ物がたくさん。また、ケーキをいただく時間を決められるわけでもありません。

でもだからと言って諦めるのではなく、息子が小さい頃は、私も付き添い。ケーキの前に血糖値を測定し、インスリン投与してからみんなと一緒にいただいていました。

ハンガリー人が大好きなハリネズミをあしらったケーキ。一緒に食べるから楽しい。 Photo by Ako

今では息子 1 人で誕生日会に行くように。訪問先のお母さんには、事前にどのようなケーキか聞いておきます。「 チョコレートケーキなら 1 切れの約半分が炭水化物、カッテージチーズ系ならもうちょっと少ないかな 」など計算。

また、計量器があるかないかも聞きます。あれば息子が 1 切れの重さを測れるようにお願いし、なければ携帯用の計量器を持たせます。このように準備しておけば当日も問題なし。

ホストの中には、砂糖や小麦粉不使用のケーキを用意しておきましょうか、と気を使ってくださる人もいます。でも、「 みんなと同じもので大丈夫ですよ」と答えています。

やはり、みんなで同じものを食べて一緒にお祝いする方が、子どもも楽しいですよね !

炭水化物、何グラム ?

どちらのマカロニが多い? 答えは両方とも 100 グラム。ここから炭水化物量を計算。 Photo by Ako

食品に含まれる炭水化物の量は、自分で考えてわかるように 6 歳くらいから徐々に訓練を始めました。

レストランで外食の場合は、以前はお店の人に別の取り皿をお願いし、パスタやご飯をのせて携帯用計量器で測るのが慣例でした。でも今はあまりしていません。いつも計量器を持ち歩けるわけではないですし、息子にも目で見てわかるようになってもらいたいからです。

最近では「 これは何グラムと思う ? 」と息子に聞くと、だいたい私が考えているのと同じくらいの量を言います。ただ、どんなお皿に盛りつけられているかで親も子も目が騙されるので、要注意です ( 笑 )

次回 ( 5 ) は、8 月 3 日掲載予定です。


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ABOUTこの記事をかいた人

ブラニョ

ハンガリー在住 20 年。ハンガリー人夫と娘、息子、3 歳の犬とブダペスト郊外で暮らしています。料理と読書が大好きで、最近はハンガリー語の本にも挑戦中。