犯罪マップ どこで何が発生?

「 ハンガリーの治安はどうですか? 」 よく聞かれる質問ですが、一言で答えるのはとても難しいです。在住 20 年+の私は、幸い被害に遭ったことはありませんが、周囲では自宅に泥棒、車上荒らしなどの例は時々あり。いったい、どこでどのような犯罪が発生しているのでしょうか。今回は警察による「 犯罪マップ 」を見ながら、お伝えしていきます。

現状 : 減ってはいるものの、、、

まず、全般的な状況から。ハンガリーの 2018 年の犯罪認知件数は 20 万件弱でした。2012 年の半分以下に減少しています。政府が、警察官の巡回増加や、街頭防犯カメラの増設などで、治安強化に努めていることが奏功しているようです。

ただ、人口 1000 人あたりの犯罪件数を見ると、ハンガリーは約 20 件。一方、日本は 6 件。ハンガリーは改善傾向にあるといっても、まだ、日本の 3 倍以上なのです。町を歩くのに怯える必要はないでしょうが、用心するに越したことはありません。

犯罪で最も多いのは、窃盗犯 ( 侵入盗、スリ、置引き等 ) です。

地域別では、首都ブダペストでの発生件数が最も多くなっており、全体の 4 分の 1 ほど。ただ地方へ行けば安全、というわけでもなく、下の図で示されているように北東部や南部の県でも多くなっています。

人口 10 万人に対する犯罪件数 ( 県別 ) 薄い水色であるほど少なく、灰色が濃いほど多い。2018 年 5 月 26 日から 2019 年 5 月 26 日までの統計。 出典: ハンガリー警察

日本人の被害
在ハンガリー日本大使館によると、日本人 ( * ) が被害者となった犯罪は、報告されたものだけでも毎年 30 ~ 40 件になるそうです。( * 2017 年のハンガリーへの日本人渡航者数は約 6.6 万人。また、在留邦人は約 1700 人。)

旅行者の被害が多いのは、観光名所でのすりや置き引き、偽警察官による詐欺盗。また、当地在住者では、住宅への侵入窃盗や車上狙いなどが報告されています。

窃盗 ( すり、ひったくり、置き引きなど  )

ハンガリー警察は、ウェブサイトで Bűnügyi térkép ( 犯罪マップ ) を掲載しており、かなり興味深いです。全体の傾向がわかるだけではなく、スクリーンでマップを拡大していけば、ほぼピンポイントで発生した場所と日にちまでわかります

また、犯罪の種類別でも発生状況を示すことができます。期間は、犯罪全体では過去 1 年間まで閲覧可能。種類別では、過去 30 日もしくは 60 日間が確認できます。

まずは一番多い ” lopások ” ( すり、ひったくり、置き引きなど窃盗 ) から見ていきましょう。期間は、2019 年 4 月 26 日 ~ 5 月 26 日に設定。

やはりブダペストおよび周辺が、1,126 件と断トツです!

ブダペストをぐーっと拡大して、中心部に焦点を当ててみると、、、

ペスト側 ( 川の右岸 ) の 5 区、6 区、7 区、8 区あたりが多くなっています。5 区は観光名所が集まり、6 区、7 区はパーティ街と呼ばれ、レストランやパブが多いところです。また、主要国際駅である東駅 ( Keleti pályaudvar )、西駅 ( Nyugati pályaudvar ) やその周辺も多いことがわかります。

お財布やスマートフォンをズボンや鞄のポケットに入れて歩くのは ✕。また、レストラン等でお手洗いで席を立つ際は、貴重品は身につけていかれる方が良いです。

住居侵入

住居侵入 ( lakásbetörés ) も同様に、5月下旬までの 1 か月で見てみました。すり等より少ないですが、ここでもブダペストと周辺が 71 件と、一番です。

ブダペスト市内を拡大すると、、、

件数が多い、ドナウ川左岸 ( ブダ側 ) の 2 区あたりをさらにズーム。

2 区は、なだらかな丘と緑が多く、外国人駐在員家庭の人気エリア。茶色アイコンが被害にあった家です。警察ウェブサイト上では、これをクリックすると、発生場所、日にちが確認できます。

ブダペストでよく聞くのは、空き巣以外に、夜寝ている間に入られるケース。

玄関をこじ開けられることがあるので、市内の古いアパートでは、エントランスの鍵を含めて 3 本以上というのは当たり前。また、閉められた窓から侵入される場合もあります。そんなことから、扉や窓の外側に鉄柵のようなもの ( rács ) を備え付けているお宅も多いです。

アパート探しの場合は、防犯の観点からチェックするのも大事です。防犯アラーム ( riasztó ) や窓のシャッター ( redőny ) などがあれば、防犯レベルは上がります。

騙し&住居侵入
過去に、明らかに外国人狙いの「 騙し 」と 「 住居侵入 」がセットになった形も、何件か聞いたことがあります。

例えば、知り合いの学生さん。ある日突然、害虫駆除を名乗る業者がやってきて、これからアパート建物全体で年に一度の害虫駆除をするので 1 時間外へ出てくれと言われました。その通りにして帰宅したときには、パソコンや金目になりそうなものが跡形もなく消えていたそうです。

このように、事前連絡のない人の訪問を受けるときは、家の中には入れず、大家さんに電話をかけて聞いてください。電話がつながらない場合は、「 事情がよくわからないので出直してきてほしい 」と伝え、相手の連絡先をもらっておくことをお勧めします。

自動車盗難、車上荒らし

自動車の盗難 ( géplopások ) は、ひと頃よりとても少なくなりました。警察によると、2018 年は 1,023 台。これは、1989 年の体制転換以降、最低の水準とのこと。全体のうち、乗用車は 771 台でした。そのうち 6 割強は、ブダペストで盗まれています。

ブランド別では、下の表のとおり。フォルクスワーゲン、フォード、オペルは常に盗難上位になっています。盗まれた後は、ほとんどの場合、バラバラにされて国内・国外闇市場で部品が販売されることに。こうしたことから、狙われやすいのは、部品需要が高い車種で、車齢 1 ~ 6 年になっています。

2018 年 盗難自動車 ( ブランド別 )

出典:ハンガリー警察 表 by AKO

自動車盗難そのものよりも、もっと頻繁に発生するのは、車上荒らし ” gépkocsi feltörése ” です。ちょっと目を離した隙に、という事例が後を絶ちません。下の図は、5 月 26 日までの 30 日間の件数です。

助手席にバッグは✖
これまで、運転中に、助手席に置いたバッグが盗まれる被害を聞いたことがあります。

1 件は、ブダペスト市鎖橋前ロータリーで、通勤ラッシュ時にノロノロ運転になっていたときに。もう 1 件は、ネープリゲト近辺で信号待ちをしていたとき。いずれも、後ろからやってきたバイクが抜き取り。前者のケースは夏だったため窓は開けていましたが、後者は「 窓を割られて 」取られました。

防止策としては、車内の目につくところにカバンやカメラなどは置かないこと ( 車から離れる場合も同様に )。 かならずトランクに入れましょう。

日本大使館は、「 安全の手引き 」を公開しています。犯罪の手口についての有益な情報もたくさんありますので、渡航前にぜひ読まれることをお勧めします!

緊急通報番号: 112
在ハンガリー日本国大使館 電話 : +36-1-398-3100

ABOUTこの記事をかいた人

鷲尾亜子

1997年よりハンガリー在住。日本とハンガリーでの新聞記者の経験を活かし、現在、Twitter では「 ハンガリーのニュース 」、また政治経済ニュースレター「 ハンガリー経済情報 」( 有料 ) を配信中。