授乳中の「 K 野菜 」はタブー?

ハンガリー生まれの息子は生後 2 週間で、特段理由も見当たらないのに何時間も激しく泣く「 コリック 」になりました。その時、周りからもらったアドバイスは「 K 野菜はやめた方がいいよ」。果たして、K 野菜とは何? そして、本当に授乳中のお母さんにはダメなのでしょうか?

K 野菜とは

K 野菜とは、次のようなものを指します。

Karfiol : カリフラワー
Káposzta : キャベツ
Kelbimbó : 芽キャベツ
Karalábé : コールラビ ( 薄い黄緑の球形。味はキャベツやブロッコリーの芯に似ています )

たまたますべての頭文字が K のため、“ K-betűs zöldségek ” ( = K 野菜 ) と呼ばれることに。

授乳中だった私は、これらを食べるのをよした方が良いと言われたのです。とある症状を引き起こす成分が母乳を通じて赤ちゃんに伝わってしまうから、泣き止まないと。

コリックとは

日本では「 疝痛 ( せんつう ) 」「 黄昏泣き 」などの呼び名が一般的です。
ハンガリーでも、” kólika ( コーリカ )” という言葉はありますが、普通は、” hasfájós baba (ハシュファーヨーシュ ババ )” 。

コリックの赤ちゃんは、特に理由も考えられないのに急に火がついたように大泣きし、あやしても何をしても全く止まらないのが特徴。

赤ちゃんなので泣くのは「 当たり前 」ですが、コリックの場合はノンストップで 2 時間でも 3 時間でも続きます。

ただ、熱が出る、吐く、日に日にぐったりするなどということはなし。泣いている以外は、普通に食欲もあり、体重も順調に増加。そのため、「 病気 」とは分類されていないのです。

多くの場合、生後数週間で、ある日突然始まります。そして数か月たったある日、突然終了。息子の場合も 2 週間半で突然始まり、3 か月を過ぎたある日、ウソのようにピタリと終わりました。

日本で 「 黄昏泣き 」と呼ばれるのは、「 夕暮れ時に泣くことが多い 」ということから。でも、必ずしもその時間帯に限られたことではありません。息子は、たいてい夜 10 時くらいからでした。時には深夜 2 時から日が昇るまで、なんてこともありました。

K 野菜の共通点

K 野菜は他の野菜と比べ、「お腹でガスを発生させやすい」とされます。

コリックで これらが犯人扱いされるのは、

お母さんが食べる。

母乳にガス誘発の成分が混じる。

それを飲んだ赤ちゃんは、お腹が張って痛く、泣く。
( 赤ちゃんは消化器官が未発達のため、うまく消化できない )

というのが定説として流布されているからなのです。

ハンガリー語の ” hasfájós baba “ は、「 お腹が痛い赤ちゃん 」の意味。この表現に端的に示されていますね。

「 K 野菜」の他にも、豆類、イモ類も同じ理由で、授乳中はやめた方が良いとよく言われます。ハンガリーだけではなく、他の欧米諸国でも言うことが多いようです。

本当にダメ? それとも迷信?

当時の私はネットで調べまくり、「 これが原因かもしれない 」という食材を片っ端から抜いて試しました。

K 野菜や豆類を食べるのを止めたのは当然の事、乳製品も一切抜き。ラクトース( 乳糖 )不耐症が原因かもしれないと言われるからです。カフェインナッツ類なども排除。

一方で、「 良い 」とされるものもいろいろと試しました。例えば、グライプ・ウォーター ( Gripe Water ) が赤ちゃんの消化を助けるということで買ってみたり。 ( これは、ジンジャー、フェンネルなどハーブの入った液体サプリメントで、赤ちゃんに飲ませるタイプ。 )

あの頃は、文字通り、藁をもつかむ思いだったのです。泣き続けられることへのストレスと睡眠不足が続き、心身共にゾンビ状態に陥っていました。

でも、息子に決定的に利いたものは一つもなし。試しているうちに突如として終わったというのが正しいです。 ( 笑 )

コリックが突然終わってからは、夜 7 時から朝 7 時までぐっすり…と夢のようでした。でも 8 か月でまた毎日、夜泣きするように(笑) Photo by Ako

実際のところ、コリックの原因はまだきちんと解明されてはいません。そのため、これと言った特効薬もないのが現状。

逆に、「 K 野菜のガス発生成分が母乳を介して伝わる」というのは単なる「迷信」ときっぱり言う医師もいます

私自身の経験からすると、食べ物をあれこれ我慢したことがさらにストレスを上昇させることに。栄養バランスも悪くなっていたのかもしれません。授乳中は一番、気をつけるべきことなのですが。

今思うと、赤ちゃんに「 病気 」を示す兆候がなければ、一過性のものと信じて、できるだけ構えることが大事と思います。なかなか難しいですけどね ( 笑 )   私自身が一番救われたのは、ある本にあった次のような趣旨の一文でした。

「 コリックはくじで引いたようなもの。何をやっても収まらなくても、あなたが悪いわけじゃない。いつか、かならず終わる」

今、もし、コリックで大変な思いをされているお母さんがいたら、同じ言葉をかけたいと思います。 大丈夫、私の息子も今では 15 歳。あんなに泣いていたのが信じられないほどたくましく育っています。 そして、周りのご家族は、赤ちゃんのあやし役をできるだけ買って出て、時にはお母さんを静かなところで休ませてあげてください!

ABOUTこの記事をかいた人

鷲尾亜子

1997年よりハンガリー在住。日本とハンガリーでの新聞記者の経験を活かし、現在、Twitter では「 ハンガリーのニュース 」、また政治経済ニュースレター「 ハンガリー経済情報 」( 有料 ) を配信中。