ブダペストでのアパート探しで詐欺にあってしまった、日本人学生凛 ( りん ) さん。体験談の後半は、どうしてこうなってしまったのか。防ぐ手立てはあったのか。皆さまもぜひ気をつけてください。
もくじ
被害に遭わないための教訓
オーナーの情報はもっと聞いておくべきだった
私の場合は、オーナーに関して持っていた情報がEメールアドレスと名前くらいで、決定的に足りませんでした。実際に顔を合わせたことはオンラインでもリアルでもありません。
フラットシェアの形で、他はドイツ人と中国人がいると聞いていたので、彼らのメールアドレスをもらって聞いておくという手もあったかと思います。
さらに、契約書に連名で署名していた弁護士の連絡先もきちんと聞いておけばよかったです。
あとは、メールなどでのやり取りは削除しないでしっかり残しておく方がよいでしょう。
内見前に送金は ✖
ハンガリーに到着後、周囲の友人知人に聞いたところ、やはり内見は必須と言われました。
自分の目で実際にアパートを見て、大家 ( または代理人 ) にも会って確認してから送金すべきでした。
実際、フェースブックで他の国の学生さんが、まず送金してから内見のアポを入れていたところ、アポがすっぽかされ詐欺に遭ったということが発生したそうです。
相手の言いなりにならないように
とにかく早く部屋を確保しておきたいと焦っていたため、契約書にしても支払方法にしても何にしても、相手が提示してきた方法をそのまま受け入れていました。
なぜトルコの口座が使えなかったのか?
なぜ急にドイツの口座になったのか?
など、あの時にもっと立ち止まって考えるべきだったと今となっては思います。
安すぎるのは怪しい
私に提示された賃貸料は、光熱費や Wifi など込みで 200 ユーロでした。しかも場所はブダペスト市の中心近く。後になって、周りの友人から 「 いくらフラットシェアでも安すぎる 」と言われました。
安すぎるのは、詐欺ではないにしても物件自体に問題があったりするかもしれません。安易に飛びつくと、なんらかの罠が潜んでいるリスクがあるのでご注意を。
管理人からのチェックポイント
管理人 ( 鷲尾 ) は、凜さんからお話を伺った後、実際に「 契約書 」を見せてもらいました。
そこでやはり、これは最初から詐欺だったとしか思えませんでした。
まずは、契約書が英語しかないこと。
ハンガリーでの賃貸契約は基本的にハンガリー語が「 正本 ( オリジナル ) 」です。滞在許可証を申請する際、移民局に提出する住居の賃貸契約も現地語正本が求められます。英訳版が別途渡される、またはハンガリー語に併記されているということはあっても、英語オンリーということはまずないです。
その他の決定的に疑わしい理由も、契約書とともに、挙げていきます。
〚A〛オーナーについて書かれているのは名前と身分証明書番号だけ。これではまったく不十分で、どこの国の人なのかもわかりません。
通常、オーナーの名前、住所、電話番号、Eメールアドレス、身分証明書番号が書かれています ( オーナーが企業の場合は企業のタックスナンバーや住所電話番号など ) 。
もちろん、身分証明書自体を偽造し、でたらめな住所を記載する犯罪者もいるでしょうが、まず最低でもこうした情報が入っていることは不可欠です。
同様に、凜さんについて、契約書で名前しか書かれていないのも不自然。大家からしても借りる人の情報は必要で、しかも顔を合わせていないなら、パスポートなど身分証明書のコピーを求めるはずです。
〚B〛アパートの住所が、通り名と番地のみになっています。賃貸契約で、当該アパートが「 何階 」、「 何号室 」と書かれていないものはありえないのでご注意を。( Angyal utca 自体は実在します )
次に、最後のページの署名蘭を見てみましょう。
〚C〛 大家側で保証人の形で署名しているのは ONOME AIGBE、 Lawyer ( 弁護士 ) となっていますが、「 弁護士 」であることを証明する情報がゼロ。本来であれば、所属弁護士事務所名やその住所、電話番号がついてしかるべきなのです。
また、振込先として連絡先がまったく特定されていない「 弁護士 」個人になっているのも不自然です。
大家が外国に住んでいるハンガリー人もしくは外国人というケースはそう珍しくはありませんが、その場合はたいていハンガリー国内でのコンタクトパーソンがいます。そうした人がまったくいない時は要注意です。
最後に、在ハンガリー日本国大使館も SNS を通した部屋探しなどで注意喚起のメールを在留邦人宛に発出していますので、紹介します。( 2021 年 9 月 15 日付 )
日本からハンガリーにお仕事や留学のために来られた方は、当地での生活の立ち上げのために、当地で必要な生活用品の購入やあるいは当地で住まれるアパート探しなどで、Facebook 等の SNS を利用されることもあるかと思います。
こうした匿名性が高く、誰もが参加出来る媒体を利用して売買や契約を行う場合、詐欺被害に遭う可能性も低くありませんので、信頼に足る相手方であるかを再確認する、実物を確認してから振り込みを行う等、十分にご注意ください。
このようなメールは在留届を提出し、登録すると配信してもらえます。その他、大使館による安全に関する手引きもぜひご確認ください。( こちらから )
ともかく、未知の人物を簡単に信じるのはやめましょう。これは、何もハンガリーだけのことではなく、日本も含めてどこの国でも言えることです。特にアパートなど、それなりの額のお金が絡むときはなおさらのこと。後で泣かないためにも、この物件、この大家で大丈夫なのか慎重に確認していってください。