気を付けて!アパート探しで詐欺にあった話 ( 1 )

ブダペストでのアパート探しで詐欺にあってしまった、日本人学生凛 ( りん ) さん。詐欺と気づいた時は、すでに遅し。入れる部屋はなく、払い込んだ家賃も戻ってきませんでした。体験談を 2 回に分けて共有してもらいます。

部屋探し~契約まで

凛さん
こんにちは、凛です。9 月からブダペストに留学しています。

8月末に到着し、既に契約していた ( はずの ) アパートに直行しましたが入れず。大家とは連絡が取れなくなり、途方に暮れました。今は学校の寮になんとか入ることができ、暮らしています。

周囲にそれは詐欺に違いないと言われ、被害届を出すべく警察にも行きましたが……結局、断念することに。

だまし取られた金額は 600 ユーロ。学生の私にとってはやはり痛い額。そしてなによりも心がすり減りました。他の方が同じような被害に遭わないためにも、事のいきさつと、そしてどうやったら防げるのか自分なりに考えたことを綴ります。

ブダペストで部屋を探すにあたって使ったのは、フェイスブックでした。当地の留学生たちのブログを読んで、多くの人が 「 フェイスブックを通して見つけた 」 と書いていたからです。

フェイスブック上にはいくつかのグループがあり、多くの物件が画像付きで紹介されています。逆に、自分が「 こういう条件で探している 」と投稿することも可能です。

 

フェイスブック上の賃貸アパート斡旋グループの数々。※ 記事とは直接関係ありません。

自分の場合は 8 月中旬に、「 予算は光熱費などすべて込みで 300 ユーロ内、市内中心部に近い場所で 探している 」と投稿。

そこで、Olivia Will と名乗る女性からプライベートメッセージが来て、彼女の友人が条件に合う物件を持っているから直接 E メールしてと連絡があったのです。

その友人は Katerina Pravcova という人で、早速メールを送付。返事もすぐきました。ハンガリーでは仕事をしていただけで、その際アパートを買い、現在は転勤でトルコに住んでいるとのことでした。

場所は 9 区の Angyal 通りフラットシェアの形で家賃は 200 ユーロ、デポジットは 2 か月分 ( 400ユーロ ) でした。

1 か月からの短期滞在が可能で、デポジットは退居時に返金されるとのこと。備え付けの家具や家電も細かく説明してくれましたし、もちろん写真も送られてきました。

この他にも共用部分の台所、リビング、バスルームなどの写真が送られてきました。画像提供:凛さん

私にとっては好条件だったのでとんとん拍子で話は進み、契約書も PDF 文書に署名を交わす形で、すべてオンラインで完了

顔を合わせることは一度もなく、内見もなしでしたが、フェイスブックでアパートを決めるというのはこういうものなのかと疑いもしていませんでした。

そして日本出発の数日前に、家賃とデポジット計 600 ユーロを送金。

手数料が安いので Wise ( 旧 TransferWise ) を使いました。送金先は、オーナーKaterina Pravcova の口座ではなく、契約書に証人として署名していた弁護士のトルコの口座でした。

しかし、Wiseから送金エラーの通知あり。それをオーナーに知らせると、今度はドイツの別の口座に送ってくれとの返事。もう出発当日の朝になっていたのであれこれ考える余裕はなく、そのまま従いました。今度はエラーは出なかったので胸をなでおろし、飛行機に乗り込んだのです。

これでブダペストに到着して、すぐに安心して寝られるーー

と、その時は思っていました。

 

アパートに入れない!

リストフェレンツ空港に降り立ち、これから留学生活がいよいよ始まるという気持ちの高まりを感じながら、早速タクシーでアパートに向かいました。

しかし、建物入口の扉には鍵がかかったまま。開錠方法もわからず大家に慌ててメールをしましたが、返事はなし。

 

もしかしたら騙されたのかも。

 

この時初めて、ふと嫌な予感がしました。
その晩は、なんとか友人宅に駆け込み泊らせてもらいました。

日本出発前のメールやり取り。この時はブダペスト到着日に即入居可という返事だった。 スクリーンショット画像:凛さん提供

 

ようやく大家からメールが来たのは 3 日後。着金が確認できないと入居できないとの返事。

しかし、Wise から私の所へは着金確認の通知があった後も、大家からはのらりくらりとしたメールしか来ません。気持ちは焦るばかりで、1 日に何回もメールを送ったところ、ぱったり返事が途絶えてしまいました。到着して 1 週間くらいのことです。

学校に相談したところ、「 それは詐欺に違いない 」と。まず在ハンガリー日本大使館に報告するよう促されました。

そこで、大使館に電話し、経緯を説明したのですが……基本的に個人的な問題には対応できないとのこと。自分で警察に被害届を出すようにと言われました。

ここでまた途方に暮れてしまいました。私はハンガリー語はもとより、英語もあまり自信がなく、一人では到底手続きができそうにありませんでした。しかも、ブダペストには着いたばかり。いったいどの警察署に行ったらよいのかもわかりません。

なんとか伝手を頼り、紹介してもらったのは当地に長く在住している日本人 A さんでした。私と同じ歳くらいのお子さんがいるため他人事ではないと心配してくださり、警察に付き添ってくれることに。留学生活スタート早々に散々な目にあったわけですが、A さんが親身になってくれたので本当に救われました。

警察に被害届を出そうとするも……

A さんと向かったのは、アパートの所在地である 9 区の警察署

画像提供:凛さん

賃貸契約書その他の証拠となるようなものはすべてプリントして持参しました。

ただ、実際は、被害届自体を提出できなかったんです

もっと正確に言うと、被害届の紙さえもらえませんでした。

 

警察署の待合室にいたところ私服警官が現れて、「まずは弁護士をつけるように」と。A さんが事情を話し被害届を申請したいと何度言っても取り付く島もなし。以下のことを延々と繰り返し言われるだけでした。

  • 今回のケースは初めて聞く。
  • 本当に詐欺にあたる犯罪かわからない。
  • オーナーと名乗る人物の個人情報が少なすぎる。
  • まず弁護士を通して情報を収集するように。それを裁判所に提出し、裁判所が捜査が必要と判断したら警察も動く云々。

せめて被害届でもと思っていたので、またしても意気消沈。

 

家族とも相談した結果、結局、今回は勉強代としてもう諦めることにしました。

「 弁護士を雇って 」となると煩雑な手続きになって長期戦になるのは必至。これ以上 A さんに甘えることはできませんでした。加えて、自分の精神的、金銭的負担も大きくなりそうでした。であれば、むしろ早く気持ちを切り替えて、勉強に集中したいと思いました。

 

次回は、振り返ってみて「 こうしておけばよかった 」ということをまとめます。

気を付けて!アパート探しで詐欺にあった話 ( 2 )

2021.11.24

 

ABOUTこの記事をかいた人

鷲尾亜子

1997年よりハンガリー在住。日本とハンガリーでの新聞記者の経験を活かし、現在、Twitter では「 ハンガリーのニュース 」、また政治経済ニュースレター「 ハンガリー経済情報 」( 有料 ) を配信中。