季節の移り変わりにより、野菜も旬を迎えます。旬の食材は、いつもより美味しいだけでなく、栄養素もぐんとアップ!食卓で四季を感じられるのもいいですよね。
ここで紹介するのは、ハンガリー在住日本人にも人気がある Medvehagyma ( メドヴェハジュマ ) です。 3 月上旬から市場に並びはじめ、ヨーロッパでは春の兆しを知らせる旬野菜です。
Medvehagyma とは ?
Hagyma ( ハジュマ ) は、ハンガリー語でいくつかの意味があります。例えば、ニンニク ( fokhagyma ) や玉ねぎ ( vöröshagyma ) など。このハジュマとは、ネギ属の植物に使う言葉なのです。Medvehagyma ( メドヴェハジュマ ) も例のごとく、このグループです。
では、Medve ( メドヴェ ) とは何でしょうか ?
これは、ハンガリー語で熊のこと。直訳するとクマネギとなります。鴨ネギならぬ熊ネギとはどういうことなのでしょうか。熊肉はネギと一緒にいただくと美味しいから?
実は、この名前の由来は、ハンガリーの自然環境にあります。中欧や東欧のブナ林などの森林でよく生えており、そこに暮らすヒグマが好んで食べることから、当地では、この名がついたのだそう。( 諸説あり )
味と香りは、ニラとニンニクの合いの子のよう。そのため、ヨーロッパ在住の日本人たちの間では、ニラの代用品としても好まれています。その他、北海道の特産品 ” 行者にんにく ” みたいと言われることもあります。刻んで餃子に入れたり、卵とじにしたり、アジアの料理にもピッタリな食材なのです。
ハンガリー在住者たちには、クマネギやクマニラ、クマニンニクと呼ばれ親しまれています。また、毎年 3 月頃に市場に並ぶので、春の訪れを感じさせる野菜でもあります。欧州の暗く寒い冬が終わる印。メドヴェハジュマを見ると、何だか嬉しい気分になるという人は少なくないでしょう。
メドヴェハジュマの栄養パワー
食用として収穫されるのは、4 月 ~ 5 月の開花前。 3 月上旬頃に柔らかい新芽をとります。市場に出回るのは、この若葉です。
メドヴェハジュマには、ビタミンが豊富に含まれています。また、殺菌や血液の浄化作用があるそうです。そのため、脂っこい料理が多いヨーロッパでは、コレステロール値の低下に良いとされています。
腎臓や膀胱をきれいにしてくれる働きがあり、排尿を促進。さらに、便秘など、腸や胃の不具合にも効くと言われます。これらの効能から Természetes Antibiotikum ( 天然の抗生物質 ) とも称される野菜です。
しかし、どんなものでも食べすぎは良くありません。
例えば、メドヴェハジュマをたくさん食べると血小板の働きを弱めてしまう可能性があるからです。この作用があるため、出血をともなう外科手術を受ける患者さんには、お勧めされていません。美味しく栄養もたっぷりですが、食べる量にはお気を付けください。
保存方法は?
新鮮なうちに食べるのが一番。わかってはいるものの、3 月頃にしかお目にかかれない野菜なので、「 今のうち! 」とばかりに買いだめしてしまいがち。市場では、私と同様にどっさり購入していく方々を見かけます。
しかし、一気にたくさん食べるわけにはいきません。我が家では、メドヴェハジュマ餃子を大量に作り、冷凍しておくのが恒例。
では、ハンガリー人たちは、あのたくさんの葉をどうやって保存しているのでしょうか?
よく知られているのは、メドヴェハジュマを細かく刻み、塩少々を加えてオリーブオイルに漬けておく方法。塩は粗めの方が良いそうです。これで 4 か月ほど日持ちします。
その他、乾燥させて粉末にし、スパイスとして保存します。お料理のアクセントとしてスープやパスタソース、マスタードなどに入れると ◎ 。さらに、フレッシュな若葉をそのまま、もしくは刻んで食料保存袋に入れて冷凍する家庭も。この時、完全に密封しないと冷凍庫がメドヴェハジュマの匂いでいっぱいになってしまいます。ご注意ください。
海外生活では、不慣れな食材に多々出会います。どうやって食べればいいのかわからず、手を出しづらいです…。食は健康の基本ですから、引き続き、現地の食材情報を日本語で発信していく予定です。どうぞ、お楽しみに。