ハンガリー在住 6 年目の駐在妻 ゆうさん ( 女性、30代 ) の連載 『 ハンガリーでマタニティライフ 』 第二回目となる投稿です。日本人夫婦がハンガリーで妊娠、出産するまでの体験談を連載で綴っています。
前回の掲載から早数ヶ月。実はこの間、ゆうさんは緊急入院することに。先日、無事に出産を終え、本連載を再開することになりました。今回は、外国で使える母子手帳やハンガリーの妊婦健診事情についてお届けします。
連載を再スタート
現在3歳になる娘、夫とねこ、そこに誕生したばかりの息子が加わり、家の中も一段と賑やかになりました。娘を妊娠中に日本で切迫早産と診断された経験があるのですが、この度、妊娠 7 ヶ月で早産と大量出血の危険があり緊急入院に。予定していたクリニックとは違い、万が一の事態に対応できるハンガリーの公立病院 ( 聖ヤーノシュ病院 ) でお世話になっていました。
せっかちなの ? 早く外の世界へ出たがった息子は、お腹の中で猛アピール。妊娠 28 週目で出血があり入院、安静に。そこから 4 週間後に再度出血があり、帝王切開で出産となりました。結果的に予定日より2ヶ月早い出産でした。1,950g で誕生した息子は、すぐさま新生児集中治療室 ( NICU ) へ。
早産の割には大きめだと病院で話題になりましたが、それでも小さすぎる息子は NICU で 10 日間ケア。その後、未熟児病棟に移り、さらに 10 日間母子同室で入院しました。トータルで考えると、2 ヶ月近い入院生活。想像以上に長い期間でした。( 出産については、後日、詳しく書く予定です。)
こういった事情で、第一回目の連載から、かなり間があいてしまいました。幸いにも、息子は元気にすくすく育ち、ようやく落ち着いてきたので執筆を再開します!
母子手帳は日本からお取り寄せ
ここでは、母と子の健康を管理するために活用される『 母子健康手帳 ( 以下、母子手帳 ) 』事情についてお話します。
まず、当地には妊娠から子どもの成長を記録できるような母子手帳はありません。現在では、世界中に広がっているそうですが、実は日本発祥の制度。
日本では、赤ちゃんの心音が聴こえて妊娠が確定したら、母子手帳をもらいます。私の場合、第 1 子の時は、地元 ( 三重県伊賀市 ) の子育て支援センターで受け取りました。その際は、病院が発行する書類などを持参。通常、住民票が無ければ発行できないとの事でしたが、市町村によって異なるようです。無料配布のところもあるそうなので、お問い合わせしてみてください。
日本の「 母子手帳 」のようなものはありませんが、妊娠中と、子どもが生まれてからの管理記録用に別々のブックレットがあります。 ( 前者は検診スケジュールなど入り )
民間クリニックで妊娠中のケアをお願いする場合も、最初の検診時でもらう妊娠結果の紙を持って居住地域の保健婦 ( védőnő ) を訪れれば入手可。これにより、保健婦は担当地域に妊婦がいると把握でき、出産後、自宅訪問をしてくれます。
妊娠中 : Várandósgondozási könyv
子ども用 ( 生まれてから ) : Gyermekegészségügyi kiskönyv
それ以外に、日本人が外国で母子手帳を入手する方法は 2 つあります。
① 母子保健事業団に問い合せ
第 2 子に関しては、「 母子保健事業団 」が発行している母子手帳 ( 760円+税金 ) を HPより購入し、日本の家族に送ってもらいました。( 海外発送もできるようです。 ) この母子手帳を使う理由は、日本語に合わせて英語での併記があるため。
英語以外にも中国語やポルトガル語なども用意されています。元々は、日本にいる外国人向けに作られたそうですが、海外在住者にも役立つと思います。残念ながら、ハンガリー語表記はありませんので、私は日英版をチョイス。
母子手帳は妊娠中の経過だけで無く、産後の赤ちゃんの検診の記録や予防接種などで長く使います。また、病院側に記入してもらう部分もあります。そのため、こちらで出産、子育てされる方の場合、英語での併記があるものの方がスムーズです。
英語表記があれば、読んで日付や体重など大事な記録をつけてくれます。予防接種の記録を書く欄もあり、手帳を渡すと医師が全部書いてくれました。
日本語のみだと先生は読めないので、手取り足取りどこに何を書いてほしいかの説明は必須。予防接種の名称や検診の項目などの専門用語を全て自分で英訳するのもとても大変ですし、産後にそんな余裕はありません。私自身、第 1 子の経験から、この母子手帳を選びました。今回は、英語併記があったおかげで、スムーズに記入完了。今後、外国へ移られる方、日英表記なので、海外から日本へ戻られる可能性がある方にオススメです。
② 在ハンガリー日本国大使館で無料配布
大使館でも母子手帳をもらえます。子どもが 20 歳になるまでしっかり記録できるタイプです。大使館の窓口で問い合せてください。その際に、産後の手続きに備え、出産予定等の確認はありますが、特に書類などは必要なく母子手帳を受け取れます。
ただ、難点が一つ。全て日本語のみなのです。国外で配布しているものなので、英語もしくはハンガリー語でも説明があるかと思ったのですが…。そのため、実際は ① の母子手帳を急きょ取り寄せて使用していたので、大使館でいただいたものは自分の日記帳代わりに。現地、かつ無料で受け取れるのは、大変有難いことです。今後の方々のために、英語併記版の採用も検討していただければと願っています。
妊婦健診は予定表なし!?
第1回では、妊娠初期の婦人科診察事情を書きました。ここでは、もう少し先をお伝えします。
まず、定期健診について。「お知らせか何か届く?」と聞かれますが、私たち日本人夫婦はハンガリーの保険を持っていないので、政府からは何もお便りがなかったです。駐在妻さんは、きっと私と同じ状況だと思います。大使館でいただいた母子手帳にも、当地の情報は入っておらず。第1子を妊娠後、要領がわからず非常に困りました。
さらに、病院でさえ今後のスケジュール表はもらえませんでした。最初の検診で「妊娠してますね」と診断され、「次はいついつに来てくださいね」と言われます。次回の予約をする時に、「次は〇〇の検査をしますね」とか「血液検査が必要なので絶食してきてくださいね」とか、毎回直前に先生から説明がある感じでした。
第1子の時は、どのくらいの頻度で検診するのかもわからず、不安でした。病院や医師によっても違うと思いますが、日本のように受け身でいてはいけません。積極的に尋ねましょう。
私の場合、最初の頃は 1 か月に 1 回ぐらいの頻度で健診へ。胎盤のできる位置がよろしくなく、 2 週間後にもう一度となることも。産婦人科に通う頻度は高めでした。妊娠周期によって健診回数が違いますが、ハンガリーでは何事もなければ、平均的に1ヶ月に1回ぐらいだと思います。
また、血液検査についてですが、クリニックによっては、検査をする仕組みをもっていないところもあるようです。第 1 子の際は、「次の検診までに血液検査を受けて、その結果を持ってきてね」と言われ … 。事情がわからなさすぎて、困惑しました。
第 2 子は、その教訓を活かして、全部を1つのクリニックで済ませられるところを選択。なるべく自宅から近い所でということもあり、ブダペスト 12 区にある Villa Medicina へ通いました。これから近所で病院を探す方は、ぜひこのあたりの設備も事前に確認してください。
次回は、ハンガリーの妊婦をとりまく環境や飛行機での渡航事情などをお伝えしますね。
☞ ハンガリー妊婦健診制度 ( 2 ) 健診や検査
☞ ハンガリー妊婦健診制度 ( 3 ) 特殊事情
☞ ハンガリー子どもの強制予防接種