「ハンガリーでサクラを追って」の第 2 弾は、ブダペスト以外の地方。国内では知る人ぞ知る、サクラ系の並木道が美しい名所や、意外な場所の八重桜などをご紹介します。
今年観れなかった方は画像で、ぜひ楽しんでください。また便利なマップ付きなので、来年のお花見計画にお役立てください。
もくじ
小さな村に一直線の美しい並木道
ブダペストから東に約 80 km 行ったところにある Gyöngyös / ジュンジュシュ市*。 日系企業 Stanley Electric Hungary Kft.(スタンレー電気子会社)の工場もあるところです。
そこから隣の、人口 2500 人にも満たない村 Gyöngyöstarján / ジュンジュシュタルヤーン* へ向かう道へ進むと、まるで絵画のような並木道が現れます。
(*グーグルマップではジェンジェジュと出てきますが、ハンガリー人の発音ではジュンジュシュの方が近いです。)
今回案内してくれるのは、ブダペスト在住の音楽家、尾西 秀勝さん。この並木道の存在を数年前に知ってから、ずっと訪れたかったそう。
植えられているのは Vérszilva / ヴェールスィルヴァという種類の木です。日本ではほとんど見かけませんが、ハンガリーではあちこちで出会えます。
ハンガリー語の意味は「 血のスモモ 」。日本語では、紅葉李 ( ベニバスモモ )、赤葉桜 ( アカバサクラ ) というそうです。葉っぱが赤シソのような色をしていることが由来のよう。
尾西さん、本当は満開となる 3 月下旬頃に行きたかったそうです。でもその時期にちょうどひどい熱風邪で長く寝込んでしまい、実際に訪れたのは 4 月 11 日のこと。それでも十分に楽しむことができ、むしろ遅れたからこその魅力もあったと言います。
Vérszilva にとって、赤い若葉は「 第二の花びら 」のようなもの。新葉が日に日に成長して広がる頃はまさに「 第二の開花時期 」として、散りゆく花と共に新しい色合いを楽しませてくれます。
現地で実際に花を見ると、花びらは 4 割ほど散ってしまっていました。しかし、赤葉の見事な色によって木全体が更に濃い桃色へと色づいている様は Vérszilvaならではの姿で、実に壮観でした。
また夏にも、ぜひ見に訪れたいと思いながら現地を後にしました。
村の美化協会が 1990 年代前半に植えたというこのベニバスモモ並木道。
この木の魅力は、「第一、第二の開花時期」の後も続きます。これから葉が生い茂り、強い日光を浴びて色づき、夏にかけて深い黒紫になっていく変化を楽しむことができます。
ハンガリー人のブログでこの並木道の四季折々の写真を見た尾西さん曰く、「 一般的な秋の紅葉とは異なった楽しみ方のできる木」。「 黒く艶やかになった姿は独特の渋さ 」とのこと。日本のどこかでこの並木道ができたら、きっと新しい形でお花見と紅葉を楽しむことができるはずと夢見ているそうです。
行き方
- 見頃:花だけならば3 月下旬 ~。赤い葉と楽しむならば 4 月下旬くらいまで ( 年により異なります )
- 住所:Gyöngyöstarján, 24138, 3036 ( ナビでは、Gyöngyöstarján, Vérszilva fasor で出てきます。fasor は並木道の意味 )
- アクセス (マイカーの場合) :高速道路 M3 ( 有料 ) のGyöngyös で降り、Gyöngyöstarján を目指します。ブダペスト中心部から渋滞なしなら 1 時間強。
- アクセス (公共交通機関利用の場合 ) : ブダペストからなら近郊バス Volánbusz ( 1045/1046/1049/1050/1066/1068 ) でジュンジュシュまで。
(Budapest, Stadion autóbusz-pályaudvar ➞ Gyöngyös, autóbusz-állomás 英語版路線検索はこちらから )
.
☆所要 1 時間 07 分 ( 1040 番は各駅停車のため所要時間が 20~50 分伸びます )
☆行きは、次の ①、②、③ のどれかから乗車
① 始発『Budapest, Stadion autóbusz-pályauar』( 切符売場あり)
②『Budapest, Kacsóh Pongrác út』( 切符売場なし )
③『Budapest, Szerencs utca』( 切符売場なし )切符売り場がない場合は、運転手からも買えます ( 若干料金はあがります )。もしくは、Volánbuszのウェブサイトで電子切符を購入し、運転手に提示。
⇓
④『Gyöngyös, toronyház』
⑤下車『Gyöngyös, autóbusz-állomás』
⑥ジュンジュシュ到着後は、徒歩ならば並木地までは約 5 km ( ただ、尾西さんによりますと、車道の脇にある歩道の道幅が非常に狭く、途中からは砂利道となり歩きづらいため、徒歩はお勧めできないとのこと )。バスならば、1305/1308/3677/3678/3680/3698で、Gyöngyöstarján, elágazásで下車。そこからすぐに見えます。
☆バス運賃 ジュンジュシュまで片道、現金精算で1490 Ft ( 電子切符は 5% 割引、有効な学生証提示で 50% 割引可 )
☆本数が少ないので、帰りのバスの時間も確認しておきましょう。 - ジュンジュシュタルヤーン村 公式HP: https://www.gyongyostarjan.hu/
- 写真撮影に関する注意:尾西さんによりますと、並木道では車の往来があり、徐行する車も多いそう。時々ハンガリー人の方で、道路中央に出て撮影した画像をSNS 等にあげているのを見かけますがお勧めできません。
その他の名所ーーマップ付き
ジュンジュシュタルヤーンの並木道も含めて、その他の地方の名所マップを作ってみました。
見頃は、八重桜なら 4 月中旬頃、サクランボならば 4 月上旬 ~ 下旬です ( 種類や、その年の気候によります)。
お花見に行くのであれば、ついでに街や村の様子、温泉や豊かな自然などセットで楽しまれることをお勧めします。
それぞれについて、簡単に説明していきます。
ケチケメートの Aomori Park
ブダペストから南東約 80 km の Kecskemét / ケチケメート市。日系企業ではNissin Foods Kft. ( 日清食品グループ傘下 ) のインスタントラーメン工場があります。
この町には、❝ Aomori Park ❞ という名の広場あり。
もともとケチケメート市と青森市は 1994 年に姉妹都市関係を締結しています。2016 年には、地元ライオンズクラブからの提案で、東日本大震災の被災者を偲び 35 本の八重桜の木を地元小学校前の広場に植樹することに。その広場を Aomori Park と命名したのです。( 出典: 青森市 )
以降、毎年、少しずつ植樹をして足していっているとのこと。あと数年したら、かなり立派になるでしょう。
Kecskemét-Aomori Baráti Kör ( ケチケメート青森友好協会 )
Facebook 公式ページ: こちらから
YouTube 動画はこちらから
ブダペスト中心部から車なら 1 時間~1時間半、公共交通機関なら 1 時間半程度。
ペーチの共同墓地
ハンガリー南部にある第 3 の都市 Pécs / ペーチの共同墓地には、とても大きく立派な八重桜の木々があり、写真好きやサクラ好きの人々には有名な場所です。
道路幅が狭いため、立派に成長した八重桜はまさにトンネルのよう。途中、同じ大きさの白い花をつける木もあり、コントラストが見事です。
Pécsi köztemető ( ペーチ市共同墓地 )
公式ウェブサイト:http://www.temetopecs.hu/
Facebook 公式ページはこちら
ブダペスト中心部から車なら 3 時間程度、公共交通機関なら 3 ~ 4 時間。
ザラカロシュの並木道
バラトン湖よりもさらに先にある小さな町 Zalakaros / ザラカロシュは、温泉施設が沢山あり、また自然も豊か。1 年を通して楽しめるところです。中でも、八重桜の季節はチューリップなども沢山咲いていて、村が一気に明るく彩られます。
Zalakaros / ザラカロシュ
公式ウェブサイト:https://zalakaros.hu/
Facebook公式ページはこちら
ブダペスト中心部から車なら 1 時間半強、公共交通機関なら 2 時間半 ~ 3 時間。
シャーロシュパタクの教会
スロバキア国境に近い北東の山間部の村 Sárospatak / シャーロシュパタクは、近くにある巨大石切場跡 Megyer-hegyi “Tengerszem” で有名です。ここは、国内で一度は訪れたい国内絶景スポットの 1 つ。
それと比べるとちんまりとはしていますが、根強いファンがいるのが Görög katolikus templom (ギリシャカトリック教会) の八重桜並木です。
教会の Facebook 公式ページプロフィール画像もご覧の通り、絵葉書そのもの。
遠いので、泊りで訪れるのがお勧めです。上記の国定公園でハイキングが楽しめるほか、温泉もあります。
Sárospatak / シャーロシュパタク公式ウェブサイト: https://sarospatak.hu/
ブダペスト中心部から車なら 2 時間半~ 3 時間、公共交通機関なら 3 ~ 5 時間。
ナジクルーの国内最大サクランボ畑 ☆ パーリンカにもなります
国内で最大、そして最も美しいと言われているのが、Nagykörű / ナジクルーのサクランボ畑です。
畑自体の規模は 200 ヘクタール以上のうえ、村の唯一の教会の庭、通り、家の庭などいたるところにサクランボの木が植えられており、まるで小さな村全体が木に囲まれているよう。人口 1800 人弱のところ、サクランボの木は 4 万本もあるのです。そして、種類も100 以上 !!
ここのサクランボは大半が輸出されており、パーリンカ ( ハンガリー産の果物を使った蒸留酒 ) にもなっていますよ。
下の動画では、村の牧歌的な様子や、畑がどれだけ広いかがよくわかります ( ハンガリー語のみ )。
Nagykörű / ナジクルー公式ウェブサイト : http://nagykoru.hu ( 一部英語あり )
ブダペスト中心部から車なら 1 時間半強、公共交通機関なら 2 時間半 ~ 3 時間。
Gyöngyös 到着までブダペストからバスに揺られること 1 時間強、そこから西へ約 5 キロメートル。途中、Gyöngyös 動物園のアルパカ家族に見つめられながらその脇道を通り、雄大な葡萄畑や牧草地帯を眺めながら風を受けて歩き、遠方に並木道が見えてきた時は、興奮しきりでした !