ハンガリーの花粉症、大敵は秋口に


スギいっぱいの日本から出れば「 花粉症からサヨナラできる! 」と思いきや、残念ながらそうは問屋が卸しません! ハンガリーにはハンガリーの花粉あり。特に秋口には「あの草」が猛威を振るいます。つらい症状の緩和や予防に、「 花粉飛散カレンダー 」飛散状況のチェック方法市販薬をご紹介します。

「 建国記念日 」とともに始まる最悪期

ハンガリーの花粉シーズンは 3 月から 10 月くらいまで。国土も狭いので、地方による花粉の種類や飛散時期に大きな差はありません。

日本と違い、スギがないのは朗報です。が、春先からはカバノキ科や、スギと同じグループのヒノキ科の樹木の花粉が飛び始めます。

続いて、春から夏にかけてはイネ科の草木。

そして晩夏、 8 月 20 日のハンガリーの建国記念日を迎えると、「ヨモギ」や「ブタクサ」花粉の全盛期となります。

表:ハンガリーの花粉飛散カレンダー ( 出所 : ÁNTSZ 抗原性の高い星 3 、 4 つの植物のみ抜粋 )

中でも、もっとも手強いのは「 ブタクサ ( parlagfű、パルラグフー )」

この国の約 20 %の人々がこの草の花粉に苦しんでいるとされます。( 出所:NEBIH )  花粉症になるのは秋のみ、という人も多いです。

私自身もハンガリーに住み始めてまずかかったのが、このブタクサ花粉症。喘息のような咳に鼻水、目は真っ赤、、、とスギ花粉よりもひどい状況。

一方で、春にアレルギー症状が出たのは約 10 年後。現在も春の症状は、秋ほどひどくはありません。( 人によっては春の方がひどい場合もあります。)

ブタクサは抗原性がきわめて強い草。繁殖力も半端なく、ハンガリーでは空き地などに大量に生息しています。そのため国内では、土地所有者は毎年、 6 月末までに除去する義務があると法律で定められているほど( * )。それでも残念ながら、依然として多いのが現状です。

*放置の場合は、 罰金 1.5 万 ~ 500 万 Ft ( 約 6500 円 ~ 215 万円 ) 。Ft =ハンガリーフォリント

花粉飛散状況をチェック

花粉の飛散状況を確認するには、以下のサイトが便利です。

全国気象サービス ( OMSZ )
Pollenjelentés (花粉レポート )” 。毎年、3月1日~10月31日まで飛散情報を毎日更新。

国家公衆衛生センター (NNK)
POLLENINFORMÁCIÓK ( 花粉情報 )” 。今日、明日、あさっての予報が確認できます。

その他にもありますが、これら 2 つはいずれも国の組織です。

下の画像は OMSZ から。その季節特有の草木を選択すると、「 顔マーク  」が症状の度合いの目安を教えてくれます。

NNK のサイトでも同様のマップがある他、夏の終わりからはブタクサ専用の項目も登場します。

3 月 28 日、ハンノキ ( Éger ) で調べてみました。まだそれほど飛んでいません。

花粉が多く飛び、「 顔マーク 」が赤や紫になっているときは、外に長時間いるのは控えましょう。

また、帰宅したら洋服から花粉をはらう、髪は就寝前にしっかり洗う、などもよく勧められています。

ただ、アレルギー症状が強く出る人にとっては、家の中にいてもつらいもの。症状緩和のための市販薬を、次にご紹介します。

処方箋なしで買える薬

いずれも 1 日 1 錠。アレグラ錠剤 ( 左手前 ) は、かなり大きい。

私の場合、今年 ( 2018年 ) は 3 月半ばからくしゃみが出始めました。

いつも服用しているのは、日本でもお馴染みの Allegra ( アレグラ )

とにかく不快症状を撃退したい一心で、アレグラのうち、 ” Forte ” という、抗ヒスタミン成分「 フェキソフェナジン塩酸塩 」の含有量が最も多いタイプを選んでいます。

ここでご注意いただきたいのは、ハンガリーも日本も「 アレグラ 」というブランド名は同じでも、フェキソフェナジン塩酸塩の含有量が違うこと。そのため、服用回数も異なります

ハンガリーのもの ⇒ 1 錠 120 mg 、もしくは Forte なら 180 mg。 1 日 1 回服用。

日本のもの ( アレグラFX ) ⇒ 1 錠 60 mg。1 日 2 回服用。

小柄な方は、効き過ぎにご注意ください!

今回は、他も試してみようと思い、薬局で尋ねてみることに。その結果、勧められたのは次の 2 つでした。

✓ Cetirizin HEXAL (セチリジン ヘキサル )

✓ Loratadin HEXAL ( ロラタジン ヘキサル )

いずれも抗ヒスタミン剤で、くしゃみ、鼻水などを抑えます。

アレグラと併せて、成分など特徴を比較したのが次の表です。

私はまずは、セチリジンを試すことに。アレグラと比べて 1 錠が小さく、飲みやすいのは ◎ 。服用開始以来、アレルギー症状もほとんど出ていません。

ただ、3 月下旬には雪が降るほど冷え込んだため、そもそも花粉の量が少ないこともあるでしょう。そのため、アレグラと比較するには時期尚早。

一方で、眠くなるなどの副作用は、アレグラと同様にありませんでした。あとは、薬によって随分と値段が違うのにはびっくり!

ハンガリーで買えるその他の市販薬

✓ セチリジン系
‐ Zyrtec ( ジルテック )
‐ Revicet (レビセット )

✓ ロラタジン系
‐ Claritine ( クラリチン )

✓ レボセチリジン系
‐ Xyzal ( ザイザル )
‐ ZILOLA ( ジオラ )

薬局では、症状が出始める 2 週間くらい前からの服用をお勧めするとのことでした。

追記 2022.09.01 市販の目薬

Photo by Yuri

武田友里
花粉症が出てくると、目がかゆくなるのも症状の一つ。当地の薬局で、処方箋なしで買える点眼薬 ( szemcsepp / セムチェップ ) を試してみました。

購入したのは Allergodil ( アレルゴディル ) 点眼薬 6 ml 。日本でもアレルギー性結膜炎の目薬に使用される医薬品 Azelasztin ( アゼラスチン / 日本での商品名はアゼプチン ) と Hidroklorid ( ハイドロコロイド ) を使用しています。

アルゴディル目薬は、花粉症などによる目のかゆみや充血の予防、治療に使われるもの。使い方はいたってシンプル。朝晩で 1 日 2 回、1 滴ずつ両目に。もし症状がひどい場合は、1 日 4 回までの使用を認めています。

1 滴ずつで足りる?と思ったのですが、使ってみてわかりました。1 回で出てくる液量が、日本の目薬と比べると多めなのです。初めて使用した時は、ドバっと落ちてきたので、びっくりしてしまいました。

使用書によると、 3 分で効果が現れるとのこと。確かに、数分でかゆみがおさまっている気がします。使用直後は、目がしょぼしょぼするような刺激がありましたが、それもすぐに消えます。使用後に眠気がくるようなこともなし。

ポーチに入れておきやすいサイズなので、持ち運ぶのにも良いです。ただ、2500 Ft 前後とそこそこのお値段。 使用量をしっかり守って、大事に使いたいと思います。

  • 使用開始年齢は 4 歳以上
  • コンタクトレンズ着用時の使用は避ける
  • 妊娠中の方は主治医に相談

花粉症の薬は、効果の出方、持続時間や、副作用の有無などで個人差があります。ご自分に合う最適のものが見つかると良いですね。

ABOUTこの記事をかいた人

鷲尾亜子

1997年よりハンガリー在住。日本とハンガリーでの新聞記者の経験を活かし、現在、Twitter では「 ハンガリーのニュース 」、また政治経済ニュースレター「 ハンガリー経済情報 」( 有料 ) を配信中。