新型コロナ・オミクロン株による感染が、ヨーロッパで爆発的な勢いで拡大しています。ハンガリーも例外ではなく、とうとう第 5 波に突入。
今後、1 日あたりの新規は 1.3 万人にもなりうるとも見られています。ハンガリー政府は引き続き「ワクチン・ワクチン・ワクチン」と、各種の行動制限措置を導入するよりはワクチン接種率引き上げで対応していく方針。最新情報をまとめました。
もくじ
現在の状況
政府コロナ対策本部が 12 日に発表したデータによりますと、新規感染者数は 7883 人でした。
検査陽性率は 43.1%。過去最高となりました。
新規感染者は 12 月には減少していましたが、1 月に入って明らかに増大傾向に ( 下図参照 ) 。カーシュレル人材大臣は 1 月 9 日、ハンガリーでもオミクロン株による感染拡大で、第5波に突入したという見解を示しました。
現在、オミクロン株は新規感染者の 29 % ( 政府対策本部 ) 。今後さらに加速度的に増加すると見られています。
一方、1日あたりの死者数、入院患者数、人工呼吸器装着者数はまだ減少傾向にあります。ただし、新規数の著しい拡大に伴い、同じように再び増加に転じるのは時間の問題でしょう。
* 今後、新たな変異株が出現せず、ワクチン接種率が劇的に上昇しない限りという前提。1 月 9 日時点の発言です。
- 1 日あたり新規確認数 1.3万人
- 入院患者 8000 ~ 9000 人
- 1 日あたり死者数 200 人
1 月 12 日時点では、入院患者は約 2800 人、死者は約 70 人 ( 過去 7 日平均 ) のため、実に倍以上深刻になりうるということ。
オミクロン株は感染速度が著しく高いため、爆発的な増加になると世界的に予想されています。
世界保健機関 ( WHO ) は 1 月 11 日、欧州地域では今後 6 ~ 8 週間のうちに人口の半分以上が感染しうるという予測を明らかに。感染しても大半は軽症と言われていますが、罹る人がそれだけ増大すれば分母が大きくなるため、入院患者や死者数も増加するのは必至。また症状の重さは、感染者の健康状態に大きくよるため油断は禁物です。
予約不要のワクチン接種
ハンガリー政府はコロナ対策においては、ロックダウンなどで ❝ 人々の行動を制限 ❞ するより、とにかく❝ ワクチン接種率を引き上げる ❞ ことで重症化の予防、感染拡大の抑制に力を入れています。
そのため、昨年 11 月下旬から 3 週間、希望登録および予約なしでのワクチン接種を全国 100 か所以上の病院などで試験的に導入。
その結果、その期間だけで大幅に接種者数が伸びたため、今年も何度か実施することを決定しました。
- 毎週木・金曜日 ➞ 14時 ~ 18 時
- 毎週土曜日 ➞ 10 時 ~ 18時
(1 月 13 日追記:2 月も最初の 2 週間の木・金・土曜日は、予約不要の接種日となりました)
国家医療保険に加入していて TAJ-szám ( 社会保障番号 ) を持っている場合はもちろんのこと、未加入の外国人でも接種可能です。全額国費負担のため、接種者が支払う必要はありません。
希望登録、予約不要の接種については、下の過去記事をご覧ください。滞在許可証は原則必要ですが、中には在留邦人の方でまだ取得できていないためイチかバチか行ってみたところ接種できたというケースもありました。
- ファイザー ( EU 承認済み )
- モデルナ ( EU 承認済み )
- アストラゼネカ ( EU 承認済み )
- ヤンセン ( EU 承認済み )
- シノファーム ( EU 未承認 )
ハンガリー政府は、2 回目 ( 必要回数 ) 接種から 4 か月経過した場合、18 歳以上のすべての人に 3 回目 ( ブースター ) 接種を勧めています。政府によりますと、6 か月経過で、免疫効果はほぼなくなるからです。
4 回目接種も視野に
政府はまた、4 回目の接種必要性の有無についても近く判断する見通しです。
カーシュレル人材大臣は必要になるだろうという見解。ただし、追加接種後の経過期間は 4 か月より長くなるだろうとしています。
政府は 4 回目接種について、3 回目接種後少なくとも 4 か月経過後、医師との相談の上勧められる場合は、誰でも接種できるようにしました。( 2022 年 1 月 17 日追記 )
ハンガリーのワクチン接種者数は 1 回目が約 630 万人 (全人口比 64.7% )、2 回目 ( 必要回完了 )が約 600 万人 ( 同 62 %) 。3 回目 ( 追加 ) 接種は昨年 8 月に開始になったため、既に約 330 万人 ( 同33.8% ) となっています。( 2022 年1 月11 日現在 )
18 歳未満の接種
ハンガリーでは現在、5 歳以上は接種できるようになっています ( 5 ~ 11 歳については、子ども用ファイザーを使用 )。いずれも保護者の同意書が必要です。
希望登録・予約なし接種の利用は、12 歳以上のみ可能。5 ~ 11 歳については、登録・予約の両方が必要です。
免疫証明書は条件厳格化へ
ハンガリーでは国内専用の新型コロナ免疫証明書とEU デジタル 証明書を取得することが可能です。
ハンガリー国内のものはクレジットカード大のカードか、スマートフォンでアプリをダウンロードするもの。EU の証明書は紙版か、アプリのダウンロードです。
ご注意いただきたいのは、ハンガリーの免疫証明書は、今後 3 回目 ( ブースター) 接種完了に紐づけされる見込みということ。( 現在は 1 回接種で発行で、ワクチン接種の場合は有効期限はなし ) 政府は近く、詳細を発表するとしています。
EU レベルでも、欧州委員会は昨年末に、免疫証明の有効期間を 2 回目 ( 必要回数 ) 完了後 270 日 ( 9 か月 ) とするよう加盟国に勧告しています。そのため、各国でも同様の決定がされそうです。
政府は、免疫証明書を「 ワクチン証明書 」に変更すると発表しました。
そのため、感染後治癒、抗体検査での証明ではカウントされなくなります。
証明書が有効となるのは:
- 3 回接種済み
- もしくは 2 回接種後 6 か月以内
発行済みのカードはそのまま使えます。QRコード読み込んだ場合のデータで、有効かどうか判断できるため。
18 歳以上が対象で (18 歳未満は 2 回接種で十分とみなす) 、2 月 15 日から。
免疫証明書に関する情報は、こちらをご覧ください。
もしや感染した? と思ったら
倦怠感、鼻水、のどの痛みや発熱などの症状が出たり、家族など近い人が陽性になった場合、どうしたらよいでしょうか? 次のいずれかを検討してください。
( 1 ) 自宅で抗原検査
現在は薬局で、複数の自宅でできる簡易抗原検査キット ( Covid-19 Antigén Gyorsteszt ) を購入することができます ( 有料 ) 。
( 2 ) 検査機関で PCR 検査もしくは抗原検査
現在は、国内の多くの場所で簡単に PCR 検査を受けることが可能に。
ネットで 「 COVID 」「 PCR 」「 teszt 」などのキーワードを入れ検索すれば、民間の検査機関がたくさん出てきます。英語で案内しているところも多いです。またたいていの機関が、自宅キットより精密な抗原検査も実施。
PCR 検査の料金上限は、法令で 19 500 Ft ( 約 7100 円 ) に設定されていますが、13 000 Ft くらいでも受けられるようになっています。
管理人は 12 月末に陰性証明を取得するために受けてきました。コンテナ状の出張検査所であっという間に終了。結果は 24 時間以内に E メールで得ることができ、希望すれば当局へもデータを送付してくれるので、免疫証明書にも反映されます。
PCR 検査陰性証明についての関連記事はこちら。
( 3 ) 家庭医やプライベートクリニック
まずは、電話で尋ねてみてください ( 診療所へはむやみやたらに行かない )。
家庭医は、症状など必要事項を聞いてから、必要と判断すれば PCR 検査実施を指示します。またその前に抗原検査を実施する場合もあります。 ( 家庭医指示の場合はいずれも無料 )
プライベートクリニックの場合は、診療も検査も有料です。
万が一、入院の事態になってしまった際はこちらをご覧ください。
強制隔離になったら
ハンガリーには
- otthoni karantén 自宅での自主隔離
- hatósági otthoniházi karantén 当局が命じる強制自宅隔離
の 2 つがあります。
無症状、軽症状の場合は通常、10 日間で終了。 ( 1月17日追記: 7日間に短縮になりました。また、隔離 5 日経過後、無症状で検査で陰性が確認された場合は、隔離終了が可能になりました。 )
強制自宅隔離の場合は原則、家から一歩も出てはなりません。違反して警察に摘発されると、罰金の対象となりえますのでご注意ください。( もっとも、強制隔離対象者は以前より少なくなってきているようで、現在、感染者 11 万人以上に対して、命じられているのは約 2.6 万人に留まっています。)
隔離中の食事や買い物に困ったら、こちらの記事をご参照ください。
現在の制限措置
ハンガリーでは現在も非常事態宣言が発令されていますが、制限措置自体は極僅かです。
- 屋内 ( 店舗、公共交通機関、文化施設、映画館など ) ではマスク着用義務。マスクの種類は問われません。
- 500 人超の大規模集会、スポーツ観戦、コンサート、フェスティバルは免疫証明書保有者のみ参加可能
- ブダペスト市内の温泉施設は、免疫証明書保有者のみ利用可
入国規制
日本からは引き続き、ハンガリー入国前 72 時間以内の PCR 検査陰性証明があれば、観光目的でも入国が可能です。入国後の隔離義務もありません。
商用の場合は、商用である旨の証明書類を提出すれば PCR 陰性証明も必要なく、入国後の隔離もありません。( 日本や EU 加盟国など指定国からの入国の場合 )
詳細については、こちらの記事をご確認ください。
また、在ハンガリー日本国大使館のウェブサイトをご覧ください。( こちらから )
皆さまにおかれましては、どうぞお気をつけてお過ごしください。
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