ハンガリー在住 6 年目を迎える駐在妻 ゆうさん ( 女性、30 代 ) は、現在、第 2 子を妊娠中です。日本人夫婦がハンガリーで妊娠、出産までの体験談を連載で綴っていきます。第 1 回は、当地の産科病院事情です。
寄稿への思い
現在 3 歳になる第 1 子は、ハンガリーで妊娠。 6 ヶ月までハンガリーで過ごしていました。マタニティ生活が少し落ち着いてきた妊娠 7 ヶ月目に 3 週間の予定で一時帰国。
しかし、帰国後に赤ちゃんが生まれそうになり、切迫早産と診断されました。結局、出産まで日本で入院することに。夫が待つハンガリーに戻ることができませんでした。
在住 6 年目、第 2 子となりますが、当地で出産するのは初めてです。今回、いよいよハンガリーでのお産を迎えることになります。ここでは、これからハンガリーで母になる方へ、少しでも不安を減らせるような情報を自身の体験を交えてお伝えしたいと思います。
第 1 子を妊娠、そして病院探し
「 もしかして? 」と思い、最初に行ったのは、ドラッグストアでした。日本でもお馴染みのスピード妊娠検査薬を買いました。
現地の検査薬パッケージ表は、ハンガリー語やドイツ語での表記ばかり。どちらの言語もできない私ですが、絵があるので、見つけるのは簡単です。イラストの説明もあり、言葉がわからなくても使い方は十分理解できました。
自宅で主人と一緒に陽性反応を確認。次のステップは、病院です。
私たち夫婦は当時、ブダペストから車で 1 時間ほどの町に住んでおり、外国人は珍しい環境でした。
ハンガリーでは国家保険に加入していれば、公的医療サービスは基本的に無料です。けれども私は、日本の民間保険加入者です。 ( 夫の海外赴任に伴い、海外で使える保険に加入 )
そのため、町の小さな公立病院では、日本人である私たちが「 お金を払うから診てほしい 」とお願いしても「 お金を受け取る仕組みがないから無理だ 」と断られてしまいました。
そこで夫の会社の方に手伝っていただき、地元のプライベート産婦人科を予約してもらったのですが … なんと 2 週間後 …。待てない、と思いました。苦笑
検査薬で陽性反応が出た時点では、受精卵は子宮に着床しています。怖いのは、子宮外妊娠でも同様に陽性反応がでるということ。
そこで、まずは、より早く予約が取れた勤務先に近い村の公立病院へ。その後、改めてプライベート病院で診察を受けることにしました。公立病院の方は「 外国人で国家保険が無い人も対応出来る 」ことは、忘れず確認。ようやく病院が決まりました。
ハンガリーで妊婦健診
私は、日本で婦人科を受診した事はあります。日本では、だいたい下記のように進みます。
- 先生とお話
- 小さい部屋で下着を外す
- 椅子型の診察台に座る
- 診察台が動いて、内診の体勢に
- 先生との間にはカーテンがあり、内診の間は直接顔を合わせない
- エコーのモニターだけが見え、カーテン越しに説明をうける
さて、ハンガリーではどうでしょうか。実際の流れを《赤裸々に》お伝えします。
まず、先生 ( 男性 ) と握手し、小さな部屋に通され、「 ここで下着を脱いでね 」と言われました。ここまでは日本の産婦人科 ① ~ ② の流れと同じ。
更衣室隣の部屋で診察するとのことで、次へのドアを開けました。そして、次の瞬間、私は衝撃を受けました!そこには驚きの光景が …。
ガラーんとした広い診察室の一番奥にベッドとエコーの機械と先生が立っているのが見えました。そこまでの距離は 10 数メートル。タオルや検査着も用意されていません。私は、ジーンズと下着を外した下半身裸の姿で先生の所まで歩きました。
まぁ、その道のりが長かったこと !! スカートで来るべきだった … と後悔しました。
診察台は普通のベッド。よじ登り、自分で足を開きます。日本のようにカーテンはなく、先生と顔を合わせたまま膣エコー。ここまで来たら恥ずかしいなんて言ってられません!
白黒のエコーモニターにぼやーっと丸いものが見えました ! 赤ちゃんの袋です ! そして次に聴こえて来たのは、ドクドクという心音でした!
「 これは赤ちゃんの心音ですか? 」と頑張ってハンガリー語で聞いてみたら、ドクターは ” Az enyém “ と。enyém ( エニェーム ) って何だっけ?
焦る私を横目に「 いやいや、僕のじゃなくて赤ちゃんの心音だよ~ 」と笑うドクター。そうか、エニェームは「私のもの」という意味 ! 冗談だったようです。そんな余裕こちらにはありません。感動の瞬間を返してー !!
公立の婦人科診察は男性入室禁止 !?
さらに私は重要な事に気がつきました。一緒に来てくれたはずの主人の姿がありません !!
なんと … ハンガリーの国公立病院では、産婦人科の診察室に男性は入室できないそうです。( 病院関係者除く )
プライベートの病院では殆どが旦那さんやお子さんも入室可能です。私は、そんな違いがあるとは知らず …。感動の瞬間をご夫婦で一緒に迎えたい方は、予約の時点でしっかり確認する事をオススメします。
診察室を出て、先生が夫に説明。そして、無事に支払いも済ませ、初めての検診終了です。
その 1 週間後、あらかじめ予約を取っていたプライベートクリニックに主人と向かうことに。今度はようやく一緒に、赤ちゃんの心音を聞くことができました。
プライベートのクリニックは、診察室というよりオフィスのような内装。お医者さんのデスクの横にベッドと診察台がありました。その部屋の一画に衝立があり、そこで下着をとり診察台へ。 ここでもやはり、先生との間にカーテンはなし。
ハンガリーでいくつかの産婦人科を体験しました。しかし、日本の『 内診台 』と呼ばれる椅子のようなものが自動で開脚姿勢に持っていくようなものは見たことがありません。
ここでは、すぐに診察できるよう、椅子はあらかじめ内診時の形に固定されているのです。 そして自分で高さのある椅子にお尻を乗せ、足を所定位置まで持ち上げます。かなり腹筋を使います !
そして何より、当地での検診は恥ずかしいです。医師や看護師は、タオルをかけてくれるようなことは一切ありません。
第 2 子妊娠で訪れたある病院では、部屋の角に背を向けて診察台が設置されていました。想像してください。ドクターはもちろん、アシスタント、同席している主人や上の子に向かって、ドーンと足を開くのです。苦笑
ハンガリーに来て 6 年目。いろんなことに慣れて来ましたが、改めて文字に起こすとなんと衝撃的なことでしょう。でも大丈夫です。ここではこれが当たり前。歯医者で口を開けるのと同じと思いましょう ( 笑 ) 。
次回は、当地の定期検診や母子手帳事情をお伝えしますね。
妊娠している ( 形容詞 ) terhes ( テルヘシュ )
妊婦 terhes nő、kismama ( テルヘシュ・ヌー、キシュママ )
エコー ( 超音波 ) ultrahang ( ウルトラハング )
赤ちゃん kisbaba、baba ( キシュババ、ババ )
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