ハンガリーでは 12 月上旬ともなると、いたるところでクリスマスツリー用の生木が売られ始めます。「 あーいいな、本物は 」と、日本では買ったことのない人も心惹かれるかもしれません。
でも気ばっかり急いて、予備知識なしで買いに行くのはご法度です。ツリーは飾って単にキレイ、で終わりではなく、家族にとって大切なシンボルになるもの。最後まで楽しめるよう、生木にはどんな種類があって、どんなことに気をつけるべきか 2 回に分けてまとめました。今回は『 我が家にぴったりの 1 本 』を知るためのガイドです。
『 うちに最も合う 』種類は?
ハンガリー国内では毎年、200 万本程度のツリー用の生木が売られるそうです。
中でも最も多いのは、 Lucfenyő / ルツフェニュー、Ezüstfenyő / エズシュトゥフェニュー、Nordmann fenyő / ノルドマンフェニューという3 種類。和名は、オウシュウトウヒ、コロラドトウヒ、ノルドマンモミです。
同じ fenyő ( 松 ) ファミリーだから、大差はないでしょ?
と思ったりしていませんか。
そういう管理人こそ、白状しますが、実はそうでした。でも、見た目、香り、葉の落ちやすさ、飾り付け作業のしやすさはそれぞれ違うのです。そして価格帯も、もちろん異なります。
それぞれが良い点、弱い点を持っており、どれが最も優れているとは言えません。好みや生活スタイル、家族構成、予算にもよるでしょう。
そこで、3 種類を比較してみたのが次の表です。まずはご自宅にどれが一番向いているのかご検討ください。
3 種類の比較 早見表
葉っぱはそれぞれこんな感じです。Ezüstfenyő には、青味がかったシルバーと緑色の両方があります。
ブダペスト市の議会建物前に飾られている、2022 年の「 国のクリスマスツリー 」は緑の Ezüstfenyő 。樹齢 45 年、高さは18メートルもあります。
小話 ☆ ツリーがとんだことに
駐在ファミリーとしてハンガリーに暮らしたことがあるまきえさんも、せっかくだから生木を!と買ったお一人です。
お子さんたちも楽しそう。飾り付けにも力が入ります。 ただ、年末年始に旅行に行って、帰宅したらとんでもないことになっていました。
ご主人:「 家を留守にしている間に、ツリーの下に芝生が生えたのかと思った 」
そう、これは Lucfenyő です。暖かく乾燥気味のところではとにかく葉が落ちやすく、毎日のお掃除が欠かせません。ハンガリーでは使い終わったツリーをゴミに出して良いのは年が明けてからです。そんなことも考えて、選んでみてください。( まきえさんの元のブログ記事はこちらから )
根っこ付き vs 根っこなし
種類の他に選ぶ基準として、伐採された「根っこなし」か、「根っこ付き」にするかがあります。
最近では、1回限りで処分してしまうのは…と根付きを買い求める人も多くなりました。
どちらにするか。それは好みや考え方によるでしょう。ここでは根付きを買う場合、事前に知っておくべきことを挙げておきます。
- 価格は、伐採されたものよりも高い。
- 自分で運搬する時、大きいものになればなるほど大変。
- 健康に保つために、より多くの注意を払う必要がある。
– 自宅に持ち帰ったら、すぐに部屋の中に入れず、まずは暖房の入っていない所 ( ガレージなど ) で数日慣らせてから入れる。室内では暖房器具の近くに置くのは厳禁 ( ※これは根なしも同様 )。
– 水はたっぷり与える。
– 暖かい部屋の中に入れておく期間は最短にとどめる ( せいぜい数日 ) 。ツリー用の木はもともと外で育っていたことをお忘れなく! - 飾り付けでは、重たいものをつけない。また、ライトで温かくなってしまうようなものは避ける。
管理人も過去に何度か、根付きを買ったことがあります。使い捨てが忍びなく、庭で育てたかったからです。
きちんと根付いて大きく育ってくれたのもあれば、細心の注意を払っていたつもりでも枯れてしまったものもあり。素人では難しいと痛感しています。小さな鉢植えのものも、本来は外でどんんどん根も張っていくものなので、鉢のままで育てようとするのは無理があるようです。
「 生木を切るのは環境破壊 」という心配も根強いかもしれません。ですが、実際は、これらの木はもともと人工的に栽培されているもので、言ってみれば切り花と同じ。森林伐採をしているわけではありません。使用後には、自治体の収集ルールに従って出せば、細断後に熱や植物などの mulcs ( 根覆い ) としてリサイクルされています。ですので、環境の点ではご安心を。
アレルギー、喘息持ちの人はご注意を
生木を買う前に、1 つ、注意したい点があります。
ここ数年、ツリーを飾っている期間中に、鼻水くしゃみ、目の痒み、呼吸のしずらさ、発疹などの症状を訴える人がいると指摘されるように。俗に「 クリスマスツリー・シンドローム 」と呼ばれています。
これは花粉ではなく、枝や幹の表面に生えたカビが原因。暖かい室内ではなおさら繁殖しやすくなります。
発疹やかぶれが出る人は、粘り気のある樹液の成分にアレルギーがある可能性があります。
すべての人に症状が出るわけではないので、ひどく神経質になる必要はないでしょう。しかし、アレルギー症状の出やすい人が家族にいる場合は、生木は買わない方が無難です。買う場合でも、室内に留めるのはほんの数日にする、換気をこまめに行うなどしてください。
もっとも人工ツリーも、ジメジメしてカビが生えやすい所に保管していた場合は要注意。カビアレルギーのリスクは生木と同じなのです。
クリスマスツリーを買う際の徹底ガイド ( 2 ) は、値段の目安、新鮮な生木の見分け方、家に持ち帰ってからの注意点などについてです。シーズン最後まで楽しめるよう、ぜひこちらもチェックしてください。
≪参考にした記事≫
● クリスマスツリーの種類について
A nagy karácsonyfa kalauz
https://www.megyeriszabolcskerteszete.hu/a_nagy_karacsonyfa_kalauz
● クリスマスツリーシンドロームについて
What is Christmas tree syndrome?
https://health.osu.edu/wellness/prevention/what-is-christmas-tree-syndrome
その他、記事作成にあたり、ヴェスプレーム市在住の森田友子さんからアドバイスをいただきました ( ご主人はモミの木ファーム経営 )。