ハンガリーにサクラはあるのでしょうか? 確かに日本のソメイヨシノのような並木道はありませんが、 cseresznyevirág ( サクラ ) はあります!
おススメの場所、そして桜偏愛を自負する管理人が考える「 ハンガリーでのサクラ探し醍醐味 」をお伝えします。
もくじ
おススメ1: 今後名所になりそうな「 風の門 」
まずお勧めしたいのは、公園 Millenáris Széllkapu ( ミネラーリシュ・セールカプ = ミレナリィ・風の門 ) 。ブダペスト 2 区のショッピングモール Mammut 隣にあります。
公園自体が 2020 年 8 月完成と新しいため、サクラの木はまだそれほど大きくはありません。が、30 本前後がきれいに植樹されていて、一斉に咲くと見事。今後数年内には「 名所 」になりそうです。
花はソメイヨシノそっくり。
でも、木の形が盃状であるためヤマザクラの一種のようです。( ソメイヨシノは傘状 ) また、樹皮も横の線がソメイヨシノより強めです。
この公園の良いところは、サクラだけではありません。実によく考えられたデザインと思います。
ここはもともとは Ganz という工場の跡地。その後、Mammut の屋外駐車場になり、何の魅力もない平らな場所でした。
その土地に緩やかな坂をつくり、立体的に。木や草花がとても多く、街のど真ん中にいながらにしてまるでリゾート地にやって来たような気分になれます。
公園内、そして隣接の公園 Millenáris にも遊具があるため、ファミリーで行ってもOK。(コロナでないときは、Millenárisではよくイベントや展覧会が開かれています)私が訪れたときは「 吊り橋 」は閉鎖されていましたが、そこからの眺めもよさそうです。
- 桜の見頃:3 月下旬 ~ 4 月上旬 ( 年により異なります )
- 住所:1024 Budapest, Kis Rókus utca (Margit körútとの角)、ショッピングモールMammut 2 の隣
- アクセス:公共交通機関はトラム 4 – 6 号線 Széna tér 下車、徒歩 2 – 3分。マイカーの場合は、公園に地下駐車場あり。路上駐車も可能 ( 現在はコロナ非常事態宣言中のため、禁止エリア以外は無料 )
- 開園時間:6 時 ~ 19 時 30 分 ( 無料 )
- Web:Millenáris Széllkapu
「 桜祭り 」につられて行ってはみたものの……
次にご紹介するのは、毎年 4 月に Sakura Ünnep ( 桜祭り ) が開かれている ELTE Füvészkert ( エルテ・フヴェースケルト=植物庭園 ) 。( ELTE は、国立エトヴェシュ・ロラーンド大学の略です。)
今年は新型コロナのため、あいにくお祭りは中止。それでも、植物公園自体は訪問可能 ( 温室施設は不可 ) でしたので、初めて行ってみました。
あぁ、ハンガリーでも立派なソメイヨシノ何本かに出会えるのかしら、とものすごく期待していたのですが……
あら? あらら?
え、見落とした?
庭園を 2 度ほどまわってみましたが、ありません💦 ( 庭園は、それほど大きくはありません )
そして気づいたのでした。あ、この一角が Ázsiai kert ( アジア庭園 ) かぁ!
頭の中には、世界三大がっかり観光名所のシンガポール「マーライオン」が大きく浮かんできてしまいました。
要するに、数種類のサクラが植わっていて、竹や池があるのがアジア庭園。少なくとも私が訪れたときは、桜の木自体が小さいため存在感があまりなく、ちょっと侘しかったです。
ただ、声を大にして言いたいのは、植物庭園としてはたくさんのお花が咲いていて、花好きには心躍る場所ということ。
そもそもここは、1771 年設立のハンガリーで一番古い植物園と、由緒正しき場所なのです。保有する植物は一万種類を超えるのだとか。
桜祭りも、後で調べてみると、折り紙や書道、茶道など様々な日本の文化を包括的に体験できるようなイベントになっているようです。
- サクラの見頃:4月上旬~
- 住所: 1083 Budapest, Illés utca 25
- アクセス: 公共交通機関の場合、最寄り駅は地下鉄 3 号線 Semmelweis Klinikák もしくは Nagyvárad tér、バス 9 番Kálvária tér。いずれもその後、徒歩数分。マイカーは周辺に路上駐車 ( コロナ非常事態宣言中は禁止エリアを除いて無料 )
- 開園時間: 9 時 ~ 17 時 (毎日)
- 入園料:大人 ( 1200 Ft )、小人 ( 600 Ft )。家族、高齢者、学生、ELTE 卒業生の割引あり。
- Web:ELTE Füvészkert
ELTE ならこちら ! 穴場です
実は、そもそもこの記事を書くきっかけとなったのは、ブダペスト在住の音楽家・尾西秀勝さんとの「 桜談義 」でした。
ブダペストならどこがキレイと言った話から、郊外のセンテンドレ ( Szentendre )、はたまたペーチ ( Pécs ハンガリー南南西部 ) やベルケーニェド ( Berkenyéd、スロバキア国境近く ) などの地方で素敵な場所があるらしいという話で盛り上がりました。
その中で、ELTE 植物庭園は残念ながらマーライオンだった話をすると、尾西さんは同じ ELTE でも、ブダペスト 11 区のキャンパス ( Lágymányosi Campus ) の情報を聞きつけ行ってみたのだそう。日本の桜が咲く一角 ❝ Japáncseresznye liget ❞ なるものがあるらしいのです。
「 15 ~ 20 本ほど桜が植えられていました ! 」と早速、画像を送ってくださりました。
「 桜小路 」のようなものがつくられており、ベンチがあるそうです。その他、いくつかの種類の桜の木が無造作に植えられた区画が脇に 2 つほどあるとのこと。
尾西さん曰く、「 広くはないですけど、ハンガリーで桜を堪能するには立派すぎる広さで大満足でした!」
確かにこれは、桜の枝の垂れ加減と言い、お花見したくなるスポットです !!
おススメ2 : 愛らしい八重桜の散歩道
サクラの仲間のなかでも遅めに咲くのが八重桜の代表的品種 「 関山 」。これが 200 ~ 300 メートル連なっていることで有名なのが、ブダペスト王宮地区内の Tóth Árpád sétány (トート・アルパード散歩道 )です。
関山の魅力は何といっても濃いめのピンクと何枚も重なった花びら。ポンポンふわふわして、満開になるとそれはそれは愛らしいです。
この散歩道は車両通行止めのため、小さいお子さんや犬といっしょでも安心。王宮エリアのお散歩と合わせるのが◎です。
私が訪れたとき ( 2021 年 4 月 11 日 ) は、木によって 1 ~ 3 分咲きでした。今後数日 ~ 10 日頃に見頃になると思います。
追記: 4 月 17 日には満開でした!
そして2022 年 4 月も、だいたい同じ中旬に見頃を迎えました。
- 八重桜の見頃:4 月中旬~ ( 年により異なります )
- 場所: 1014 Budapest, Tóth Árpád sétány
- アクセス: 行き方は何通りかあります。北側から入るのであれば、バス16 番で王宮のウィーン門前広場 Bécsi kapu tér で下車。南側から入るのであれば、同じバス 16 番でディース広場 Dísz tér で下車。
マイカーの場合は、ウィーン門近くの路上駐車エリアなどをご利用ください。
ブダペストきってのインスタ映えスポット
春先、ヨーロッパにはアーモンドの花がたくさん咲きます。バラ科サクラ属とあって桜の花とよく似ています。
ブダペスト随一の「 インスタスポット 」として知る人ぞ知るアーモンドの木 ( mandulafa ) は、ゲッレールトの丘の中腹に立っています。
Szabadság híd ( 自由橋 ) とドナウ川を一望できるところに、美しく咲きます。
ここは実際に自分の目で見るよりは、カメラに収めた方が数十倍も美しく見える場所です ( 笑 )
たくさんの人が、思い思いのポーズをして撮っていました。順番待ちしながらそれを観察するのも面白いです。
おまけ: 桜とアーモンドの見分け方
- アーモンドの花の見頃: 3 月下旬~ ( 年により異なります )
- 場所: Gellert hegy kereszt ( ゲッレールトの丘の Sziklatemplom / 洞窟岩教会の上方、十字架のあるところ )
- アクセス: トラムなら41 番、56 番。バスなら 133E、15、5、7 番。地下鉄なら4 号線。いずれも Szent Gellért Fürdő ( ゲッレールト温泉 ) で下車。そこからゲッレールトの丘を登り 10 ~15 分程度。マイカーならゲッレールト温泉周辺に駐車。
Gellert hegy は英語や日本語では通常「 丘 」と訳されますが、ハンガリー語では「 山 」。それほど標高は高くありませんが、急な坂道もあります。お出かけの際は歩きやすい靴で。
ハンガリーでのサクラ探し醍醐味
日本人にとって、桜と言えばソメイヨシノ。日本各地で咲き誇る圧巻のソメイヨシノの並木道は、残念ながらハンガリーにはないです ( と思います。)
20 年 以上暮らして到達した結論は、「 ないものを追い求めていると、つらくなる 」ということ。
もともとここは違う国なのだから、同じものはなくて当たり前。むしろ「 あるものを楽しむ 」方が暮らしを豊かにしてくれます。
「 あるもの 」に本当に気づいて存分に楽しんでいるか、というと、実はそうでもないと思い知らされます。
よぉく見てみると、桜や桜っぽい花には様々な色合いや大きさがあり、種類の多さに驚きます。
私の楽しみは、有名でもないところで美しい木を発見すること。それは時に、「 観賞用 」でもなく、田舎の家の庭で果実のために育てられているものだったりします。
そして、自分が美しいと思ったところが「 名所 」になるんだと思います。
そんな気持ちで歩くと、たくさんキラキラ光るものに出逢うこと間違いなし。「 マイ名所 」を見つけに、お散歩に行ってみませんか?
参考にしたサイト
【桜の豆知識】知っていますか?ソメイヨシノの見分け方
Ton’s Café:そっくりな花「アーモンド」と「桜」の違いや簡単な見分け方とは
Budapest Főkert Nonprofit Zrt. Gellért-hegy mandulafái