玉ねぎは食べてよし、貼ってもよし?


味の引き立て役、さまざまな料理で欠かせない玉ねぎ。その健康効果もまたスゴイ。血液をサラサラにしたり、最近ではガンの予防になるかもしれないと話題に。ハンガリーでも同様に、玉ねぎは健康づくりに欠かせない食品です。

実は、当地では玉ねぎを食すだけでなく、怪我の治療でも大活躍。民間療法として、応急手当てにも用いています。一体、どのようにして使うの? 本当に効くの?など、その真相を調査してみました。

ハンガリーのネギ図鑑

2019.06.05

玉ねぎの健康パワー

Vöröshagyma ( ヴルシュハジュマ ) 黄玉ねぎ    Photo by Yuri

年間を通して見かける玉ねぎ。多くの料理に使われる万能野菜でもあります。自宅にも常備している家庭も少なくないでしょう。ハンガリーでも一般的に使われる Vöröshagyma ( ヴルシュハジュマ ) 。Vörös ( ヴルシュ ) は紅色、Hagyma ( ハジュマ ) はネギ属の意味ですが、黄玉ねぎのこと。ここでは、このヴルシュハジュマのちからに注目します!

食べると消化を助けたり、血圧を下げる効果も期待されています。口にした時の効能はよく知られていますが、ハンガリーの家庭では、意外な場面でも大活躍。さて、食べる以外にどんな使い方をするのでしょうか。

怪我は玉ねぎで応急処置!?

先日、夫はバイクで転倒。幸い、スピードを落としていた時にスリップしたので大けがにはなりませんでしたが、打撲や切り傷を負いました。念のために病院でレントゲンを撮り、骨には異常なし。ただ、地味に痛かったのが足の親指の打ち身。突き指に近い状態とでもいいましょうか。

冷やすものをと準備していた時でした。夫は「 ヴルシュハジュマはある ? 」と聞いてきたのです。意味がよくわからず、「 あるけれど、なぜ? 」と聞き返すと「 湿布にするんだよ。」と。頭の中には ?マークがいっぱい。どのようにしたかと言いますと、下写真のような感じです。

黄玉ねぎ ( Vöröshagyma ) の皮をむき、それらを怪我した箇所を挟むように当てます。

粘着力はありませんので、布で巻いて固定。そのまま一晩、置いておきました。翌朝、ハジュマ湿布を外してみると、驚き !   内出血で青黒くなっていた所は薄く、腫れも治まっていたのです。写真ではいまひとつ違いがよくわからなかったのですが、目で見ると明らかに回復していました。

ハンガリーの民間療法に詳しい義母いわく、玉ねぎには殺菌抗炎症作用があるそう。ハチに刺された時にも応急手当てに使えるとのこと。

しかしながら、こんな湿布は初めてお目にかかります。一晩、安静にしていたから自然治癒しただけかもしれません。本当に玉ねぎパワーなのか、その真相を調べることに。

薬用植物、その使い方と効能

リサーチしてみると、ハンガリーでは実際に、一般家庭でヴルシュハジュマを薬のように使っているようです。ただ、夫の応急処置方法には少し間違いが。腫れた患部には、どうすることが勧められているかと言いますと …

  1. 傷口をきれいにする ( 患部に砂などがついていれば洗い流す )
  2. 冷やす
  3. 玉ねぎをすりおろす
  4. すりおろした玉ねぎを清潔なガーゼで包む ( 汁気がある状態で )
  5. 患部にあてて、しばらく安静に

夫は、皮をそのまま使いましたが、すりおろした方が効果的なのだそう。殺菌作用が傷口に効き、膿むのを防ぐため、治りが早いのだとか。さらには、抗炎症作用が腫れを抑え、鎮静作用で痛みも和らげます。( すりおろすと汁気があるので、かけらを使うより傷にしみるかもしれまんが。)

蜂に刺された時は、すぐに病院へ。ただ、近くにお医者さんがいないこともあります。その時も同様に、応急処置として玉ねぎは使えます。炎症を抑え、解毒を助けてくれるそう。

ハチミツ大国で気を付けること

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火傷の手当にも使えるようです。身近な食材なので、知っておくと、万が一の時に役立つかもしれません。

火傷、あかぎれ、肌荒れに

2019.01.30

その他、ハンガリーの家庭では、インフルエンザや風邪の際にも登場! 玉ねぎの汁に脱脂綿を浸し、鼻の下に置くと、鼻水で苦しい症状が緩和されるのだとか。その様子を想像するとちょっと面白いですが、苦しみから少しでも逃れられるなら試してみる価値はありです。また、気管支の病気には、水と玉ねぎの汁を黄金比 3 : 1 で混ぜ合わせて温め、その湯気を吸引するそうです。

咳がつらい、のどが痛い時のハンガリー家庭療法

2018.03.07

目や鼻に刺激が強すぎないか少し心配ですが、今度、風邪をひいた時には ( ひかないようにしたいですが )、ハジュマ療法に挑戦してみます!読者の皆さまがトライされましたら、ぜひ体験談をお聞かせください。

肝臓や胆のう、腎臓に疾患がある方は、生の玉ねぎとその汁を口にすることは勧められていません。身体に良いといっても摂取しすぎるのも望ましくありませんので、ご注意を。また、怪我の手当て時は玉ねぎ臭が多少なり発生しますので、利用場所にはお気を付けください。
参考にした主な記事
Mindmegette : http://www.mindmegette.hu/10-hagymafajta-amit-ismerned-es-hasznalnod-kell-50275/
HáziPatika.com : https://www.hazipatika.com/gyogynovenytar/voroshagyma/10
HáziPatika.com : https://www.hazipatika.com/gyogynovenytar/voroshagyma/10?autorefreshed=1
naturmagazin : https://naturmagazin.hu/hagyma-a-termeszetes-gyogyitasban/

≪ ワンポイント☆ハンガリー語 ≫

duzzanat  ( ドゥッザナトゥ ) … 膨らみ、出来物
égés ( エーゲーシュ ) … 火傷
fájdalom ( ファーイダロム ) … 痛み
genny ( ゲンニュ ) … 膿 ( うみ )
influenza ( インフルエンザ ) … インフルエンザ
kelés ( ケレーシュ ) … お出来
meghűlés ( メグフーレーシュ ) … 風邪
nátha ( ナートゥハ ) … 風邪
seb ( シェブ ) … 傷
sérült ( シェールルトゥ ) … 怪我人
tályog ( ターヨグ ) … 膿瘍 ( のうよう )


ハンガリー暮らしの健康手帖では、読者の皆様の体験談をお待ちしております!自分の経験が誰かにとって価値ある情報になるかもしれません。海外暮らしに役立つ知恵をぜひ当ブログお問合せからご投稿ください☆

ABOUTこの記事をかいた人

武田友里

日本ハンガリーメディアート在籍の撮影コーディネーター ( Production Coordinator ) です。神戸大学を卒業後、映画などのロケ地として人気になっているブダペストの大学院でメディアの世界に飛び込みました。現在は、マルチリンガルを活かして、ハンガリーを拠点に中欧・東欧諸国での取材・撮影で走り回っています。