ハンガリー在住 5 年のすみれさん ( 30 代、女性 ) 。ようやく待望の子宝に恵まれ、喜びに包まれたマタニティ生活を送っていたのですが、、、検診で妊娠糖尿病と診断されて大ショック。
日本でも同検査を受ける機会があり、両国での違いも知ったそう。当地での検診準備や流れ、注意事項、診断の違いなどをレポートしてもらいました。
最後には、ハンガリーでよく見かける食品の中で、糖尿病の方におすすめではないものリストを掲載。どうぞ、ご活用ください。
まさかの妊娠糖尿病に
「 妊娠糖尿病 ( Terhességi cukorbetegség ) 」とは、妊娠中に見つかる糖代謝異常のこと。
症状は一般的な糖尿病よりは軽く、気づかないことが多いそうです。でも、母体や赤ちゃんにも影響してしまう症状なので、決して侮れません。
例えば、❝ 赤ちゃんが巨大化し、帝王切開率が上昇してしまう、難産になる ❞ などが挙げられます。最悪の場合は、死産に繋がってしまうことも。
専門医によると、ハンガリーでは妊婦の 20% 程度が妊娠糖尿病になっているそうで、珍しい病気ではありません。そして私もその診断を受けた一人です。
実際に、当時の私 ( 妊娠 24 週目 ) の状態を振り返ると、、、
- 年齢 : 34 歳以下
- 体重増加も理想的で 4 kg 以内 ( 非妊娠時の体重は適正、BMI 21 )
- 血圧:正常値
- 過去に糖尿病の診断を受けたことはなく、家族にも糖尿病の人はいない
- 原因不明の流産経験あり
- 羊水量は正常
- 運動習慣 : なるべく毎日散歩
高齢出産でもなく、健康診断ではいつも健康と言われてきたので、リスクは決して高い方ではありません。私自身、まさか自分が ?! 、と驚いたほど。自覚症状もまったくなかったのです。
では、実際にどのようにして「 妊娠糖尿病 」と診断を受けたのか、その流れや日本との違いをお伝えします。
ハンガリーと日本の違い
検査時期は、妊娠 24 週 ~ 28 週目で、28 週目までに必ず受けるように指示されます。
方法は『 75g 経口ブドウ糖負荷試験 ( 75gOGTT ) 』と呼ばれるもの。ブドウ糖の入った水を飲み、血糖値を 3 回図ります ( 飲む前、飲んだ後 60 分後、120 分後 ) 。
ここまではハンガリーも日本も相違ないのですが、検査を受けるまでの準備や診断の仕方は異なりました。では、一つずつ見ていきましょう。
ハンガリーでの検査の流れ
① 薬局で 75g ブドウ糖負荷試験用のグルコースを購入
② 検査前夜に 250-300ml の水に溶かす ( 飲みやすくするためにレモン半分のしぼり汁を入れても良い) ※1
③ 冷やした方が飲みやすいので、一晩冷蔵庫へ ( 常温が良い場合はそのままでも可 )
④ 翌朝、③ の試験用糖質液を持って病院へ ※2 ※3 ※4
⑤ 1 回目の血液検査 ( まずは何も飲んでいない、胃が空の状態で )
⑥ 試験用糖質液を 5 分以内に飲み干す
⑦ 最後の一口を飲み終えた時間から 60 分、座った状態で待つ ※5
⑧ 2 回目の採血。その後さらに 60 分座って待つ ※6 ※7
⑨ 3 回目の採血 ( ⑥からは120 分経過 )
⑩ 終了 ※8
※2 血液検査を行いますが、同時に尿検査も有り。自宅出発前にトイレに行かないように。
※3 検査中は飲食禁止。ミネラルウォーターも飲まないように言われました。
※4 検査の10 時間前までには夕食を済ませること。( 食事内容の制限は特になし )
※5 60 分時点で採血をするので、タイミングを見計らって自分で採血してもらう場所へ。
※6 120 分時点で採血をするので、タイミングを見計らって自分で採血してもらう場所へ。
※7 気分が悪い、ふらつくなどの症状があればすぐに医療スタッフに知らせてください。
※8 国家保険加入者の場合は、公立病院で検査すると無料です。
用意するもの
- 試験用糖質液
- トイレットペーパー ( 公立病院の場合は、基本的にありません。尿検査もあるので、持参してください )
- 水 ( ミネラルウォーターは ✕ 。病院によっては、ウォーターサーバーが設置されていることも )
- 本 ( 待ち時間が非常に長いので、暇を潰せるもの )
- 時計 ( 時間を計測できるもの、携帯電話などをお忘れなく )
- ブランケット ( 冬の場合は、病院の廊下兼待合場所は寒いため )
- 座布団 ( 冬は座って待つベンチが冷たいことが多々あります )
日本の病院では既成の試験用糖質液が用意されていますが、ハンガリーでは自分で作って持って行かなければなりません。
味は甘ったるいですが、レモン汁を少し入れたおかげで気持ち悪いほどの甘さではなく、何とか飲みきれました。日本で与えられるものは、濃いサイダーのよう。常温か冷えたものどちらかを選べます。
ハンガリーでは糖質液を飲んだ後、気持ち悪ければ少しの水分摂取は問題ないと言われましたが、日本では基本的に摂取不可。
また、当地では採血のタイミングは自己申告制です。待っていても名前を呼んでもらえるわけではありません。採血時間を大幅に過ぎてしまった場合は、別日に検査のやり直しになってしまいます。
診断の違い
判定基準となる数値も日本とは異なります。ハンガリーでは、120 分時点が日本より厳しいです。
各国ともに上記 3 項目のうち 1 つ以上を満たす場合は、妊娠糖尿病と診断されます。
私は 120 分地点で、8.2 mmol/l ( 147.6 mg/dl ) の結果に。日本では正常値ですが、当地ではアウト判定となりました。
ただ医師によると、極端に上回っているわけではないので薬物治療は必要なしとのこと。自分で血糖値管理 *をすること、また食事療法を行うよう指示されました。
*管理に必要な「 血糖値計 ( vércukorszintmérő )」 の購入には、国家医療保険が適用されています。
食事で特に気を付けることとして指導を受けたのは、
- 食事のはじめに野菜をたっぷり食べること
- ヘルシーだからと果物を食べすぎない
- 食事を小分けにし、毎回の食事で決められた糖質量以上摂らないように心がける ( ストレスを溜めすぎないように )
- 注意すべき食べものを知っておく
この 4 つでした。④ に関しては、食品リストをもらいました。
一体どんな食べ物に気を付けないといけないのか、ハンガリーでよく見かける食品を一覧表でご確認ください。
ハンガリーで要注意な食品
■ : あまり食べない方が良い、食べる場合は少しだけ
■ : 糖尿病の場合、お勧めできない食べ物