ハンガリー在住 3 年目のまじゃおらさん ( 30代、女性 ) は、当地で第 2 子を妊娠、出産しました。その体験談を連載しています。第2回目は、妊娠中期・後期の健診・検査のことやお財布事情です。日程を組むうえでのアドバイスや、仰天事件から学んだ教訓などを綴ります。
年齢:30代
保険:ハンガリーの国家保険に加入 ( TAJ kártya あり)
在住地:ブダペスト
妊娠、出産経験:日本で有り、ハンガリーでは初
ハンガリー語レベル:初級 ※英語での日常会話はOK
第2子出産年:2023年
妊婦健診、検査について
前回は、検査だらけの第1トリメステル ( 妊娠初期 ) についてレポートしました。今回は、第2~第3トリメステル ( 妊娠中期・後期 ) で「どこで」「どんなことを」「どれぐらいの頻度で」したのか、をまずお伝えします。
私の場合、自己負担なしの公立機関と有料プライベートクリニックのサービス両方を使うという選択をしたため、通った健診、検査機関は
- プライベートクリニックの産婦人科
- 保健婦センター ( Védőnői szolgálat )
- 町の公立検査場 ( 主に血液検査、尿検査、妊娠糖尿病検査 / 75g OGTT を行います。これらの結果を持って妊婦健診へ )
- 遺伝学的エコー検査 ( Genetikai ultrahangvizsgálat ) を受けられる施設
- 出産予定の国立病院
これらの場所では
- プライベートクリニック主治医 L 医師
- 保健婦 ( Védőnő ) V さん
- 遺伝学的エコー等の検査官
- 出産予定の国立病院の医師と看護師
このような方々が関わっていくことになります。特に主治医と保健婦さんとのコミュニケーションは長期に渡って重要です。
主治医の健診は妊娠中番にさしかかると、だいたい月 1 レベル。私の場合は、途中で夏休み期間を挟んだこともあり、次の健診が 5 週間以上後になった時もありました。
その間に誰も何もしてくれないのかというと、そうではありません。 合間には、保健婦さんによる健診 ( 体調確認や簡単なエコー、出産準備の相談等 ) や遺伝学的エコー検査で胎児に異常がないかのチェックがあります。
保健婦さんの健診も月1回程度。なので、主治医の健診と保健婦さん訪問予定が交互に入るようにスケジュールしました。
- 血液・尿検査など 例:1 月 1 日
結果がでるまでに 1 週間程。国家保険番号があれば、オンライン上で結果を確認できます。検査終了後はそのまま帰宅。 - 主治医による妊婦健診 ( エコーあり ) 例:1 月 10 日
検査結果が出ている状態で行くのがベストです。なので、① は ② の 1 – 2 週間前に受けておくのがよいでしょう。 - 次の検査や追加検査があれば 例:1 月 15 日
- 保健婦さんによる健診 ( エコーあり ) 例:1 月 24 日
保健婦さんには、主治医の診断書と検査結果も見せられるとバッチリ ◎ - 主治医による妊婦健診 ( エコーあり ) 例:2 月 7 日 ②と④の間は約1か月
こうすると、第2トリメステル期間でも 2 週間に 1 回ぐらいの適度な間隔で胎児の心音を聞いたり、動きを超音波検査で確認できます。
第3トリメステル ( 妊娠後期 ) は、毎週どこかで検査や健診を受けているので、また大忙し。第2トリメステルと違う点は、臨月には ❝ 出産予定の病院で ❞ 週に 1 回 NST ( Nonstress Test )※があるということ。さらに NST は、予定日を過ぎると毎日に。
※ NST は ノン・ストレス・テストの略。ストレスがない =子宮の収縮が起こっていない ( お産が始まっていない ) 状態で胎児の心拍数を調べる検査です。ママのお腹にセンサーを当てて胎児の心拍数をモニタリングします。
お腹の子はなかなか出てこず、私は大きなお腹を抱えて坂道だらけのエリアにある病院へ連日通わねばならず。出産直前に試練を与えられた感じでした。苦笑
保健婦さんによる健診は、出産直前になると自宅訪問に。心身的にもとても助かりました。
その際、出産した後の手続きなどの説明も受けました。驚いたのは、こちらでは出生証明書を出産後、入院生活中に出さなければならないこと。実際に、私の入院期間も、ここでは一般的な 2 泊 3 日でした。
そのため、生まれたらすぐに自分たちで保健婦さんにお知らせします。すると退院までに、その時に対応できる保健婦さんが来てくれる仕組みです。
なので、出産までに重要だったのは「子どもの名前を決めておくこと」でした。退院までに子どもの名前も報告しなければなりませんから、産んでから考える、では時間的に厳しいかもしれないですね。
子どもの顔を見てから名前を決めたいという場合や性別がはっきりしない場合は、妊娠中に何パターンか用意しておくのがいいかなと思います。
出産直前までの総費用
- プライベートクリニック主治医による健診 … 20,000 Ft × 2 回 = 40,000 Ft
- 遺伝学的エコー検査 … ( 公立病院で検査したため ) 無料
- 保健婦を訪問 … ( 公的サービスのため ) 無料
- 妊娠糖尿病検査 … ( 公立の検査機関のため ) 検査料は無料、75gブドウ糖不可試験用グルコース購入+試験用糖質液準備 500 Ft 程度
- 血液検査、尿検査 … ( 公立の検査機関のため ) 無料
合計 40,500 Ft
※プライベートクリニックでの費用は、全額自己負担です。国家保険は適用されません。
- プライベートクリニック主治医による健診 … 20,000 Ft × 3 回 = 60,000 Ft
- 遺伝学的エコー検査 … ( 公立病院で検査したため ) 無料
- 保健婦を訪問 … ( 公的サービスのため ) 無料
- 血液検査、尿検査 … ( 公立の検査機関のため ) 無料
- NST … ( 公立病院のため ) 無料
合計 60,000 Ft
※ 移動でタクシーを使った場合などの車代は含めていません。
第 1 トリメステルは合計で 74,000 Ft でしたので、妊娠から出産までのトータル費用は 174,500 Ft でした!
実は私、妊娠中期直前に妊娠とは別で、体調を大きく崩して救急車で運ばれる事態になりました。そのため、妊婦健診に行けなかった時もあり、本来であれば、主治医による健診は回数がもう少し多かったと思います。
ですので、それも含めて考えると、私のように公立とプライベートサービスを組み合わせた場合は、妊娠費用は 250,000 Ft 程度 ( 10 万円強 ) になるのでは。
ハンガリーの妊婦健診は公立機関も利用する場合、いろいろな場所で検査・検診をするため、日本に比べると慌ただしくなります。ただ、地域に根付いたそれぞれの機関で妊婦を見守っていくような。
一昔前の日本もこうだったのでは?とタイムトラベルしている気持ちになれました。笑
ハンガリーあるある? NST でストレス Max
私が通った病院は ブダペスト 12 区の聖ヤーノシュ病院 ( Szent János Kórház )。在留邦人が出産する場合、エリア的にこの病院へ行かれる方が多いようです。
なぜこの病院にしたかというと、自宅から比較的近かったというのもあるのですが、選んだ理由は大きく2つ。
- プライベートクリニックの主治医が働いているから
- もう一つの候補病院は、病院決定頃に大半の医療スタッフが一斉に辞めるというニュースがあり、不安を持ったから
2021 年 1 月から公的医療制度が大きく変わり、医師が公的医療機関とプライベートクリニックの診療を掛け持ちするのは、原則禁止になったと聞いていました。実際には、急な変更でいろいろ不都合や問題があるのでしょうか。まだ掛け持ちしている医者は少なくないようです。
自分で決めて選んだのですが、公立病院では本当にいろいろありました。その中でも特にストレスが大きかった NST ( ノンストレステストのはずなのに負荷大。笑 ) での出来事をお話しします。今になっては笑い話、聞いてください。笑
よれよれゴム紐事件
まず最初の珍事件。私は第1子を日本で出産したので、NSTを受けるのは初めてではありません。ですが、当地の病院で検査室に入って仰天。
個室ではなく妊婦は横並びに座って、集団で検査。大きなお腹を丸出しにします。その中に入ると、正直、自分が牛舎にいる乳牛にでもなった気分でした。苦笑
そしてなんと、検査用具は自分でセットしなければならず。渡されたのは、使い込まれてヨレヨレに伸びきったゴム紐。
それをお腹に巻くように指示を受けます。通訳で付いてきてくれた友人もそれを見て驚いていました*。
*ハンガリーでも有料のプライベート病院ならば個室で行うのが一般的です。また紐なども担当者が着けてくれます。
友人も巻き方は知らず、検査員に尋ねると、機嫌がすこぶる悪いのか「それぐらいできるでしょ!」なスタンスで、きちんと教えてくれません。友人がいなければ、感情的になって凹んでいたかも。
最終的には巻いてほしいとお願いし、すごくイヤイヤな感じでしたが手早く巻いてくれました。その紐とお腹の隙間にセンサーを挟み込み測定開始。
食べて起こして!?事件
この初回の NST で更に驚いたことが。
センサーを付けてしばらくすると、機嫌の悪い検査員が近づいてきて一言。「あなた、何か甘いものを持っているの?」と。
質問の意図がよくわらず、持っていないと答えると、「赤ちゃんが寝ているから、何か食べて起こして」と言うのです。そして NST に来るときは、キャンディーなどパッと口に入れられる甘いものを持ってくるようにとも指示されました。
たまたま同行した友人が飴を持っていたので、一粒もらい食べることに。食べた影響なのか、親が心的に驚いて起きたのかは定かではないですが、お腹の子は動き出し、無事に測定を終えました。
公立病院は検査機械が壊れていて診察がなかなか進まない、先生が診察室に来ないなど、様々な理由で待ち時間が非常に長いです。秋~冬の場合は特に、座布団持参で ( 待合室兼廊下にあるベンチは硬くて冷たい ) 暖かい格好で行ってくださいね。
またシステム上の問題なのか、予約がきちんと取れていない、医師と看護師、受付スタッフとのコミュニケーションがうまくいっていないことが多々あります。なかなか自分の順番が回ってこない場合は、近くにいるスタッフにアピールすることも大事です。
公立病院へ行くたびに精神を鍛えられていくようでした。笑 何かあったら、武勇伝のように友達や家族に共有して笑い飛ばして。
妊娠中にメンタル強化されたおかげで、出産前には、母は強し!私はここで産む!と覚悟が決まりました。もし辛いことがあった時は、抱え込まず、周りのみんなと一緒に乗り越えていけるといいですね!
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