ハンガリーでもここ数年、関心が高まっているÖko takarítás。重曹やクエン酸など、天然由来の成分を使ったお掃除「 ナチュラルクリーニング 」のことです。
いったい、どこで入手できるのでしょうか。 また、ハンガリー語ではなんと言う? そして日本より認知度が高い mosódió ( = 洗濯ナッツ ) とは ? 当地で自然派お掃除をしたい、という方々向けに基本情報をまとめました。
どこで買える?
自然由来の洗剤は、大きめのスーパーや、 DM、Rossmann などドラッグストアで売っています。
ただ、注意しないと見落としてしまいそう。エコ系として特別コーナーが設けてあるのではなく、合成洗剤がずらっと並ぶ中にひっそりと置かれていることが多いからです。
ポイントは、紙袋かビニール袋で置いてあるものをまず探してみること。合成洗剤が頑丈なプラスチック容器に入っているのとは対照的に、エコ洗剤の包装はたいてい極めてシンプルです。
近所のお店で見つからなければ、オーガニック食品や製品を扱う” Biobolt ( ビオボルト) ” や、ネットショップがお勧めです。ビオボルトの場所は、こちらのハンガリー語の記事をご参考に。この中にマップが入っています。また、ネットショップには、zoldbolt.hu ( 英語もあり )、biosziget.huなどがあります。
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基本ルール
管理人 ( 鷲尾 ) がナチュラルクリーニングを本格的に始めたのは約 2 年前。合成洗剤は強力ですが、吸い込んだりするとカラダに悪そう ( 特に台所の油・脂落とし用 ) ……という不安が前々からあったためです。天然由来の洗剤なら環境への負荷も抑えられそう、という思いもありました。
ですが当時は、何をどのお掃除に使えばよいのか、さっぱりわからず。エコ系洗剤は、合成洗剤のように「 トイレ用 」、「 浴室用 」、「 台所用 」などと容器にドーンと書かれているわけではないからです。
でもあれこれ調べているうちに、書かれていない理由もわかりました。いろいろな場所、目的で使えるからなのです (*) 。
*エコ系洗剤も、袋の後ろには 「 用途 」 が書いてあることもあります。
まず知っておくべき、ナチュラルクリーニングの大原則を見ていきます。
初めに知っておくべきこと
一番大事なのは、落とし方の原理を知っておくこと。
つまり世の中の汚れには酸性とアルカリ性があり、酸性の汚れにはアルカリ性の洗剤を、逆にアルカリ性の汚れには酸性の洗剤を使う、というように「 中和して落とす 」のが鉄則です。そうでないと、どんなにゴシゴシしようが落ちません。
酸性の汚れとは: 油脂汚れ、食べ物のカス、茶渋、人のカラダから出る汗など。
アルカリ性の汚れとは:水垢、尿石、石鹸カスなど。
ナチュラルクリーニングでは、たった 3 ~ 4 種類の洗剤で家中のお掃除ができると言います。なかでも、汚れの 8 割くらいはアルカリ性洗剤で事足りるそうです。
とは言うものの、最初はわかりづらいかもしれませんね。そんな時のために、エコ洗剤のハンガリー語表記と、どんなお掃除に適しているのかを表として、次にまとめてみました。
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用語と用途の早見表.
一般的には、いずれも水 ( またはお湯 ) 1 リットルに小さじ 1 ~ 大さじ 1 くらいを入れて使います。重曹などはペースト状にすることも。お酢は、濃度により薄める割合を変えます。お酢の匂いが苦手、という場合はクエン酸が代わりになりますよ。
お値段は、合成洗剤と比較して単純に安い・高いというのは難しいですが、薄めて使うことが多いので結果的には安く済んでいるかもしれません。
なお、セスキ炭酸ソーダ ( Sodium sesquicarbonate ) に関しては、当地では、とある商品の成分の一つとして入っているのは見たことがありますが、そのものを見たことはまだないです。
自然由来と言っても、こんなことにはご注意ください。
重曹:研磨作用があるため、表面が柔らかいものにそのまま使うと傷がつくことがある ( 逆にあえてクレンザーのように使うことができる) 。アルミ製品に重曹水を使うと変色することがある。
炭酸ソーダ:重曹よりアルカリ性が高いので、手荒れに注意 (ゴム手袋をした方が良い) 。アルミ製の部品は黒ずむことがある。目や口などに入ったらすぐ流す。
過炭酸ナトリウム:重曹や炭酸ソーダよりアルカリ性が高いので、手荒れに注意 (ゴム手袋をした方が良い)。目や口などに入ったらすぐ流す。ウール素材の漂白には使えない。
クエン酸:金属に付着したままだとサビの原因になる。天然石には使えない。塩素系洗剤と混ぜると有毒ガスが発生するので絶対にしない。
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お洗濯に人気
ハンガリーで数年前から一部で流行しているのが、Mosódió ( モショーディオー ) です。意味をそのまま訳すと「 洗濯ナッツ 」。
実際には、『 ムクロジ 』という木の実のこと。皮に「サポニン」という洗浄成分が含まれており、水をつけてこすると泡が出ます。日本でも、江戸時代には洗濯や洗髪に使われていたとか。
合成洗剤と比べるとパワーは落ちるようですが、管理人宅ではもともと酷く汚れている洋服を洗うわけでもないので十分。食べ物のシミがついてしまった場合は、重曹などで落としてから洗濯機に入れています。
使い方は簡単。4 ~ 5 個分の実を小さなネットなどに入れて、洗濯機に放り込むだけ。ネットに入れないと、洗濯最中に木の実がバラバラになり、カスのようなものが出てしまいますのでご注意ください。 3 ~ 4 回、繰り返し使えます。
白い衣服の場合は、炭酸ソーダや、漂白効果のある過炭酸ナトリウムを加えるのも良いとされています。
モショーディオは液体状のものも入手可能です。ただ、香りが添加されていることもありますので、表示を確認するようにしてください。逆に、香りがほしい、という方には香料だけを別途買うこともできます。
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.メラミンスポンジ、あります!!
日本では「 激落ちくん 」の商品名で有名なメラミンスポンジ。水だけで簡単に汚れが落ちて、ピカピカにしてくれる不思議なスポンジとしてお馴染みです。
ハンガリーでもあります! Melamin szivacs ( メラミンスポンジ ) , Csodaszivacs ( ミラクルスポンジ ) と言った名前で売られています。
ただ、管理人の印象ですが、ハンガリーで ( 欧州で ) 買えるタイプは、ぼそぼそになるのが早い気がします。
エタノールはどこに
アルコールは中性ですが、ナチュラルクリーニングでは除菌、防カビの強い味方として利用されています。
当地では、Gyógyszertári alkohol ( ジョージセルターリ・アルコール ) と呼ばれているのがエタノールのこと (*)。「 薬局のアルコール 」という意味です。その名の通り、薬局やネットショップで買えます。
*Etanol、etil alkoholとも言います。日本で言う「無水エタノール」はアルコール濃度99.5%以上と、水分をほぼ含まない純度の高いもので、ハンガリーでは ”tiszta szesz”とも言います。エタノールのアルコール濃度は95.1~96.9%、消毒用エタノールは76.9%~81.4%。
また、エタノールではないですがアルコールの一種 IPA ( イソプロピルアルコール ) も Izopropil alkohol として販売されています。
揮発性が高いので、水拭きできない電化製品のお掃除に便利。アルコール濃度が高すぎると殺菌・消毒効果が出る前に蒸発してしまうので、高ければよいということでもなく。水に薄めて使います。
アルコールは引火性があるので、火のそばでは絶対に使わないように。
また、濃度が高いと肌への刺激が強くなるので、ゴム手袋をするのが無難です。
スプレーボトルに入れて使用するのが便利ですが、容器はアルコール可のものにしてください。溶解作用があるために、普通のプラスチックボトルは傷むことがあります。
<< 参考文献 >>
効率よくお掃除するには、エコ系洗剤のそれぞれの特性、もっとも効果的な使い方を把握しておくのが大事です。水やお湯で薄めるときの割合や、お湯の温度などで、効果の出方は変わります。汚れが落ちないのは、使い方が正しくないからかもしれません。管理人も情報を集めては試し、うまくいかなければまた情報を集め……の繰り返しでした。
当該記事では以下を参考にしました。
- 人と環境にやさしいナチュラルクリーニング ( 第一石鹸 )
- エコ洗剤とは ( おそうじワーク )
- 「お酢掃除とクエン酸掃除」その違いと適した掃除場所は? ( re:sumica )
- 「ナチュラルおそうじ大全」本橋ひろえ著
- 無水エタノールと消毒用エタノール、どこが違うの?~それぞれの特徴を知ろう~ ( 健栄製薬 )
- Öko-takarítás kisokos – Tudatos Vásárlók