ハンガリーと言えば、ついついブダペストばかりに目が行きがち。でも地方都市で暮らす日本人も、結構いるのです !!
今回は、地方都市ならではの住みやすさ、逆に困りごとの両方に迫ってみます。
もくじ
ハンガリーの地方都市って?
ハンガリーで一番大きな都市は、言わずもがな、首都のブダペスト市。人口はおよそ 171 万人です。
地方に行くと極端に人口が減り、2 位のデブレツェン市ですら 20 万人弱しかいません。3 ~ 5 位はセゲド市、ミシュコルツ市、ペーチ市で、それぞれ 15 万人程度。( データ出典: 中央統計局 )
在留邦人が一番多く住むのもブダペスト市ですが、地方都市には医学部で学ぶ日本人学生が数百人います。
今回は、南部セゲド市に住む飯田 優気 ( いいだ ゆうき ) さんに、地方都市の暮らしがどんなものか、尋ねてみました。
良いところ
セゲド市は、ブダペスト市から南へ 160 キロメートル。セルビアやルーマニアに近い街です。人口で言えば、北海道釧路市や、神奈川県鎌倉市より少し小さいくらい。
まずは、ここならではの良いところを挙げてもらいました。
すべて徒歩圏内に
大学も歩いて 7 〜 8 分だし、お店や飲食店、生活に必要なものは全部あります。
市内にはトラムもありますが、今までに乗ったのは片手で数えるほど。
他の学生さんもほとんどが中心部に住んでいて、徒歩か自転車で事足りているそう。
ブダペストとなればそうはいきません。街全体がもっと大きいので、トラムや地下鉄を使って移動する人が多いです。
物価が安い
ハンガリーでは 2022 年以来、すさまじいインフレが起きていますが、それでもセゲドはブダペストよりは安めです。
まずは住居費。どのくらいかかるのでしょうか。
これでもセゲドでは高い方かと。友人らは 12 ~ 13 万 Ft ( 5 万円以下 ) で借りている人が多いです。
ブダペストのど真ん中で、このような条件のアパートはもうありません。 30 平米未満でも、家賃だけで最低 350 ユーロはします。諸々の経費を入れると住居費で少なくとも 450 ~ 500 ユーロは見積もった方が良いです。
住居のほか、外食もブダペストと比較すればまだ安め。
例えば、飯田さん行きつけの街中のサラダバーレストラン。
ブダペストに時々行くと、レストランやバーは高いなーという気がします。
その他、ジムの料金なども 1 回 1000 Ft、1 か月行きたい放題で 1 万 900 Ft ( つい最近までは8500 Ft )。ブダペストでは 1 回利用して 3000 Ft と言われ、同じ国でこんなに違うのかと思ったことも。
より安全な雰囲気
ブダペストも、他の欧州都市と比較して治安が特に悪いということはありません。
ただ、飯田さんがセゲドから訪れると違いを感じるそう。
実際の犯罪発生率はどうなのでしょうか。
2021 年 の殺人・傷害事件は、全国で 6 830 件。そのうち、ブダペストは1 300 件 ( 人口 1 万人あたり7.6 件) 、セゲドがあるチョングラード・チャナード県は 197 件 ( 同 4.9 件) でした。
窃盗 ( スリ、ひったくり、万引きなど ) に関しては、全国では 4 万 852 件。うち、ブダペストは 1 万 1 200 件 ( 同 66 件 ) 、チョングラード・チャナード県は 1,156 件(同 29 件) でした。( データ出典:中央統計局 )
窃盗に関しては、ハンガリー警察が発表している下のマップがわかりやすいです。
行政区域ごとの過去 1 年の発生度合いを示したもので、色が濃いほど件数が高いという意味になります。
ブダペストでの発生度合いが多いのは予想に難くはないところ。人口が多いほど高い傾向がありますが、一部の地域は必ずしも人口に比例しているわけではありません。
セゲドは水色で、全国平均より低い水準でした。
マイナス点
地方都市だからこその良い点がある反面、不便な点もあります。次に見て行きましょう。
英語が通じない
真っ先に挙がったのは、言葉の問題。
レストランやお店を仕切っている人には年配者が多い、という事情も影響しているのかもしれません。
食べ物のバラエティが乏しい
基本的には自炊をしていても、たまには自分ではあまり作れないものを食べてみたくもなります。
ですがセゲドの中心部には、
■ 日本料理店、ゼロ。
■ 韓国料理店、ゼロ。
■ 中華料理店、2 〜 3 軒のみ
だそう。んー、これでは美味しい〇〇が食べたいと妄想が膨らんでしまった時に、つらいかも。
メニューの一部として、『 寿司もどき 』が入っているのを見かけることはあっても、唐揚げやラーメンを出すような日本食レストランはありません。
一方、アジア食材店は 1 店だけありますが、高いので飯田さん自身はほとんど行っていないとのこと。
店が閉まってしまう、余暇施設があまりない
その他、不便に感じることを挙げてもらいました。
- 日曜になると閉まってしまうお店が多い。日曜でも営業しているのは少し離れた Tesco や Metro くらい。
- カフェも増えてきたけれど少なめ。バーは少ない。
- 全般的に余暇施設は少ない。
ブダペスト vs 地方都市、どちらが良いのか
最後に、ハンガリー留学を考えている学生さんに、ブダペストか地方都市かどちらがおすすめかと聞かれたらどうアドバイスしますか、と質問してみました。
うーーん、難しいですね……と最初考え込んだあと、こんな答えをもらいました。
セゲド大学も大きいんですけど、ブダペストは大学の数自体も多く、もっといろんな国籍、多様な人たちに会えると思います。アクティビティもいっぱいあって楽しみやすいですし。なので、誘惑に負けない心があれば、あちらの方がいいかもしれませんね。
飯田さん自身は、自分が取った選択肢にまったく後悔はなし。
それは、ハンガリー国家の奨学金で学費なしの他、生活費一部ももらえていることが大きいんですが……クラスメートを含めて、周りの人たちにものすごく恵まれているんです。
結局のところは、自分がどんな人たちと関われて、どんな風に考えて暮らすか、に尽きると思います。
「不便なこと」も、生活の死活問題にかかわるレベルではないので、できることを楽しんでいるとのこと。月 1 回くらいはブダペストに遊びに行き、気分転換しているそうです。
📍 セゲドのこと、医大生の暮らしぶりをもっと知りたい方は、飯田さんのインスタグラム ( yukikg1016 ) をご覧ください。
本記事掲載の画像は、すべて飯田さんに提供いただきました。
日本の大学を卒業後、社会人も経験しましたが、やはり医師になりたくてセゲド大学への留学を決めました。ここには 2021 年 9 月から住んでいます。予備校で 1 年過ごし、現在は 1 年生です。