現地で買い求めたお気に入りの品々や、大事な人へのお土産、はたまた自分で使っていたヘルス機器――。留学や駐在を終えて日本へ帰国する際、引越荷物として送る場合も多いことでしょう。でも、制度をきちんと把握していないと、税関で引っかかり没収になってしまうことも。
そんな羽目に陥らないために、引越エクスパートの矢野典子さん ( NX ブダペスト支店 ) にアドバイスを伺いました。
もくじ
海外引越は『 輸入 』と同じ
日本へ帰国する際、自分で飛行機でいっしょに持って帰るものは『 手荷物 』、それとは別に船便や航空便で送る荷物のことは『 別送品 』 と言います。
別送品を送るにあたり、気をつけなければならないのは、日本へ「 輸入が禁止されているもの ( 輸入禁止品 ) 」と、「 検査を受け合格すれば持ち込めるもの ( 輸入検査品 ) 」です。
また、輸入はできるけれど数量が決まっているものもあります。別送品はあくまでも個人使用やお土産で渡すのが目的。商売目的ではないためです。
そして不可となった場合は、廃棄処分費用もかかってしまいます。これらはお客様の実費負担となります。
費用はものにもよりますが、検査と廃棄処分を合わせて通常 2 万 ~ 5 万円でしょうか。専門家の検査を依頼しなければならない場合は高くなります。
そのため、お客様と運送業者、税関の間で「 聞いていなかった 」と日本で揉めるケースが後を絶たないそうです。
どのようなものが規制されているのでしょうか。主なものを見てみましょう。
- 植物や動物、またその加工品
日本に持ち込む植物、動物、また加工品は、病原菌や害虫がついていないことを確認する手続きが必要です。主に食品に関わります。植物ならば、生の果物や野菜は輸入禁止。禁止ではないですが植物検疫を受けなくてはならないものには、米、小麦などがあります。動物は肉製品などに規制があります。その他、野生動物保護の目的からワシントン条約で指定されている動植物や加工品も規制対象です。 - 医薬品関連
医薬品、医薬部外品、化粧品、医療用具は個人が持ち込める数量が決まっています。 - 麻薬など
麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法の対象の薬物は輸入禁止。 - 危険物やわいせつ物
輸入は禁止されています。 - 偽ブランド商品など
知的財産権を侵害する物品は輸入禁止。 - 酒・たばこ類
免税範囲が決まっています。それを超えた場合は課税対象に。
次に NX さんで実際によくあるケースをご紹介していきます。
没収要注意の2大グループ
食品:例えばハチミツはよいけれど巣入りはダメ
食品は、『 植物防疫法 』、『 家畜伝染病予防法 』などの観点から税関でチェックされます。
食品はほとんど持ち帰れないと思いきや、矢野さん曰く、そうでもないとのこと。ただ、ルールが細かい上に、2018 年 10 月より植物検疫が厳しくなったため、より一層の注意が必要だそうです。
ハンガリーの名産物、天然ハチミツもその好例です。
その他にも原材料は同じ小麦粉といっても、パスタは問題ない一方、袋入り小麦粉は検疫での検査が必要。そこで合格になれば輸入 ( 日本持ち込み ) が可能になります。袋入りお米も同様に検疫検査対象です。
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医薬品: 泣いて破棄した大量コンタクトレンズ
医薬品は、それぞれについて、個人使用で輸入できる数量が決まっています。一般的な医薬品ならば 2 か月分以内、処方箋薬なら 1 か月以内、外用剤 ( 軟膏、点眼薬など ) ならば 1 品目につき 24 個以内です。
使い捨てコンタクトレンズは 2 か月分以内。
矢野さんによると、とある方は、日本から 1 年分を持ち込んだのは良いものの、新型コロナウィルスの感染拡大で僅か数か月で帰国に。数か月分の持ち帰りでは制限オーバーのため、泣く泣く当地で破棄したそうです。
仮に日本製であっても、規定数量以上は再度持ち込むことはできません。
このように個数が決まっているのは、日本では未承認の医薬品を持ち込み、国内で違法に販売するのを防ぐためとのこと。
外国で薬物治療を受け、処方された薬を持ち帰る場合は、医師の処方箋が必要です。
盲点:日本から持ってきたのに、持ち帰りできない ?
その他、個人が日常的に使用していた機器でも、日本へ持って帰れないものがあります。例えば、CPAP と呼ばれる睡眠時無呼吸症候群の治療機器、喘息用吸引機などの医療機器です。
手続きには医師の処方箋や製造会社の仕様書等が必要で、条件によって輸入できないこともあります。日本のものだったのだから、持ち帰りもどうぞご自由に、という訳にはいかないのです。
また、もう一つの例として、電動キックボードの輸送を依頼されることが時々あるそうですが……。
そのため、商業貨物と同様の通関手続きが必要となり、別途通関手数料その他の実費と時間を要します。
こちらも医療機器同様、日本から持ち出したものであっても税関でチェックを受けます。
最後にワンポイント
これだけ輸入規則が細かいと、目が回りそうです。どうしたら安心して荷物を届けられるのか、最後にポイントを聞いてみました。
確かに、禁止品に加え、動物・植物検疫などのルールは細かいです。すべてを把握するのは難しいので、専門知識があり日本への別送品の経験が豊富な業者を選ばれることが重要かと思います。
当社では、持って帰れるもののリストもお渡ししていますが、荷物お預かりの際にスタッフが個別に内容を確認しています。
それと、意外かもしれませんが、日本国内の税関によって厳しさが違う傾向がありますのでご留意ください。同じ品物でも、東京ではダメだったけれど、大阪では大丈夫だった、というようなことがあります。名古屋はその中間あたり。
時々、「 NX ( 旧日通 )さんはお客様によって対応を変えているんですか ? 」と聞かれるのですが、そうではなく、通関場所に合せたアドバイスをさせていただいているからなのです。
大切なお荷物をきちんと最後までお届けするのが私たちの仕事なので、途中で没収が発生しないように、細心の注意を払っています。海外引越について質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
NXドイツ( 旧ドイツ日本通運 ) ブダペスト支店
NIPPON EXPRESS (DEUTSCHLAND) GmbH & Co. KG Budapest Branch
担当者 : 矢野 ( Ms. ) / 日本語でどうぞ。
住所 : Airport Business Park B4, Lorinci ut 61. 2200 Veces, HUNGARY
TEL : +36 29 553 807
E-mail : nede-bud_rmv@nipponexpress.com
ウェブサイト: http://www.nipponexpress.com/moving/hu/
日本からハンガリーへお引越の際は、NX海外引越サイトよりお問合せください。( ここをクリック )
別送品は、輸入の中でも商業貨物に比べると手続きは簡易ですが、それでも税関に必ず申告しなければなりません。ハンガリーの税関も通ることになります。