ハンガリーでは12 月末以来、8 万人近くの人が新型コロナワクチンを接種しました。まだまだ明らかになっていないことは多いですが、国内でのワクチン接種について最新情報をお伝えします。
追記 1 新型コロナウィルスの変異株に関しては、国内では 1 月 12 日に英国型が確認されています。
追記 2 ハンガリー国内での露スプートニクVと英アストラゼネカのワクチン緊急使用の承認について、最後に追加しました。(1 月 26 日 )
追記 3 ワクチン接種希望登録がきちんと完了しているのか、確認方法を追加しました。( 3 月 27 日 )
ワクチン関連情報 ① はこちらをご覧ください。 ( 接種希望登録方法を含む )
※在留外国人でハンガリーの社会保険番号を持っていない方も2021年5月4日から接種希望登録が開始になります。
もくじ
国のワクチン接種計画の対象者
国家公衆衛生センター ( NNK ) は現在、国のワクチン接種計画の対象者として以下を勧告しています。
- 国家医療保険加入者
- 18 歳以上
- 過去 6 か月に感染していないこと ( 症状の有無は関係なし )
- 妊娠中の女性は、3 月 27 日から最優先 ( ファイザー、モデルナ製のみ )。1回目接種は12週以降、2回目接種は出産後。授乳中の女性は、いつでも接種可能。( 3 月 27 日追記 )
出典:国家公衆衛生センター (12 月 31 日発表、1 月 5 日更新)
※ 過去に飲食物に対して重度のアレルギー反応があった方は、注意が必要です。接種前に担当者と必ず相談してください。
※ 外国人滞在者で国家医療保険非加入の場合についての言及はまだありません。
接種の優先順位 ― より具体的に
国家公衆衛生センターの公式サイトでの発表によると、接種の優先順位は以下のようになっています。
現在は、1、2 のグループである医療従事者と高齢者介護施設の入所者・職員が対象になっています。
1 月 12 日までに 78,579 人が接種 ( そのうち 6642 人は高齢者介護施設の入所者もしくは職員 ) 。これまで深刻な副反応の例は報告されていません。
( 出典:政府コロナ対策本部 )
ワクチン調達状況―モデルナ製も開始
ハンガリーには 12 月 26 日以来、米ファイザー製のワクチン約 12.6 万人分が到着しました ( 1 月 12 日現在 )。
加えて、EU が 米モデルナ製の条件付き使用を承認したことから、1 月 12 日にはそちらも 3600 人分到着。
今後、ファイザー製は週に 1 回、モデルナは隔週で届けられるとのこと。ファイザーの供給はこれまでのところ、1 回につき 3 ~ 4 万人分。モデルナも多くなるとは考えられず、集団接種の開始まではまだ時間がかかりそうです。
一方で、EU は 1 月中に英アストラゼネカも条件付きで承認する見通しです。
ハンガリー政府が契約をしているのは、5 つの製薬会社 ( ファイザー、モデルナ、アストラゼネカ、ヤンセン、キャアパック ) で合計 986.8 万人分 ( 1 月 12 日現在 )。18 歳以上人口の約 800 万人を大きく上回っています。 これらはすべて、EU の共通調達の枠組みを通しているため、EU での承認がまず必要です。
政府は EU の承認・調達速度は遅いと不満を募らせており、引き続き中国、イスラエルとも独自に協議中。
ロシア・スプートニクV についてはハンガリー国内で 3000 人の臨床試験を実施予定です。ただし、ロシアは輸出するだけの生産能力がないとのことで、実際の集団接種の対象にはならない見通しです。
( 出典:政府コロナ対策本部 )
接種希望の登録者は増加、不明な点も
政府によると、既に 100 万人以上の市民がワクチン接種希望の登録をしました。( 1 月 6 日時点、出典:首相官房庁次官の Facebookページ)
ワクチンに関する公式サイト、接種希望の登録方法は過去記事からご覧ください。
しかし、はっきりしない点も続きます。
まず、登録しないと接種不可なのかどうか、という点。国内では不可とする報道が流れましたが、政府対策本部が公にそのように明言したことはありません。
もう一つは、登録後、確認メールが送られてこないケースがあること。実は、管理人がまさにそうでした。年内に登録した際、画面に「 登録完了 」とは出てきましたが、今日に至るまで、何のメールもありません。( 迷惑メールフォルダー含め )
( 1 月23 日追記 : コロナ対策本部によりますと、登録の際、最後のデータポリシーに関する項目で、2 つともチェックした場合は、確認メールおよび日々のワクチン関連情報が届くそうです。2 つめにチェックしなかった場合は、接種の順番が来たときのみメールが送付されるそうです。)
( 3 月 25 日追記: きちんと登録完了になっているか、確認できるようになりました。)
(1) 国家公衆衛生センターの確認サイトを開く。
(2) 画像通りの①~⑤まで行う。混雑時でうまくいかないときは、時間をおいて再度トライ。
(3) ⑤をクリックし、IGENならきちんと登録済み。順番の知らせを待つだけ。
NEMなら登録し直し、もしくはadatvedelem@neak.gov.hu にEメールで問い合わせ
露スプートニクV、英アストラゼネカを承認 ( 1 / 26 更新 )
ハンガリー薬事規制当局 OGYÉI は 1 月 21 日、ロシア製のスプートニク V、英国製のアストラゼネカ ( 英オックスフォード大学と共同開発 ) の国内での緊急使用を承認したと発表しました。EU 加盟国としては、初めてのケースに。
スプートニク V については、ハンガリー政府は翌 22 日、3 か月で合計 100 万人分 ( 200 万回投与分 ) を調達する旨、ロシアと契約書を交わしました。
配布は 3 回に分けられ、初回は 1 か月以内に 30 万人分。第 2 回は 50 万人分、第 3 回は 20 万人分の予定です。当初、ロシアには輸出するだけの生産能力がないとされていましたが、一転し解決したとのこと。
アストラゼネカの調達量や時期に関しては、今のところ不明です。( EU 共同調達の枠組みでは 650 万回分を予約 )
ワクチンの種類としては、ファイザーとモデルナはmRNA、スプートニク V とアストラゼネカは「 ウイルスベクターワクチン 」というタイプです。
一方、政府は 1 月 14 日、中国国有シノファーム ( 中国医薬集団 ) と新型コロナワクチンの供給で実質的に合意したと発表。第 1 回供給は 100 万回分にもなりうるとしています。こちらも実現すれば、EU 加盟国としてはハンガリーが初めての国に。ただし OGYÉI はまだ審査中で、承認はしていません。
集団接種なくして規制解除なし
ハンガリーでは現在も、夜間外出禁止などの一連のコロナ規制措置が続いています。これらの法的期限は 2 月 1 日までですが、政府コロナ対策本部は延長を勧告する見込み。政府もそれを受け入れると考えられます。
対策本部は、国内のコロナ第 2 波はピークを超えたと見ています。しかし、周辺国では第 3 波が始まっていること、感染力の強い英国型変異種が登場したこと、死者数がまだ多いことから規制解除は時期尚早という判断のようです。
オルバーン首相も「 集団接種なくして本格的な規制解除はできない 」と述べています。( 1 月 22 日のラジオインタビュー )
欧州委員会はワクチン接種率に関して、2021 年 3 月末までに 80 歳以上および医療従事者・社会保障施設職員の 80 %以上、また夏までに加盟各国の成人 70 %以上を目標にしています。( 出典:欧州委員会 )
ハンガリー政府は、EU 共通枠組みでは承認も調達も遅すぎるので、ロシアや中国などから独自に調達しない限りこの達成はありえないという考え。こうしたことから、調達にかなりの力を入れています。
ただ、ワクチンが確保できても、どれほどの市民が接種するかは未知数。世論調査では、全般的に接種意欲は改善傾向を示していますが、中国製、ロシア製に対する警戒心は欧米製と比較し大きいままになっています。
( 1 月 27 日発表時点 )
新規: 1004 ( 累計 361,881 )
死亡:85 ( 累計 12,198 )
現在感染者: 103,087
入院: 3809 うち呼吸器装着: 255
回復: 1915 ( 累計 246,596 )
検査数: 17053
ワクチン接種者: 152,704
うち2回接種完了: 17,772
===
過去 7 日間
新規:合計 7629 ( 平均 1090人 / 日 )
死亡:合計 583 ( 平均 83 人 / 日)
ワクチン関連の情報は、今後、随時更新していきます。
『 ハンガリー暮らしの健康手帖 』は、最新情報についてはまずTwitterでお知らせしています(こちらから)
公的機関によるコロナ関連情報