揚げパン Lángos ( ラーンゴシュ ) 。ハンガリーでは、ストリートフードの王者的存在です。
今回、レシピを紹介してくださるのは、現在は日本在住の Piroska / ピロシュカさん ( 30 代 )。ハンガリーに魅了されたのは高校生のとき。大好きな気持ちはますます膨らみ、大学でハンガリー語を専攻し、留学と勤務で当地に計 3 年滞在しました。
ラーンゴシュは、顔よりも大きい平らな生地で外はカリカリ、中はモチモチ。上に載ったたっぷりのにんにく、サワークリーム、チーズの絶妙なハーモニーがたまらない一品です。
「 Kalória Bomba ( カロリーの爆弾 ) 」と呼びながらも、彼女にとっては時々無性に食べたくなるハンガリアンの味なのだそう。自宅で ( 例え外国にいても ) どうしても再現したい !! と試行錯誤を重ねた末に、満足いくレシピになりました。
その際のコツも惜しまずお届けします。通常より少し小ぶりサイズにしたため、生地を伸ばしたり揚げるのも苦ではないですよ♪♪
材料
ラーンゴシュ生地
- 強力粉 ( búzarétesliszt )* … 300g
- ドライイースト( szárított élesztő, instant élesztő ) … 11g / ハンガリーで売っている生イースト ( friss élesztő ) の場合は 25g
- 牛乳 ( tej ) … 100cc
- 水 ( víz ) … 130cc
- 砂糖 ( cukor ) … 小さじ1
- 塩 ( só ) … 小さじ1
- サラダ油 ( Étolaj ) … 適量 / 生地が鍋の底にひっつかない程度 ( 3~3.5cm ) + 生地を伸ばす際に手にぬる用
王道トッピングを楽しむための材料
ラーンゴシュは基本的にしょっぱいトッピング。最近は Nutella ( ヌテラ ) のようなチョコスプレッドやジャムを載せたものも時々メニューで見かけますが、一番ポピュラーなのはやはり定番の “ Sajtos-tejfölös ( シャィトシュ・ティフルシュ ) ”。チーズ ( sajt ) とサワークリーム ( tejföl )、そしてにんにく ( fokhagyma ) を載せた濃厚な味です。
⑨ チーズ ( sajt ) ※ … 200g
⑩ にんにく( fokhagyma ) … ひとかけ ( にんにくチューブでも可 )
⑪ 塩 ( só ) … 適量
⑫ 水 ( víz ) … 50cc
日本ではサワークリームを手に入れるのが難しいですが、無糖ヨーグルトで代用できます。
※ お好みの量で大丈夫です。
お店では、にんにく抜き、または少なめ、と注文することもできます。 ( すべてのトッピングなしでも注文可能です )
さぁ作ろう !
生地作り & 揚げ方
工程 ⑥ の生地の伸ばし方は、下動画をご参照ください。
一番のコツはよく捏ねること!
これまでのラーンゴシュ作りの失敗は、大体が「 生地をうまく伸ばせない 」ことに起因していました。生地が思ったよりも伸びない、無理に引っ張って裂けてしまう…など。
そこでパンを手作りする時のように、表面が滑らかになるまでしっかりと捏ねることにしました。
小麦の量が多いので体力を使いますが、これでちょっと強めに引っ張っても裂けずによく伸びるように。
さらにパンのようにしっかり捏ねたことで、揚げた後は生地にふわふわ感が出て、外側はカリカリ、中はふんわりな美味しい食感になる、という嬉しい別の効果もありました。
その他に作る時のポイントとしては、揚げる時の温度。油の温度が低いと石のように硬いラーンゴシュが出来上がります。
また生地を伸ばす時に手にしっかりと油をつけることも忘れずに。そのまま触ると手にくっついて大変なことになります…。
トッピングの仕方
手作り、揚げたてで虜に
私が初めてラーンゴシュを口にしたのは、北東部の都市 Debrecen ( デブレツェン ) に留学していたとき。仲の良かったハンガリー人ルームメイトといっしょに、郊外の彼女の祖父母宅に初めて遊びに行った際、おばあちゃんが揚げたてを振舞ってくれました。
ラーンゴシュのことは大学の授業で聞いていたので、ハンガリーで生活するようになり、いつかは食べてみたいと思っていました。
でも、ブダペストに留学していた大学同期の友人から、「 スタンドで食べたものが油が古くて胃もたれした 」という情報が….。そのため、良いお店を見極める必要があり、ハードルが高いなと感じていました。
そんなところ出てきたのが、おばあちゃんのラーンゴシュ。お店で食べるイメージが強いので、「 家でも作る食べ物なんだ!」と驚きました。
初めて食べた時の感想は、「 すごく美味しい! 」の一言に尽きます。意外に厚めで、想像以上にもちもちとした食感に驚きました。
それまで写真で見ていたラーンゴシュは薄かったので、もっとカリカリかと思っていたのです。おばあちゃんの自家製は、サイズも小ぶりでした ( ちょうど今回のレシピと同じくらい )。
そしてやはりトッピング。ルームメイトが塩、にんにく、サワークリームとチーズと載せていったときは、脇で見ていて「え、こんなに、にんにく?」と思ったのですが、一口食べてその訳がわかりました。具材それぞれとの相性が抜群で感動。やはりにんにくがないと締まりません。
ルームメイトはその後も、時々おばあちゃんのラーンゴシュをお土産に持ってきて、慣れた手つきでこのトッピングをして出してくれました。
今はハンガリーに行けば、お気に入りのスタンドで食べることが多いです。それでもなお、ラーンゴシュを食べるたびに、おばあちゃんの手作りの味と楽しかった留学生活を思い出します。
皆さんもぜひ手作りラーンゴシュの美味しさを味わってみてください。