ハンガリー・コロナ情報 10 非常事態宣言の終了


ハンガリーでは 6 月 18 日、新型コロナウィルス感染拡大に関する『 非常事態宣言 』が終了しました。これに伴い、買い物時間規制などは廃止。一方で、そのまま維持されるルール、緩和されながらも残る制限はあります。外国人の入国制限は一部例外を除き継続。最新情報をまとめました。(すべての情報は6月18日現在です。)

最も重要な項目

既に実施済み解除措置を合わせて、店での買い物やレストランやカフェでの飲食は「 制限 」はなくなりました。「 ルール 」はありますので、ご注意ください。

  • 買い物時間規制は廃止
    年齢に関係なく、再び、何時でも買い物が可能となりました。( 従来は、食料品店・薬局・ドラッグストアなどでは、9 ~ 12 時は 65 歳以上のみ )
  • マスク着用義務は継続 
    鼻口を覆えばスカーフなども可。
    店舗および公共交通機関で。6 歳未満は着用義務なし。
  • 集会・イベントは500人まで可
    屋内・屋外両方とも可能になります。
  • 映画館、劇場など再開可
    グヤーシュ首相府相によると、マスク着用義務はなし。図書館は 6 月 16 日から既に開館可能になっています。各館で、入館制限などは講じているようです。
  • 公道での路上駐車無料は、6 月 30 日まで
ハンガリー国内の感染者数

新規感染確認数は、3日連続で1人のみになっています。1日あたりの死者はゼロにはなっていませんが、1桁台が続いています。

政府の対策本部は16日、コロナ第 1 波は実質的に収束したと宣言。ただし、ウィルスが完全に消滅したわけではなく、秋からの第 2 波の恐れもあり。そのため手洗い徹底など衛生条件は続けるよう呼び掛けています。

6 月 18 日時点、 《 》は前日比増減
アクティブ感染者 947《-17》

感染確認累計 4079《+1》
回復2564《+17》 死亡568《+1》

ハンガリー政府が非常事態宣言を発表したのは3月11日。終了は6月18日。3か月超に及びました。

外国人の入国

非常事態宣言は終了しましたが、日本人を含む第 3 国民 (*) は、一部の例外を除き、引き続き入国不可になっています。

*第3国民とは、欧州連合(EU)、およびアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイス以外の国籍保有者

例外は、ハンガリー国籍保有者の家族、また日本人ビジネス関係者、また正当な理由、やむを得ない理由があり警察に認められた場合です。

7 月 6 日追記:ハンガリー移民局が発行した90日以上滞在が可能な許可証を持っている外国人も、入国が可能になりました。詳細は例外:長期滞在者の項目を参照してください。

一方、EU理事会は 6 月 30 日、日本を含む14か国の「 安全国 」からの入域を許可する勧告をしていますが、ハンガリーは当面受け入れない方針を表明済み。( 例外はセルビアのみ )

追記: 7月15日から、各国色分けによる新たな入国措置が講じられています。詳細はこちらをご覧ください。

ハンガリー・コロナ情報 (11) 各国色分け、新たな入国管理措置

2020.07.12

 

例外: 国際結婚家族、ビジネス関係者

ハンガリー国籍保有者の家族については、外国人であっても、ハンガリー人や EU 市民と同様に扱われます。( 政令 2020 年 291 号 1. § C )

ハンガリーは 6 月 18 日より、EU 加盟各国および、セルビア、スイス、リヒテンシュタイン、ノルウェー、アイスランドとはそれぞれの国民の往来は制限なしとしました。

したがって、これらの国々の国籍保有者は、ハンガリーに入国した後、14日の隔離義務はなし。さらに、これらの国々の国籍保有者の外国人家族も同様に扱われます。また、これらの国々からハンガリー人およびその外国人家族が帰国した際も、隔離義務はなくなりました。

 

日本人のビジネス関係者が入国制限の免除を受けるには、次の条件が課されています。

ビジネス関係者
  • 入国はビジネス目的であること
  • グループ会社間の移動であること ( 例として、日本の親企業が幹部や社員をハンガリー子会社に派遣する場合 )

以下の文書等を提示

  • 日本国籍のパスポート
  • グループに属すハンガリー系列会社が発行する招聘状 ( meghívólevel / 英 invitation letter )
  • ハンガリーに入国する日本人ビジネスパーソンが、ハンガリー系列会社に属すことを証明する登記簿抄本 ( cégkivonata / 英 company extract ) もしくは声明 ( nyilatkozata / 英 statement )。もしくは、日本人ビジネスパーソンがグループ内外国企業に属すことを証明する登記簿抄本または声明。

加えて、当該外国企業が、ホスト側となるハンガリー企業と同じグループ内であることを証明する文書。

◎ 上記の条件を満たす日本人ビジネス関係者は、入国時のコロナ検査は免除。陰性証明書も不要。さらに、入国後の 14 日間の自己隔離義務も免除になっています。

招聘状や声明に記載すべき事項は具体的に決まっています。実際の渡航にあたっては、事前に、駐日ハンガリー大使館在ハンガリー日本国大使館など公的機関へ必ずお問い合わせいただきますようお願いいたします。

注意:あくまでもビジネス関係者が対象であり、その帯同家族は含まれません。

参考: ハンガリー投資促進庁HIPAの説明 ( 在ハンガリー日本国大使館サイトより ) 政令81/2020号全文

例外: 正当な理由、やむを得ない理由

さらに、正当な理由、やむを得ない理由がある場合は、例外として入国が認められる場合があります。

その場合、事前にハンガリー国家警察に申請します。( オンライン、ハンガリー語のみ受け付け。ハンガリー国内のネット行政サービス登録をしている場合は、窓口の cégkapu、ügyfélkapu でも可能 )

7 月 15 日追記: これまではハンガリー語のみでしたが英語版サイトも開始になりました。

こちらをクリック➞中ほどの”On lodging an equity request to cross the state border or an appeal against a decision taken in this subject”から、2段目のEquity request to enter the country (no login required)で、申請フォームはCOVID-02で、inNOVAをクリックすると先に進みます。説明は、English Customer Informationをクリックしてください。

基本的には、受け入れ先からの証明などの文書が必要です。

政令 で挙げられている幾つかの正当、やむを得ない理由のうち、日本人に関係がありそうな項目は、以下の通りです。

  • 商業目的の訪問で、政府または政府系機関などの招聘状がある場合
  • 学生で、学業の遂行や試験を受ける必要がある場合。所属先の教育機関が発行する証明書が必要
  • 家族の葬儀、結婚式
  • 重要な国際スポーツ、文化、宗教関連行事に参加

この場合、書類上は要件を満たしていても、新型コロナウィルス感染の可能性がある場合は入国できません。( 入国の際、体温チェックなどがありえます ) また、入国できた場合も、14 日間の隔離義務が課されます。

詳細は、政令2020 年 291号 ( A Kormány 291/2020. (VI. 17.) Korm. rendelete a járványügyi készültségi időszak utazási korlátozásairól ) の 2.ハンガリー入国規則 ( A Magyarországra történő belépés szabályai ) をご参照ください。また、駐日ハンガリー大使館、在ハンガリー日本国大使館にお問い合わせください。日本国大使館による情報はこちらから

例外: ハンガリー長期滞在者の場合

政府は7月4日から、90日以上の滞在に関する許可証を持っている外国人について、入国を可能としました。( 政令)

ただし、陰性証明がない場合、隔離義務が発生しますのでご注意ください。

入国の際、滞在許可証提示の他、健康調査を実施。( 調査の内容は不明ですが、日本のように PCR 検査実施という情報は今のところありません。)
◇ 調査でコロナ感染の疑いがある場合 ➞ 当局が指定した場所で 14 日間隔離
◇ 疑いがない場合 ➞ 自宅などで14日間強制隔離

ハンガリー入国前 5 日以内に、2 回にわたって SARS コロナウイルス(SARS-CoV)分子生物学的検査法( PCR )検査を受け陰性が証明される場合(ハンガリー語または英語)は、隔離義務は免除となります。

体験談:ハンガリー再入国

最後に、日本への単身退避帰国後、ハンガリーに非常事態宣言終了の直前に戻ってきた MKP さん匿名さんの例、また非常事態宣言終了後にオーストリアとハンガリーを行き来した管理人の例をご紹介します。( ハンガリーではそのときの担当官によって対応が違うことがままあります。あくまでもご参考ということでご理解ください。その他にも、入国、再入国のケースがありましたら、管理人まで体験談をお寄せいただければ幸いです。追記して参ります。)

ブダペストのリスト・フェレンツ国際空港は非常事態宣言終了後に、入国に関する新規則や衛生措置、各航空会社の就航再開予定などをまとめています。こちらもどうぞご参考に。( 英語 )

MKPさん ( 在住 14 年、ハンガリー国内の学校に勤務 ) の例

日本には3 か月近く、一時帰国しておりました。私はハンガリーでは就労ビザですが、今回の入国に際しては、勤務先から極簡素な契約書を作成してもらいました。そしてハンガリー警察の登録をして個人名が入ったドキュメントを頂きました。

ルフトハンザ航空でフランクフルト経由で、リストフェレンツ空港ターミナル 2A に到着。
空港は物々しい警察官多数の体制でした。( ただ、ほとんどマスクはしておりませんでした )

最初タラップを降りたところに既に警察官が待機しておりましたが、パスポートを見ることもなく、ブダペスト乗り換えかどうかだけを質問されました。

その後、荷物受け取りの階へ降りてレーンが動くのを待っていたのですが、いつまで経っても動きません。我々の便のあとに着いた荷物のほうが他のレーンで動いていたりしました。

40 分ほど待っていると警察官がレーン所へやってきまして、フランクフルト便の客、特に外国人のパスポートチェック、ドキュメントチェックを始めました。あちらが一枚ドキュメントに書き込みをして下さりました。

入国にあたり、サーモグラフィで体温を確認される、健康状態に関して申告するなどのことはありませんでした。ただ、2 週間自粛隔離は指示を受けております。

荷物はその後、ターミナル 2B にあるとのことで移動して受け取り、飛行機到着後空港出るまでに 1 時間 20 分を要しました。ただ、入国にあたって、審査で問題が生じて足止めを食らったということはありませんでした。

匿名さん ( ハンガリー人家族有り ) の例

私は有効なビザ ( Tartózkodási engedélyek ) を持っていましたが、今までとは状況が違い、日本からハンガリーへ戻るにはどうすればいいのか不明慮で、かなり不安でした。

念のために、渡航前に国家警察の特別許可をオンラインで申請。ハンガリー人家族がいて、長年ここに住んでいることを理由に申請しました。

国家警察から許可は出るのか?いつ届くのか? これもまた不安。

届け出をしてから 24 時間も経たない頃、なんと、許可書 ( 姓名、出生地、生年月日、パスポート番号、国籍が明記された書類 ) が送られてきました。この速さには驚きました。

ビザ国家警察からの入国許可書、加えて、長年ハンガリーで暮らしてきたことを証明できる書類のコピーなど ( 例 : 住所カード ) を用意しました。

まだ非常事態宣言中でしたが、入国の際は、特に問題なし。空港職員に「 おかえりなさい 」と言われた時にはホッとしました。2週間の隔離義務は言われませんでした。

管理人 ( 夫がハンガリー人、在住 23 年 ) の例

非常事態宣言終了後の 6 月 21 日にオーストリアに向けて、家族で車で出発。ハンガリーには26 日に戻ってきました。

高速道路 M1 の国境地点 ( ヘジェシュハロム ) では、出国側にあたるハンガリー検問ボックスには誰もいませんでしたが、オーストリア側には国境警備隊がいました。ただし、車ナンバープレートの国籍だけチェックしていたようで、中に乗っている人の顔を見ることも、パスポート提示を求められることもなし。ノロノロ運転でしたが、完全に止められることはなく無事通過しました。( 運転はハンガリー人の夫がしており、私は助手席。ハンガリーナンバーのマイカーでした。 )

帰りも、同じヘジェシュハロムから入りました。今度は、入国側にあたるハンガリー側検問地点では、人ひとり立っておらず、2 秒で通過。パスポートに加えてありとあらゆる証明書を持って身構えていたので、拍子抜けするほどでした。

一方、反対側のオーストリア入国側を見たところ、相変わらず車ナンバープレートチェックは行っていたようで、数百メートルにわたって渋滞していました。

移民局でのビザ手続きが変わる

2020.03.25

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ABOUTこの記事をかいた人

鷲尾亜子

1997年よりハンガリー在住。日本とハンガリーでの新聞記者の経験を活かし、現在、Twitter では「 ハンガリーのニュース 」、また政治経済ニュースレター「 ハンガリー経済情報 」( 有料 ) を配信中。