ブダペスト市とペシュト県でも、新型コロナウィルス感染拡大予防に関わる制限措置の緩和が開始になります。ただし、ブダペスト市は一気に地方と同等の緩和になるのではなく、地方を追う形で段階的に進みます。並行して、日本人ビジネス関係者は、入国制限の免除に。制限緩和に関する最新情報をまとめました。
全国共通の基本ルール
まず、具体的な緩和措置に入る前に、地域に関係なく守らなければならない基本ルールから。
政府は、現在もウィルスは消滅したわけではないため、制限は緩和しながらも「 防衛 」は引き続き必要としています。今後の感染予防のカギは、ステイホーム ( 外出制限 ) から、以下に移行します。
- ソーシャルディスタンス 1.5 メートルを確保 ( 家族など、同居人は対象外 )
- マスク着用義務 ( 鼻口を覆えばスカーフなども可 ) 店舗および公共交通機関で
高齢者を守る措置
高齢者は感染すると重篤化しやすいため、買い物時間規制に変更はありません。
65 歳以上: 9 時~ 12 時 ( スーパー、ドラッグストア、薬局、医療機器販売店 )
65 歳未満: それ以外の時間のみ可能
市場 ( 地元産品を販売するようなマーケット ) での買い物時間については、地元の自治体が定められます。ただし、その場合も、高齢者のみの買い物時間を設定しなければなりません。
ブダペスト市
政府は 5 月 4 日から地方のみ制限措置を緩和しており、ブダペスト市と隣接のペシュト県では既存措置継続になっていました。感染者の約 7 割がこの地域に集中していたため。
その後 2 週間が経過し、ペシュト県については、18 日から他の地方と同じ扱いで緩和することを決定 ( 具体的な措置は次の項をご参照ください )。
ブダペスト市についても緩和開始を決定。ただし、一足飛びに他の地方と同じレベルの緩和にするのではなく、「 いつも2週間遅れで地方の後を追う 」としました。( オルバーン首相のFacebookでの発表より ) つまり、まずは地方で 5 月 4 日から始まった措置を適用することになります。
具体的には主に、次のようになります。( 政令全文はこちら )
- 店舗は時間制限なく開店可能
- レストラン、カフェは屋外のテラスや庭のみで飲食可
- 公園、児童公園、オープンエア美術館、動物園の開園は可
- 屋外ビーチもオープン可 ( 温泉施設の屋外プールなどを指します )
- 大学は、学校長の判断で、キャンパス入構可能
- 家族内の結婚式、葬儀、教会の礼拝など可
※これまでの「 食料品買い出しなど正当な理由がない限り外出禁止 」という規則はなくなりますが、いずれの場所についてもソーシャルディスタンス確保が義務付けられます。また、店舗ではマスク着用をどうぞお忘れなく。
6 月 15 日から、結婚式、披露宴、葬儀は参加者 200 人までであれば可能に。
( 追記:ブダペスト市も 5 月 29 日から地方と同じように、レストランなどでは店内の飲食可能になりました。また、ホテルなどの宿泊施設も営業可能です。)
地方の追加緩和措置
地方 ( ペシュト県含む ) では、5 月 18 日から次のように緩和されます。( 政令全文はこちら )
- レストラン、カフェ、ケーキ屋、ビュッフェなどは、店内での飲食も可能
- 屋外の児童公園、公園も訪問可
- ホテル、ペンションなど宿泊施設もオープン可
6 月 1 日から、結婚式、披露宴、葬儀は参加者 200 人までであれば可能に。
その他
- 学校 ( 小学校、高校 ) は、少なくとも 6 月 2 日まで登校禁止 ( オンライン授業の継続 )
- 幼稚園、保育園の預かり保育拡大 ( 大半が地方自治体が運営しているため、実際は自治体の判断になる。)
- 子ども向け夏のキャンプは実施可能。寝泊まりを伴うものについては、今後衛生条件について決定する
- 指定公道での無料の路上駐車は継続
日本人ビジネス関係者は入国制限免除対象
並行して、ハンガリー政府は 5 月 13 日、日本人ビジネス関係者を入国制限の対象外 ( つまり、例外扱いで入国許可 ) することを決定しました。政令は直ちに発布され、14 日に施行になっています。( 全文はこちらから )
今回の決定に関して、スィーヤールトー外務貿易大臣は、「 ハンガリー国内操業の日系企業は 170 社、国内では 3.5 万人のハンガリー人を雇用しており、国の経済には欠かせない役割を果たしているため 」と説明。茂木外務大臣にもその旨、伝えました。
入国制限の免除対象には、次の条件が課されています。
● 入国はビジネス目的であること
● グループ会社間の移動であること ( 例として、日本の親企業が幹部や社員をハンガリー子会社に派遣する場合 )
また、以下の文書等を提示する必要があります。
● 日本国籍のパスポート
● グループに属すハンガリー系列会社が発行する招聘状 (meghívólevel / 英invitation letter )
● ハンガリーに入国する日本人ビジネスパーソンが、ハンガリー系列会社に属すことを証明する登記簿抄本 ( cégkivonata / 英company extract ) もしくは声明 ( nyilatkozata / 英 statement )。もしくは、日本人ビジネスパーソンがグループ内外国企業に属すことを証明する登記簿抄本または声明。
加えて、当該外国企業が、ホスト側となるハンガリー企業と同じグループ内であることを証明する文書。
◎ 上記の条件を満たす日本人ビジネス関係者は、入国時のコロナ検査は免除。陰性証明書も不要です。さらに、入国後の14日間の自己隔離義務も免除になっています。
◎ あくまでもビジネス関係者が対象であり、帯同家族は含まれません。また、留学生も対象外です。
招聘状や声明に記載すべき事項は具体的に決まっています。実際の渡航にあたっては、事前に、在日本ハンガリー大使館やハンガリー警察等の公的機関へ必ずお問い合わせいただきますようお願いいたします。
政令81/2020号全文
制限緩和の背景
ハンガリー政府は 5 月 4 日から、コロナ防疫は「 第 2 段階 」、つまり市民生活と経済活動の再開に入ったとし、まず地方で制限措置の緩和を開始しました。
対して、ブダペスト市とペシュト県については、感染者の 7 割超を占めているという理由で、それまでの制限措置を継続。
専門家の予想通り、国内の感染状況はピークを過ぎ、1 日あたりの感染確認数、死者数は減少傾向に。一方で回復者数は増加しています。その結果、アクティブ感染者数 ( 現在の感染者数 ) は低下を続けています。
また、ブダペスト市とペシュト県でも1 日当たりの感染確認数、死者数は、順調に減少傾向に。特に、ペシュト県は他の県とあまり変わらないということで、政府はまず、同県を「 地方と同様の扱い 」にすることを決定しました。
ブダペスト市に関しては、緩和する条件は揃ったものの、人口密度が高いことから失敗すれば立て直すのが困難という考えから、政府は足踏み。最後の最後まで決断を下すことを伸ばしていました。
今回も、緩和はするものの、2 週間遅れで地方の後追うという慎重な決定に至りました。
専門家らは、今後夏に向けて流行する可能性は低いという見方。ただし、流行のリスクは常にあるとしています。
また、秋以降に第 2 波がやってくる恐れも指摘。そのためには引き続き、マスクや対人距離、手洗い徹底など市民 1 人 1 人の行動が非常に大事と訴えています。
※ 非常事態宣言は継続中です。