ハンガリーでは 21 日、新型コロナウイルス感染症 ( COVID-19 ) の感染確認数が 100 人を超えました。今後も増加は確実です。
当地滞在中の外国人も、他人事ではすまされない状況。「 ハンガリー暮らしの健康手帖 」では、予防や政府の勧告、さらに感染が疑われた場合にどうすればよいのかという点からまとめました。
( すべての情報は 2020 年 3 月 22 日 11 時 40 分現在です。)
もくじ
感染状況
まず、ハンガリーの現在の感染状況がどの程度かについて。
3 月 4 日に初めて感染者が確認されて以来、増加し続けています。そのスピードも上がっています。
● 感染確認数 131 人 ( 21日から+28人)
( イラン 10 人、英国 2 人、カザフスタン 1 人、ベトナム人 1 人、ハンガリー 117 人 )
● 回復数 16 人
● 死亡者 6 人
( すべてハンガリー人、高齢者もしくは慢性疾患を持っていた患者 )
● 病院での強制検疫下 115 人
● 検査数 4443 件
ハンガリーの確認数は、イタリアやスペインなどと比較すればまだ少ないです。
しかし対策本部は、ハンガリーは感染拡大の 3 段階 ( ① 個別レベル、② グループレベル*、③ 集団マス感染 ) のうち、17 日午後には第 2 段階に入ったとしています。( * クラスターとも呼ばれています。)
そして、既に国内のどこの地域でも感染はありうると警告。
今後は、他の欧州各国のように ③ の集団感染への移行が回避できないだろうという見方を示しています。
今は、「 移行への速度 」をいかに遅くするかが課題。あまりの急増となれば、患者を受け入れきれず、医療体制の崩壊になる恐れがあるからです。
そうしたことから、政府は移動や生活に厳しい制限措置を導入。
また、次のように予防を呼び掛け、拡大防止のための勧告を行っています。
予防・感染拡大防止のポイント
基本は手洗い、挨拶の際も注意
予防については、ハンガリー対策本部もとにかく
石鹸を使って手洗い・手洗い・手洗い!
「 何度手を洗っても、洗いすぎということはない 」と言っています。
そして「 正しく 」洗うことが大事。
対策本部による「 正しい手洗い方法 」動画 ( ハンガリー語がわからなくてもぜひご覧ください! 泡立てはすればするほど良く、蛇口を閉めるときもペーパータオルで!)
手指消毒剤については、2 月下旬から入手が非常に困難になっています。
ただ、対策本部は、頻回な正しい手洗いで十分予防ができるという考えです。
マスクも薬局やドラッグストアではほとんど入手できない状態。( 街中ではチラホラ見かけるようになりましたが )
これについても対策本部は、マスクは健康な人には基本的に必要ないという見解です。( 26日追記: 対策本部は、安心のために健康な人が着用するのは良いだろうとしながらも、「正しく着用するように」と強調。例としてマスクに触らない、洗ったらすぐに捨て手洗いなど。また、「着用したら感染しないというのは幻想」で、頻回な手洗い、接触を最小限に、他人との間隔を1.5メートル以上あけるといった予防方法を代替するものではないことを肝に銘じてほしい、としました。)
手洗いと同じくらい重要なのことが、「 接触 」を可能な限り少なくすること。
そのため、他人との距離は 1 メートル、できれば 2 メートル は空けるようにと推奨されています。( ソーシャル・ディスタンシング )
また、ハンガリーの挨拶の習慣 ( 握手、ハグ、頬の左右にキス ) はやめましょう、と呼びかけられています。( 関連の動画はこちら とこちら )
*ハンガリー公衆衛生当局による予防 12 点はこちら から。
*その他、既に日本・厚生労働省なども多くの情報を発信していますので、そちらを参照してください。
感染拡大防止のための勧告
ハンガリー政府は厳しい制限措置に加えて、接触を最小限に抑えるための「 勧告」をしています。
これらには法的拘束力はないため、守らなくても罰せられることはないです。
しかし、対策本部は、市民 1 人 1 人が責任と自覚を持ち守ることが集団感染制御へのカギと繰り返し訴えています。
◎ 高齢者( 65 歳以上) は外出しない。
( 高齢者、慢性疾患を持つ人が感染すると重症化するリスクが非常に高いため )
◎ 若い人はパーティをしない。
( 若い人は無症状、軽症の人が多いものの、接触により感染拡大につながるため )
◎ 外国から帰国した人は、自宅で 2 週間の自主的検疫.
( 感染多発国以外からでも自宅待機 )
◎ 可能なら、在宅ワークにする。
ハンガリー政府は 3 月 21 日時点で、外出禁止令や特定の地域での移動制限 ( 事実上の封鎖 ) は導入していません。
ただ繰り返しになりますが、接触を最小限にするため、年齢にかかわらず不要不急の外出はとりやめ、在宅することを勧めています。
なお、対策本部によれば、健康で症状がない人は、屋外でスポーツをしたり散歩したりすることは問題なし。ただしグループでは行わず、1 人か 2 人で。2 人のときは 2 メートル離れるようにとのこと。( 対策本部の 3 月 17 日の記者会見 )
3 月 27 日追記 : 外出制限が発表されました。仕事や食料品や薬の買い物など『正当な理由』以外、外出は原則できません。詳細は、ハンガリー・コロナ情報 4 をご確認ください。
もしや感染 ? のとき
感染が疑われる症状がある場合、また最近渡航歴がある場合、感染確認者との接触があった場合は、まず家庭医などに《 電話 》となります。
公立診療所、国立病院、プライベートクリニックのいずれの場合でも、直接訪れないように。外出自体が厳禁です。
国家健康医療保険に加入している場合
これまでは疑いがあると、家庭医の指示に従い、すぐに病院 ( 南ペシュト中央病院など ) → 検査、病院での検疫・隔離、また濃厚接触者も検疫という手順でした。
しかし今後は、症状がない、もしくは軽い場合は自宅で隔離、療養になるとのこと。
具体的には、以下の手順になります。( 対策本部、3 月 19 日記者会見より )
- 家庭医に電話する。( これは従来と同じ )
- 家庭医が患者に質問し、国家救急サービスに連絡。
- 国家救急サービスが患者の自宅を訪問し検査。採取した検体は、救急サービスが検査機関に運ぶ。患者は自宅に留まる。
- 検査結果は担当当局から家庭医に通知される。陽性反応がでても無症状、または軽い症状であれば、自宅で隔離。病院の検疫下に入る必要はない。しかし、家族に感染しないように隔離しなければならない。
- 症状が重いときや、高リスクグループ ( 高齢者や持病がある場合 ) にあたる人のみ、救急サービスが指定病院に搬送し治療する。( 南ペシュト中央病院の他、各県の病院の感染症科など)
対策本部によると、新たな検査体制は準備中で、3 月 23 日の週から開始見込みです。ただし、検査自体は「 緊急 」でないため、救急サービスが直ちに到着できないことはあるということです。
なお、現在、ハンガリーの公立医療機関では、感染の疑いがあるときにのみ、検査を受けることができます。
4月4日追記:政府対策本部によると、検査需要が急増し、家庭医が指示をしても、現在は平均 2 日待ちになっているとのこと。
国家健康医療保険に加入していない場合
永住者以外 ( 留学生、駐在員および帯同家族 ) のほとんどの方が、ハンガリーの国家健康医療保険には加入していないと思います。
しかしこうした場合の詳細情報は、あいにくほとんどない状況。
基本的に検査や隔離などの手順は、上記の国家保険加入者の場合と同様になると思われます。患者の治療は現在、国の管理下で、そして国立病院で行われており、プライベートのクリニックでは行っていません。
いずれにしても感染が疑われる場合は、かかりつけの医師やクリニックに《 電話 》して相談。そのうえで、医師の指示に従ってください。もしくは、所属先の学校、職場などにご連絡ください。
また、公衆衛生センターでは、市民問い合わせ専用のフリーダイヤルがあります。
06 80 277 456
(英語も可)
情報源 (リンク集 )
公的機関からの情報はこちらをご覧ください。
● ハンガリー公衆衛生センター公式サイト
ハンガリー語 ( 一部英語 )
市民向け問い合わせ ( 無料通話 )
英語も可
06 80 277 455
06 80 277 456
● ブダペスト市ホームページ
● 在ハンガリー日本国大使館ホームページ
( コロナ関連情報ページ )
● 日本 厚生労働省ホームページ
● 日本内閣官房ホームページ
● 日本外務省海外安全ホームページ
● たびレジ ( 外務省 海外安全情報配信サービス ) ホームページ
また、「 ハンガリー暮らしの健康手帖 」では、Twitter、Facebookでも随時、情報を流しています。
● ハンガリー暮らしの健康手帖 Twitter
● ハンガリー暮らしの健康手帖 Facebook
● ハンガリーのニュース Twitter ( 当サイト管理人が運営する別のアカウントです )
*当記事のアイキャッチ画像 ( 手洗いの方法イラスト ) は、ハンガリー公衆衛生センターの公式サイトより。