ハンガリーで運転ができれば、便利なうえに、行動半径も広がります。でも、最低限知っておきたい交通ルールや事情があります。
安全運転のための『 掟 』 後編は、曲がるときのポイント、「 下 」にも注意を払う意味、特殊な天候状況についてお伝えします。
第 3 条 曲がりたい、でも曲がれない
ハンガリーに来て戸惑ったのは、「 曲がりたいところで、なかなか曲がれない! 」ということ。
交通ルールというより、考え方の違いに起因しているよう。全般的に、なるべく車の流れを止めない、渋滞を作らない、信号は最低限で済むように設計されている印象を受けます。
特に、何車線もある幹線道路は、日本と同じ感覚では曲がれないことが多々あります。代表的なパターンを挙げてみましょう。
主要幹線道路では、信号があっても左折禁止が少なくありません。その場合は、「 脇道をぐるりと一周りしてから左折 」と迂回することが多いです。
でも、ここで注意! その脇道に入るには、一番右の車線に入っておく必要があります。
「 左折準備のために左車線に移っていたのに~~! 」と気づいたときはもう遅く、右車線に移動できないことも。
もちろん、手前に道案内の標識は出ています。が、不慣れな場合は、「 ? 」「 ? 」としている間に通り越してしまうことがあるのです。
右折する場合、信号機のある交差点で 90 度に曲がるのではなく、「手前で斜め右に入り右折」というパターンがよくあります。( そのため、信号機まで行ってしまうと、結局右折できなくなることも )
ブダペスト市中心部では一方通行の道路がとても多く、簡単には左折・右折できないところだらけです。
そのため、徒歩で知っていた道をそのまま車で行こうとしてもダメで、大回りしなければならないことがあります。
では、「 曲がり損ね 」はどう防げばよいのでしょうか?
一番良いのは、『 標識確認 』+『 カーナビ使用 』 のセットでしょうか。
あとは、曲がり損ねてもこの世の終わりではないので、少しくらい間違えても大丈夫と大きく構えることも大事と思います!
一方で、追い越すときは自転車でもかならず出します。
いろいろ試して、私が今使っているのは、世界最大カーナビアプリ “ Waze ( ウェイズ ) ” 。スマホに無料ダウンロードでき、周囲のハンガリー人でも利用者は多いです。
Waze は、渋滞、工事、事故状況をリアルタイムに把握したうえで、最適ルートを提示してきます。ここまでは他のナビとあまり変わらないですが、最大の特徴は「 ソーシャル 」面。
Waze 自らが「 ドライバーどうしの助け合いを手助けするナビ 」と謳っているように、利用者間で事故や警察取り締まりなどの情報をやり取りし、質問もできます。運転していると、画面の前後左右のあちこちで、Waze 利用中のクルマが確認できます。
音声ガイダンス日本語はハルカさん。ハンガリー語ならチッラさん、アンドリシュさん、ドーリさんから選べます。 英語はもっとたくさんあります。
難点は、最短ルートや最速ルートを選ぶと、時々ものすごく細い裏道ばかりに誘導されること。気づいたら畑のあぜ道に連れていかれたこともありました。
第 4 条 左右前後だけでなく「 下 」にも注意!
ハンガリーに来たら、「 路面は平ら 」という考えは、まず捨てましょう ( 笑 )
マイナー / メジャー道路に関係なく、舗装に亀裂が走っていたり、陥没していたりします。
特に冬から春先は要注意。温度差のためか、穴が多くなるのです。
そのため、前後左右に加え、「 下 」もチェックすることが大事。
それでも暗すぎたり ( * ) 、スピードを出していると、見落としたり、気づいた時はすでに遅し、、、ガリッとやってしまうことも。
それは、ハンガリー人ドライバーでも同じです。その場でパンクする場合もありますし、翌日になって空気が抜けてしまうこともあります。
高速道路 ( 特に交通量の多い、ウィーン方面への M 1 ) でも穴・亀裂問題は深刻で、証明できれば、国営道路管理会社に賠償請求することもできます。
「 横たわり警察官 」
下に気をつけるべき理由は他にもあり、その一つはハンプ。
通学路、住宅街などで強制的に減速させるのが目的で、形状は、コブや細い線状の突起などいろいろ。
ハンガリー語では fekvőrendőr = 横たわっている警察官、もしくは bukkanó と言います。
ハンプは通常、標識が手前に出てきます。それに気づかず減速せず通り越すと、ボコンボコンと衝撃が。乗っている人にも車にもよくないので、気をつけてください。
第 5 条 『 雨氷 』のときは運転しない
大雪や濃霧、嵐など悪天候時には、運転しないのが賢明です。
中でも声を大にして 「 危険! 運転しないでください! 」と呼びかけたいのは、「 雨氷 ( うひょう ) 」。
雨氷 ( ónos eső ) のことは、ハンガリーに来て初めて知りました。
日本ではほとんどお目にかからない現象ですが、この国では稀ではありません。気温が 0 度前後の時に起こりやすく、霧雨のような冷たい雨が、道路や木などに付着したとたんに凍り付くものです。
つまり、路面には薄氷が張られて、スケートリンク状態に。
雨だから大丈夫、と甘く見たらとんでもないことになりかねません。雪よりもたちが悪く、本当に怖いです。
冬タイヤをつけていても何の役にも立たず、ハンドルもブレーキも、「 まったく 」思い通りになりません。
こういう時は、事故のニュースも増えます。 雨氷になりそうな場合、国内ではテレビやラジオ、ネットで盛んに注意が呼びかけられるので、“ 乗らない ” に限るでしょう。歩く場合も、十分気をつけてください。
全国気象サービスの予報はこちらから。
何年か前のこと。カーブや坂の多い郊外の道路を運転中、雨氷が始まり大変な目に遭いました。夕方で既に暗く、霧も出ている状態。視界も悪く、最悪でした。
雨氷は無慈悲にもしとしと降り続け、どの車も運転制御が不可能に。カタツムリの歩みでしか進めません。
時々、前方の車がズルズルと右や左にずれて、必死に戻そうとしているのが見えました。( こういう時は、急にハンドルを回したり、ブレーキを強く踏んだりするのは厳禁。ハンドルは、ゆっくりゆっくり操作、そしてブレーキは必要な時だけ「 そっと 」するしかありません。)
「 もう運転したくない~~涙 」 心の中では叫んでいましたが、路肩に停車することも叶わず。狭い一本道は、車が数珠繋ぎとなっていたからです。
幸い、事故に遭わずに帰宅できましたが、普段なら 15 分のところ、2 時間以上かかりました。肩はガチガチ、寿命は数年縮んだと思います。こんな思いをするのはもうイヤ ! 冬は注意報を頻繁にチェックし、雨氷の可能性があると予報が出た時点で、もう無理はしないことにしました。
以上、2 回に分けて、最低限知っておいていただきたい情報をまとめました。でも、まだまだ大切なことは沢山。
在ハンガリー日本国大使館が「交通安全の手引き」をまとめていますので、お勧めします。
安全運転で、快適なドライブとなりますように!
☆おまけ☆ T マークのクルマを見つけたら優しくしましょう。