ハンガリーのこだわり・GMOフリー農業


ハンガリーの典型的な食べ物というと、何を思い浮かべますか? 脂たっぷりのベーコンや煮込み料理、そして甘い巨大ケーキ? 残念ながら、健康とは言い難いです。でも、食の安全では、意外なところで、ものすごく強いこだわりがあります。それは GMO ( 遺伝子組み換え ) フリー農業。今回は、国の取り組みについてご紹介します。

憲法で禁止

トウモロコシ畑 ( 飼料用 )。ハンガリーは麦やトウモロコシの生産大国です。Photo by Ako

遺伝子を組み換えた食品が、危険だ、いや安全だ、という議論は今も続いているようです。双方の主張の賛否はさておき、ハンガリーは安全上のリスクから、法律で 」遺伝子組み換え作物を作ることを禁止しています。

過去には、国内で GMO 種子を使ったトウモロコシの栽培が何度か見つかり、数百ヘクタール単位で、「 すべて 」 焼却処分になったほど。

また、2012 年に発効となった基本法 ( 憲法に相当 ) では、その禁止を謳う一文を追加するという徹底ぶり。憲法で GMO 作物栽培を禁止した国は、ハンガリーが初めてでした。

現在も、食品監督局 ( NÉBIH ) は、国内の畑を頻繁に検査しています。また、種子を輸入するには、同局に届け出て検査を受けるよう義務付けられています。

“ GMO 食品フリー ” ではない

ただ、国内で「 GMO 作物は禁止!」と声高に言っていても、それは栽培段階でのこと。「 GMO 食品も販売禁止 」ということではありません。

欧州連合 ( EU ) では、専門機関による安全リスク審査をクリアした、大豆、とうもろこし、菜種など、 5 品目・57 品種の流通販売が可能です。それらから生産された食品や食品添加物、また飼料として使用された動物の肉なども含まれます。ハンガリーも EU 加盟国のため、同様のルールが適用されています。( 参考: Jetro )

では、GMO 食品かどうかは、見分けられるのでしょうか ?

EU では、一部にのみ表示義務があります。GMO 作物 ( とうもろこしや大豆 ) 、それらを原料として生産した食品 ( 大豆油、コーンフレークなど ) が当てはまります。対照的に、GMO 飼料を使った食肉、牛乳、乳製品、卵には表示義務はなしです。

安全アピールにはハンガリアンモチーフ

逆に、GMO を含まない食品は、表示をつけるか、つけないかは全くの任意。現在、EU で統一したルールはありません。積極的に安全と示したい食品メーカーは、” GMO Free “、” OHNE gen (ドイツ語 ) ” などと描いたロゴをつけるのが一般的です。

ハンガリーの場合は、「 GMO mentes ( = GMO フリー ) 」と つけてよいことになっています。

条件は、植物性食品であれば、遺伝子を組み換えた種子、作物を使っていないこと。肉類や卵、乳製品であれば、GMO フリーの飼料で育てられた家畜であること。細かい規定は、2016 年の農業省令で定められています。

農業省はさらに 2018 年 4 月、GMO フリーの目印として、刺繍で有名なマチョー ( Matyó ) のモチーフを採用したと発表。

「 遺伝子組み換えではない 」新マーク。ハンガリー農業省より

ということで、早速、近所のスーパーに行って探してみましたが、見当たりません。下の画像のように、異なるタイプの マークはいろいろ発見したのですが…。

Photo by Ako

どうやら、マチョー・マークは任意であるため、まだ広がってはいないようです。

せっかくの可愛らしいモチーフなので、ぜひ増えてほしいと思います !

ABOUTこの記事をかいた人

鷲尾亜子

1997年よりハンガリー在住。日本とハンガリーでの新聞記者の経験を活かし、現在、Twitter では「 ハンガリーのニュース 」、また政治経済ニュースレター「 ハンガリー経済情報 」( 有料 ) を配信中。