ハンガリーでは例年、 10 月下旬には予防ワクチンの接種が可能になります。
ただ、受けるべきかどうか、 迷う方もいるかもしれませんね。
国家医療保険に加入していれば、接種費用はゼロ ( ただし、予防ワクチン自体の料金は支払う必要があります )。また、接種が推奨されるリスクグループに属す人の場合、ワクチン自体も支払う必要はありません。
接種推奨対象になる場合、またワクチンにまつわる誤解、接種方法などお伝えします。
もくじ
接種すべき人、無料で受けられる人
ハンガリーの国家公衆衛生医薬センター (NNGYK) (NNGYK、 旧 NNK ) は、インフルエンザの予防接種を幅広く呼び掛けています。
なかでも、次の人々には強く推奨。
✔ 慢性疾患を抱える人の一部
( 喘息など呼吸器系の病気、糖尿病、心臓や腎臓、肝臓などの病気 )
✔ 妊婦
これらの人々は、感染すると重篤化しうる「 リスクグループ 」です。
そのため、国家医療健康保険に加入している場合、自己負担ゼロで予防接種が可能となっています。
ハンガリーでインフルエンザ患者数がピークに達するのは毎年 1 月。
予防接種をするならば 11 月には終わらせておくのが理想です。免疫体制が整うまでには注射をしてから 2 ~ 3 週間かかるためです。
読者体験談 ~ 妊婦さん編 ~ 2022 年 10 月 28 日追記
追記: 2022 年 11 月 2 日 妊婦さん用のワクチンについて
家庭医に通常配布されるワクチンは「 3Fluart 」という種類。説明書では、妊娠中や授乳中の女性の使用も可となっています。ただし家庭医によって賛否両論あるようです。
ある家庭医では妊婦さんも接種可であっても、別の家庭医では推奨しないため接種できない場合があります。接種の判断は家庭医によりまちまち。3Fluart を接種してもらえない場合、Vaxigrip Tetra ( 保険適用外のため有料 ) を代替として勧めています。
そのため、S さんのようなパターンでインフルエンザワクチンを打つ妊婦さんが多くなっているようです。
よくある誤解
この時期になると、インフルエンザワクチン接種にまつわる「 よくある誤解 」をテーマにした記事をハンガリー国内でも見かけます。
先日も紹介されていたので、抜粋してお届けしましょう。
その 1 : 妊娠中のため、予防接種はしないです
答え: 妊娠中は薬をできる限り避けることが多いので、ワクチンも敬遠しがち。しかし実際は、妊婦さんがインフルエンザにかかると、高齢者がかかるように肺炎や入院治療を要するなど重症化するリスクがあるのです。
ワクチンが胎児の成長などに悪い影響を与えることは基本的にないと考えられています。
一方で、赤ちゃんが生まれてから 6 か月は、お母さんからの免疫が残っているため、インフルエンザにはかかりにくいと言われています。
その 2 : 予防接種自体で病気になるので、打ちたくないです
答え: 接種後に発熱したり体調が悪くなったりする場合があります。でもこれは、想定内の反応。その間、体は抗体をつくるために働いています。
インフルエンザワクチンは「 不活化ワクチン ( * ) 」のため、接種してインフルエンザに罹ることはありません。
( * 不活化ワクチンとは、抵抗力をつけるのに必要な成分を、殺したウィルスや細菌から取り出してワクチン化したもの。生きたウィルスや最近の毒性を弱めて作る「生ワクチン」とは違い、既に死んでしまった菌を入れることになります。)
もっとも抗体ができあがる間に、インフルエンザに感染してしまうということはあるそうです。
その 3 : 予防接種は効果がないので、受ける必要はないと思います
答え: ワクチンを接種しても、菌が体内に入ることを避けられるわけではないそうです。
ただ、適切な免疫体制が整えられていれば、体内に入ってきても戦えるため、症状が出ない、もしくは、仮に出ても軽めですむとのこと。
また、自分だけのことではなく、自分がかからないことで家族に移さないことも大事。
特に、免疫が作りづらい小さなお子さんや、症状が重くなりうるお年寄り、慢性疾患の方が家族にいる場合は、自分がリスクグループに属していなくても接種した方が安心とされています。
※ 子どもの場合は、生後 6 か月から接種可能です。特に保育園、幼稚園など人が集まるところに頻繁に行く子どもには勧められています。小児家庭医とご相談ください。
接種方法
国家医療保険に加入している場合は、
家庭医 ( háziorvos ) を訪問
( 事前に必ず電話で問い合わせ、予約を取ってください。)
↓
ワクチン処方箋を受け取る
↓
薬局でワクチン購入
↓
家庭医診療所に戻り打ってもらう。打つのは家庭医ではなくアシスタントの看護師や保健婦であることも多いです。
という方法が一般的。
※ 家庭医診療所にワクチンが置いてある場合もあります。
一般の方の場合、ワクチン自体の価格は 数千フォリント。注射を打つための費用はかかりません。( 2024 年冬時点 )
私立クリニックや予防接種センターでも接種は可能。その場でワクチンを出してもらえるため、薬局との往復の手間は省けます。
費用はワクチン料金と接種料金込みで 10 000 ~ 15 000 Ft 程度。ですが、その他に初診料やコンサル料金がかかる場合がほとんどなので、事前に確認しておくことをお勧めします。また、ワクチンは”3Fluart”の方が安く、”Vaxigrip Tetra”の方が高いです。
*Ft = ハンガリーフォリント 100 Ft = 約 40 円、 2024年 10 月現在
こんな場合は受けないように !
・接種当日に発熱している場合
・なんらかの重い急性の病気にかかっている場合
・卵に対する重度のアレルギーがある場合 ( 医師に相談してください )
どうぞお気をつけて、冬をお迎えください。次回は、ハンガリー人がよく服用 ( 愛用 ? ) している処方箋なしで買える総合感冒薬について。日本とはかなり違います ‼ お楽しみに。
ワンポイント ハンガリー語
・インフルエンザ influenza
・インフルエンザ予防接種 influenza elleni oltás
・注射 oltás
・ワクチン vakcina
・免疫体制 immurendszer
まず家庭医に電話で相談、予約。アシスタントの方が対応し、処方箋を持って薬局へいかなくても診察所にワクチンはあるので直接来るように言われました。
意外にスムーズなんだ ? と思いながら、朝の診察時間に行きました。すると、診察所に置いてあるワクチンは妊婦さんも OK かどうか確認してくるとのこと。
結果、現場にあったワクチンは妊婦には ✖ のもの。インフルエンザワクチンと一口に言っても、種類があるようです。
処方箋をもらって、下写真のワクチンを薬局へ買いに行きました。
Photo by S さん
ですが、ここでまた問題発生。薬局に行き、Taj kártya ( ハンガリー国家社会保険証 ) を見せたところ、「 6060 Ft です 」と言われたのです。
私は「 妊婦さんは無料じゃないのですか? 」と質問しましたが、医師に聞くようにと言われる始末。確認を取ったところ無料じゃないと言われてしまいました。
ハンガリー語を話せますが抗議するのは難しく、素早いワクチン接種を最優先し、購入しました。
制度が変わったのか、もしくは私の対応をした方々がご存じないだけなのかはわからず、当サイト管理人さんに報告することに。やはり 2022 年の Nemzeti Népegészségügyi Központ ( 国立公衆衛生センター ) の公的文書の 21 ページ目 にも無料と書いているよう。
ワクチンの種類により無料でなかったのかは確認ができていませんが……
本来払わなくても良いものなら、他の妊婦の方は無料で受けれたらいいなと思い、皆さんに私の体験を共有しますね。