もうすぐ思春期に入るブラニョさんの息子さん。1 型糖尿病と付き合いながら、これから自分でしていかなければならないこともあります。
一方で、思春期に血糖値がどう動くのかも気になるところ。そして、それよりもっと心配なことも…。連載第 5 回は、息子さんの今の状況、それに対するブラニョさんの気持ちを綴っていただきました。
いつかは 1 人で
前回の記事では、息子が 1 人でできるようになったことを書きましたが、これから、というものもあります。
その 1 つは、インスリンポンプのチューブ ( カニューレ ) を皮下に入れること。これには針を刺すことが必要です。
通常は 2 ~ 3 日に 1 度の頻度で刺し替え。でも、血糖値が高い時はその限りではありません。『 息子と 1 型糖尿病 ( 3 ) 』でご紹介したように値がうまくコントロールできないのには様々な原因が考えられます。
例えば、チューブの刺し位置が良くないこと。その他、なんらかの拍子にチューブが取れてしまうこともあります。
現在、刺し替えできるのは私か夫だけ。息子 1 人では対応しきれません。
そのため 1 人での外泊はまだなし。学校の 2 泊 3 日の林間学校には、私が付き添いで毎年行っています。
同じように 1 型糖尿病の息子さんを持つ友人の話では、12 歳のときに自分でチューブ刺し替えも始めたそうです。
私の息子は 11 歳なので、もうそろそろですね。できるようになれば行動の自由も広がります。
本人もいつかは自分で、とわかっているようです。
ただ、今のところ怖い方が先に立ち、尻込み状態。そのため私も無理強いはやめています。
「 何歳から 」と決まっているものでもなく、「 自分でやってみよう 」という気持ちが出てくるときが適齢期。それまで見守るつもりです。
キャンプの影響
少し期待しているのは、1 型糖尿病患者のキャンプへの参加。
そこで他の大きな子どもたちのインスリンポンプのチューブ刺し替えなどを見ることで、自分も試してみようかなという「 きっかけ 」になるかもしれません。
ハンガリーでは 1 型糖尿病患者の子どもたち向けの夏のキャンプが幾つかあり、医師や看護師が付き添います。
1 週間の滞在の間には、糖尿病についての勉強をクイズ形式で行うことも。
でもそれ以外は、泳ぎに行ったり、工作したり、遊んだりと、他のキャンプとほとんど違いはありません。
ただ、他の糖尿病患者からの影響にはいろいろあります。
例えば、血糖値を測る前、息子はいつもコットンに消毒液をつけて拭いてから行うのですが、他の子は「 舐めて終わり 」というケースも多々あり。まさに「 良くも悪くも 」いろいろな影響が ( 笑 ) 。
それでも、同じ 1 型糖尿病の子どもたちが寝食を共にするのは意義あることと考えています。
思春期の心配ごと
これから思春期に入る息子。
思春期 ( 第 2 次性徴期 ) に入るとホルモンのバランスが急激に変化、移行していくことはご存知と思います。
血糖値を正常にコントロールするインスリンもホルモンの 1 つ。そのため、今後、血糖値も大いに影響を受けそうです。
聞いたり読んだりする限り、今まで確立してきた自己管理方法が効かなくなり、新たな調整が必要になるとのこと。
ただ、現時点で予測するのは不可能。
そのため、コントロールは引き続き心がけますが、自分の手に負えない部分もあると腹をくくっているところもあります。
実は、それよりも心配なのは忘れ物。
思春期になると注意散漫になり忘れ物が増えるとも言います。 1 型糖尿病の息子さんを持つ友人も、それが悩みの種と。
私の息子の場合も、数か月前の遠足のときにしてしまいました。
血糖値測定のための一式の 1 つである「 血糖値測定センサー 」が足りなくなっているのに気づかないまま、家を出てしまったのです。
普段は、なくなりそうになったら自分で補充するよう言っています。でも、チェックすること自体が、頭から抜け落ちてしまったよう。
そのため、当日に連絡を受け、私が慌てて持っていくという事態に。
帰宅後、つい怒ってしまいましたが、こういうものは怒ったからといって効果を発揮するものでもありません。
忘れ物がないか頻繁に聞くべきなのか、本人任せにするか、最近はジレンマです。
前者を選べば自己管理の芽をつまんでしまう。
でも後者にすると、忘れてしまったとき、場合によっては命の危険にもつながりかねない。
年齢が上がれば、また違った悩みも出てくるものですね。
次回 ( 6 ) は、主治医を変えた経緯。3 つのモヤモヤが原因でした。同じ病気でも、医師によって対応の仕方は異なります。