息子と 1 型糖尿病( 6 )主治医の変更

ブラニョさんは、息子さんの発症から 6 年後、主治医を変えました。それは「モヤモヤした気持ちを抱えていたから」。

専門が同じでも、医師によってアプローチ方法は変わります。また患者や家族への接し方も千差万別。

どのような病気でも医師との関係はとても大事ですが、病気が長引けばなおさらのこと。今回は新しい先生に変えた経緯について綴りました。

3 つのストレス

息子が 1 型糖尿病と診断されてから 10 年半経ちました。

この 9 月からは 8 年制の高校に通うことに ( 日本では 5 年生に相当 )。

新たな授業スケジュールに新たな食事時間、とまた調整が少し必要になりますが、今のところ元気に通っています !

最初の主治医は、ブダペスト市内のこども病院に緊急入院して以来、小学校入学までずっと同じ。国内でもよく知られた、大変権威のある先生でした。

赤ちゃんの時からということもあり、息子のことはとても可愛がってくれていました。クリスマスカードに息子の写真を添えて送ると、病室にかならず飾ってくれていたほど。

研究一筋で厳しい先生でしたが、私のことも「 食事管理がきちんとしている 」と褒めてくれていました。

その一方で、私は、年々ストレスを溜めることに。それには 3 つの理由がありました。

1 つは、意思疎通がうまくいかなったこと。

私が疑問に思っていること、知りたいことに対して、なかなか答えが返ってこなかったのです。

例を 1 つ挙げましょう。インスリンポンプのチューブを刺しこんだところが水泳中に取れやすいと相談したときのこと。「 取れないコツ 」を教えてもらえると期待していたのですが、返ってきた答えは、

「 水泳選手になるわけじゃないんだから ! 」でした。

万事がこのような感じ。私は次第に尋ねる気をなくしていきました。

2 つめは、病気へのアプローチ方法が、食事管理中心だったこと。

3 か月毎の定期検診では、毎回、炭水化物の摂取量を記した食事の記録を見せることになっていました。

びっちり記録していた頃。 Photo by ブラニョ

これについては後で改めて述べますが、実は最後の 2 年くらいは、いちいち細かく記録はつけていませんでした。

診察日が近づくと、先生に見せる 3 日分だけ「 いちゃもんをつけられないような内容 」を書いて提出。もちろん、後ろめたい気持ちはありました。

3 つめは、時間にルーズだったこと。

検診で予約を入れても、2 時間遅れるのは当たり前。

加えて、私たちの診察時に1 時間も世間話をするような先生でした ( 外ではまだ待っている親子がいるのに! ) 。

幼稚園の頃はまだ自由になる時間も多いのですが、小学生ではそうノンビリもしていられません。どうにかならないものかという思いが募っていきました。

新しい先生との出会い

こうしたことから、小学校入学前に主治医を変えることを決心。周囲に聞き始めました。

その時、たまたま息子がかかった小児科の耳鼻科の医師が、「 良い先生がいる 」と紹介してくれたのが今の先生です。

早速、私と夫、息子の 3 人で会いに行き、この先生なら信頼してやっていけそうと直感。その日のうちに移ると決めました。

一番大きな違いは、治療へのアプローチ。

新しい先生は、「 食事の記録を見せる必要はありません 」と。これは驚きでした。

見せるのは血糖値のデータのみ。( インスリンポンプが炭水化物摂取量とインスリン注入量、その後の血糖値の動きを記録しているため、そのデータを自動送信。)

インスリンポンプをパソコンにつなぐと、血糖値データを画面上で確認できます。これを先生に送信。 Photo by ブラニョ

実はこの先生、過去に、私たちの主治医だった大先生のもとで働いていたことがありました。

その時、お母さんたちが提出する記録について、「 本当のことは書いていない、取り繕っているだけ 」と見抜いていたと言うのです。( 取り繕っていたのは、私だけではありませんでした!笑 )

インスリンポンプには予めプログラムを設定してあるので、あとは炭水化物摂取量を入力すれば自動的にインスリン注入量を調整してくれます。

そのため、「 炭水化物の量自体を神経質にコントロールする必要はない 」とのこと。

特に成長期にある子どもの場合は、厳しい管理で常に制限するよりは、生活の質を優先させた方が精神的にも良いという考え方でした。

もう 1 つの決め手は、私の経験を尊重し、信頼してくれたこと。

毎日休みなく子どもの様子を見ているのは母親です。

したがって、子どもの様子、つまり「 こうしたらああなるだろう 」ということを経験値で一番知っているのも母親。3 か月に 1 度しか会わない医師ではありません。

血糖値が目標幅にうまく収まりきらないときも、新先生が私に言うのは、あくまでも「 こうしたらどうだろう 」という『 提案 』

前の先生は、「 こうしなさい 」という『 命令 』。そして、「 あれもダメ 、 これもダメ 」とダメ尽くしでした。

最後に、時間にはとてもきちんとしていて、それは今も変わらず。定期検診は毎回時間通りに始まり、10 分で終わります。ハンガリーでは珍しいタイプかもしれません !

モヤモヤしたら

何もしなければ何も変わりません。 Photo by Ako

この病気へのアプローチは、「 炭水化物の摂取量重視 」と「 生活の質重視 」と両方あるようです。

最近は後者の方が一般的になっているような印象。私は医師でも研究者でもないので、どちらが優れていると判断するつもりはありません。

また、患者や家族への接し方も、私には今の先生が合っていますが、中には、具体的に細かく指示を受けたいという人もいるでしょう。

世間話も、先生との関係が円滑になると考える人がいてもおかしくはありません。究極的には相性の問題と思います。

でも、モヤモヤしているなら、じっとしていないで行動した方が良いです。

私はもっと早く、主治医を変えれば良かったと思っています。

他の医師に直接会って、まずは話してみることが大事。

その結果、より良い先生に出会えるかもしれないし、逆に「 結局どこも同じ 」となるかもしれません。

また、もしかして、「 今の先生の方が良い 」と認識を改めることもあるでしょう。

いずれにしても自分や大切な家族の健康のこと。信頼できる医師と出会えるのが一番ですね !

次回は、ハンガリーの保険事情について。あまり良いことを聞かないハンガリーの公的医療サービスですが、実際のところはどうでしょうか。

息子と 1 型糖尿病( 6 )主治医の変更

2018.09.05
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ABOUTこの記事をかいた人

ブラニョ

ハンガリー在住 20 年。ハンガリー人夫と娘、息子、3 歳の犬とブダペスト郊外で暮らしています。料理と読書が大好きで、最近はハンガリー語の本にも挑戦中。