ハンガリーの公立保育園、幼稚園に入りたい場合は、一体いつ、何から始めればいいのでしょうか。
今回は、現地在住のお母さんたちにお話を伺いました。日本での保活と類似する点、異なる点があるようです。
もくじ
保育園と幼稚園、どちらに入園?
制度の違い
最初に知っておくべき日本との大きな制度の違いは、ハンガリーでは保育園と幼稚園は別物だということです。
保育園 = Bölcsőde ( 通称、Bölcsi / ブルチ ) ➞ 生後 5 か月~ 3 歳
幼稚園= Óvoda ( 通称、Ovi / オヴィ ) ➞ 3 歳以上 ( 2 歳半から可 ) ~ 6、7 歳
日本では、乳児の頃に保育園に入所した場合、小学校にあがるまで過ごすということも多いでしょう。ですが、ハンガリーでは保育園 ( 以下、ブルチ ) では Általános iskola ( 小学校 ) 入学前の子どもは預かってくれないのです。
ブルチはあくまでも「保育」が中心で、 3 歳まで。例えば仕事復帰に合わせて 1 歳で預け始めた場合、そのまま就学直前まで… というわけにはいかず、次の幼稚園 ( 以下、オヴィ ) を探さなければなりません。
オヴィは、小学校以降の学習や生活の基盤をつくるための段階という位置付けで、当地では3歳以上の幼児は原則、入園が義務付けられています ※1
*1当地の教育機関は、他の欧米諸国と同様に 9 月はじまり。8 月 31 日時点で満 3 歳に達している場合、幼稚園入園となります。
外国人の子どもも、滞在許可証に基づいて滞在している場合は、3 歳以上で公立か私立のいずれかの園に入らなければなりません。通園しない場合は、その理由を自治体に説明し、認められる必要があります。
3 歳未満でオヴィ入園を希望することもできますが、 9 月時点で 2.5 歳になっている子に限ります。
この場合は、オムツが外れており、言葉でのコミュニケーションが取れる等の条件を課されることも。また、3 歳以上の子どもの入園が優先。空きがあれば受け入れてもらえる仕組みです。
公立のブルチとオヴィの大半は、別の施設で運営しているため、ブルチを卒園したら通園する場所も変わることになります。
費用は ?
では、費用はいくらかかるのでしょうか?
答えは、公立なら、保育園も幼稚園も基本的に無償。※2
※2 公立保育園の場合でも、一部保育料が発生する所もあります。
保護者が負担しなければならないのは、給食費 ( 朝食・午前の間食・昼食・午後の間食 ) で、 1 か月あたり13,000 Ft 程度 ( 約 4,800 円 ) 。※3 その他、イベントなどの経費がかかることも。幼稚園での任意参加の課外活動は別途参加費が徴収されます。
※3 子どもが 3 人以上の場合、所得が一定以下の場合などは、給食費は 100% 免除されます。( 出典:csalad.hu )
条件
外国人でも公立ブルチ、オヴィへ通うことは可能ですが、以下の条件を満たしている必要があります。( これらはハンガリー人と同じ )
- 原則、幼稚園のある自治体内に住んでいる、もしくは勤務していること ( Lakcímkártya / 住所カード等の提出が求められます )
- 出生証明書を持っていること ( 外国語しかない場合は、ハンガリー語への翻訳が必要です )
- TAJ kártya ( ハンガリー国家保険、健康保険証 ) を持っていること
その他、申請に必要な提出書類や条件は、滞在ステータス等によって異なります。
これらの条件を満たしていれば、地元のブルチには、生後 5 か月以降のベビーから預けることができます。
申込の時期、見学日
いつ頃に入園希望の園を探し、応募するのかというと、一般的には 3 月~ 5 月上旬まで。これは、ブルチもオヴィも同様です。
オヴィの場合は、3 月~ 4 月にかけて、園ごとに Nyílt Nap / Nyílt Napok ( オープンスクールの日 ) を設けていることが多いです。※4 この日に入園希望を出すこともできれば、園の見学日とは別に、指定された期間に ( 5 月上旬頃までに ) 応募しなければならない場合があります。
※4 ブルチの場合は、オープンスクール日を設けていないことがあります。その際は、個別に希望している園に連絡を取り、見学してください。
応募方法は次の3パターンのいずれかになります。
- ブルチ、オヴィがある自治体の役所で希望届を出す ( 幼稚園センターなどが設けられている地域も有り )
- 各ブルチ、各オヴィに直接申し込む
- ①と②の両方で申請する
Beiratkozás ( 入園 ) 申請方法は、各区や市町村により異なりますので、お住いの自治体でご確認ください。
では、現地在住の皆さんは、何を基準にブルチ、オヴィ選びをしているのでしょうか? 今回は、3月中旬に開催された ブダペスト親子交流会に集まった 4 人のお母さんにお話を伺いました。
園選びのポイントは? 経験談を聞いてみました
住所によってオヴィが配分されている学区制のようなものはありますが、そこへ行かなければならないというものでもなく。指定のオヴィであれば優先的に入れてもらえますが、実際に行ってみてみないと娘に合うかどうかもわからないですし。他に気に入った園があれば、指定のオヴィ以外でも応募するつもりです。
園の評判とか雰囲気も重要なんだけれど、見学する時に「先生との相性」を見るのもすごく大事だと思います。どの先生が次の入園者クラスを担当するのかはある程度わかる部分もあるので、確認できる範囲で聞いてみるのもあり。
例えば、うちの子どもには活発な先生が合うのだけれど、同じクラスの子は先生と合わず。寛容な園なので、その子は別のクラスへ移動しました。他のクラスに移動できるならいいのですが、園自体を移動となると大変です。
私の子どもは、今年オヴィに移ってもいいし、ブルチに残ってもいいしというタイミングです。どうするか悩んでいる部分もありますが、下の子どもがブルチに通い始めるのもあって、1 年だけでも一緒に登園してもいいかなと思ったり。一応、オヴィ選びはスタートしています。
私たちが住んでいる区だと、役所のホームページに Youtube が上がっていて、全ての園を動画で紹介しています! ハンガリー語ではあるんだけれど、園の様子や園長先生のコメントなどから、各園の特色なんかもすごくわかりやすくて。
その動画やホームページ上の情報を参考にして、実際に、その園を外から見てみたり。在籍中の子どもたちの保護者の雰囲気や園の周りの様子などもチェックしています。
あと家からどれぐらい離れているか、アクセス面も重要で。私の住んでいる区は広いので、通園にかかる時間も大事かなと。
私の子どもは、今年からブルチへ通うつもりで、先日見学に行ったのですが、こちらの先生はご年配の方が多くないですか⁉ 日本だと保育園や幼稚園の先生は、若いイメージだったので。それも見るポイントだったりしますか?
が、蓋を開けてみれば、 5 時を過ぎて迎えに行くと、娘は一人ぼっち。朝早い子どもたちが集まっている園、遅くまで子どもたちがいる園、 登園から 8 時間以内でしか預からない園など、保育時間にも特徴があるようです。
実際の預かり時間も見学時に確認しておくことをおすすめします。
日本だと、年少、年中、年長組と別れているじゃないですか? それがこちらだと「縦割りクラス」が基本のよう。私たちの区は、年齢でクラスを分けている園が一つしかなくて。だから実は、他区への越境も考えているんです。
逆に今通っているブルチは月齢別ですが、ブルチも異年齢でのクラス編成が多いみたいです。
オヴィだと 3 歳 ~ 6 歳ぐらいの子どもが同じ教室で一緒に活動、となるとできることに差がありすぎる気がして。ブルチの場合は、だいたい 2 歳前後の子が集まっているので、それほどの発育ギャップは感じないと思います。
それにオヴィはブルチよりも教育プログラムも多くなり、劇場へ行ったりと課外活動もありますし。そういう時に異年齢だと関心に差があって当然かなと。異年齢交流は良い面もあるんだけれど、それでクラス編成されるのはどうなのかなと悩んでいます。
オープンスクール日には、各クラスを見学でき、申請時に入りたいクラスの希望も出せる園もあるようです。なので、娘の反応も見ながら決めていこうと思っています。
入園当初、本人は楽しんでいたようだけれど、確かに今だと ( 現在 5 歳 ) 、同じぐらいの年齢の友達と話したり、走り回って遊びたがるので、物足りなくなっていたかもしれないですね。
園選びのポイントまとめ
- 各園のオープンスクール日情報を確認
- 必ず見学に行く、できれば親子で
- 子どもと先生の相性
- 施設内や周辺の環境や雰囲気
- 自宅からのアクセス
- 教育面での特色
- クラス編成の仕方
私の子どもはブルチに在籍中。そして、これからオヴィへ移行する段階です。何を優先して選ぶかを決めるのは、意外と難しいなと感じています。近いのがベストだけれど、候補の中で一番遠い園に惹かれたり。
そのオヴィ自体を気に入っていても、クラスによって雰囲気がかなり違っていることもあります。私たちは、オープンスクール日に子どもを連れて行き、その反応で最終決断をしようと考えています。
言語や文化が違う外国での保活。わからないことも多いかと思いますが、在留邦人の皆さんの経験談が少しでも役立てばと願っています。
土曜日開催、未就学児対象の日本語プログラム
今回は、ブダペスト親子交流会で行われた保護者座談会を取材させていただきました。当会は、2023 年の 2 月上旬に発足したばかり。どんな集まりなのでしょうか?
現在、ハンガリーの公立音楽学校で小中高生を相手にピアノの指導、また伴奏の仕事をしている音楽の先生です。
当会は、日本語を話せる ( 話そうとする ) 子どもたちが、遊びを通して交流する場です。自由に遊ぶだけでなく、参加者みんなで行う親子プログラムも用意しています。例えば、手遊び歌や運動あそびなどです。
ハンガリーの子育て情報が欲しい、日本語で話せるお友達が欲しい、週末に遊びのプログラムが欲しい、いろんな思いをもったご家族に参加してもらい、楽しい時間を一緒に過ごせたらいいなと思っています。
隔週で、土曜日の午前中に開催しています。母親だけでなく、保護者の皆さまはどなたでも大歓迎です。
ルールを守りながら、子どもも大人も気分転換やお友達作りに、ぜひお気軽にご参加くださいね。
▼ブダペスト親子交流会 ( 非営利の会です )
ホームページ:https://kidsmummyjpnbp.wixsite.com/hungary
Facebook : https://www.facebook.com/profile.php?id=100091325706132
Instagram : https://www.instagram.com/bpoyako_koryukai/
開催場所 : Pacsirta mozgás és készségfejlesztő kuckó
住所 : 1091 Budapest, Üllői út 53.b ( Corvin Plaza すぐ )