ハンガリーにおける新型コロナウィルスワクチンの接種が 12 月 26 日、始まりました。どこのワクチンを使うのか、また、どんな順番で行うのか、希望する場合はどうするのかなど、現時点で明らかになっていることをお伝えします。
※在留外国人でハンガリーの社会保険番号を持っていない方も2021年5月4日から接種希望登録が開始になります。
まずは医療従事者から
ハンガリーに 12 月 26 日に届いた新型コロナワクチンは、欧州連合 ( EU ) が初めて販売許可をした米ファイザーと独ビオンテックが開発したものです。
最初は 9750 投与分が配布に。2 回投与が必要なため、4875 人分に相当します。2 度目の接種は 21 日( 3 週間後 ) です。
まずは医師や看護師など医療従事者が対象 (特に集中治療室、救急担当 ) 。その後、高齢者介護施設の職員および入所者、そして基礎疾患があるなどリスクグループに属す人に接種が促されます。
2021 年には、他社が開発しているワクチンも販売承認を得る見込み。十分なワクチンが供給されれば、一般市民の集団接種も開始に。政府の見通しでは、春以降、実現となりそうです。
どの会社のワクチン ?
ハンガリー政府はこれまでに、1750 万回分の供給について契約済みです。いずれも 2 回投与が必要のため、単純計算で 875 万人分に相当します。
- アストラゼネカ・オックスフォード大学開発 ( AstraZeneca、英 )
- ファイザー ( Pfizer 米 )・ビオンテック( BioNTech 独 )
- ヤンセンファーマ ( Janssen Pharmaceutica、米 / Johnson & Johnson 傘下 )
- キュアバック( CureVac、 独 )
- モデルナ ( Moderna、米 )
- サノフィ( Sanofi、仏 )
- ノババックス ( Novavax、米 )
出典:政府コロナ対策本部
政府はその他、ロシア、中国、イスラエルの製薬会社からの調達可能性も同時進行的に進めています。ロシアはスプートニク V で、カーシュレル・ミクローシュ人材相によりますとハンガリー国内で 3000 人が臨床試験に参加見込み。中国は 3 社 ( うち一社は国営中国医薬集団シノファームの模様。その他 2 社は民間 ) と交渉中です。
接種希望者はオンライン登録
ワクチン接種は任意ですが、政府は強く推奨しています。ハンガリーの国家医療保険に加入していれば、接種は無料です 。
また、これまでの発表によりますと、ワクチンの種類も選択可能になるとのこと。
政府は 12 月中旬、ワクチンに関する公式サイトを立ち上げ、接種希望者は登録するよう呼び掛けています。ただし、国家医療保険に加入していないと登録はできませんのでご注意ください。
サイト立ち上げ以来約 2 週間で、 30.7 万人が登録したとのこと。でも、実際の接種は登録順ではないので、ご留意ください。
次に、登録方法をご紹介します。
政府のコロナワクチン公式ホームページを開きます。( ハンガリー語のみ )
❝ REGISZTRALÓK ❞ もしくは ❝ REGISZTRÁCIÓ OLTÁSRA ❞ をクリックする。( どちらも「 登録する 」の意味で、同じページに飛びます )
名前などのデータを入力。完了したら末尾に黄色で REGISZTRALÓK と現れるので、それをクリック。
下のような画面が現れれば終了です。
政府は、この登録は集団接種を迅速に進めるために必要と説明しています。しかし、市民の中には、個人データを収集するのが目的ではと警戒心を抱いている人もいます。
登録は強制ではなく、また登録しなければ接種できないわけでもないようなので ( 少なくとも現在は )、個人の判断でご決定ください。登録後に考えを変えて接種を辞退することも可能です。
接種の流れ、デジタル証明書
政府コロナ対策本部によりますと、実際に接種する際は、最初に問診票に薬アレルギーの有無など記入します。任意であるため接種同意の署名も必要になる予定です。
打つのは右腕・左腕どちらでも可。その後 20 分間は経過観測。
最後に接種証明カードを受け取ります。それに記載されるのは、ワクチンの種類と製造番号、接種者のデータ、2 回目の投与予定日など。オルバーン首相は「 デジタル証明書 」の仕組みも構築中であることを明らかにしています。接種した人、既に感染し回復した人の「 免疫証明書 」になり、EU レベルでの取り組みに沿うものと述べています。
ただ、接種は一部の医療従事者を対象に始まったばかりで、不明なことの方が多い状態です。
例として、一般市民が接種を希望する際は予約をすべきかどうか、家庭医を通すべきなのかなど、まだ発表されていません。
接種場所も、現在指定されているのは、 25 の主要病院のみです。( ブダペストは南ペシュト中央病院、ホンヴェード病院、聖ヤーノシュ病院、センメルヴェイス大学クリニック、コラーニ呼吸器専門病院など。その他、すべての県の中央病院。)
集団接種開始となれば、国内 1.3 万か所で受けられることになる予定ですが、具体的な場所はまだ明らかになっていません。
ハンガリー中央統計局が 12 月第 1 週に実施した意識調査では以下の結果が出ています。
● 接種する:14.9%
● おそらく接種する: 28.3%
● 接種しない:35.6%
● わからない / 回答控える:21.2%
別の民間会社による意識調査では、特に中国製、ロシア製に懐疑的な人が多いことが明らかに。しかし、西側製であっても受け入れ度合いは 4 割以下でした。( 調査は日刊紙 Népszava が Publicus Intézet に委託、12 月 7 日発表 )
政府は、国内で使用するワクチンはすべてハンガリー医薬品規制当局が安全で有効と判断したもののみと強調しています。そのため、安心して大丈夫と訴えていますが、なかなか市民の不安は払しょくしきれていないようです。
接種が勧められない人、副反応
政府コロナ対策本部は、妊娠中の方、また 2 ~ 3 か月後に妊娠を考えている方には接種を勧めていません。
( 3 月 27 日追記 ) 妊娠中の女性は、3 月 27 日から接種最優先となりました。 ( ワクチンの種類はファイザー、モデルナ製のみ ) 。1 回目接種は 12 週以降、2 回目接種は出産後。授乳中の女性は、いつでも接種可能となりました。
また、接種前の問診票の記入内容により、担当者が不可と判断した場合は受けられません。
授乳中の方についての言及はこれまでのところなしです。また、子どもの接種可能年齢についても不明です。 (追記: 現在、接種可能年齢は18歳以上です)
既に新型コロナに感染済みの方は、感染後 3 か月経ってからの接種が勧められています。
国内使用ワクチン第 1 号となったファイザーでは、インフルエンザ予防接種に似た副反応が出る場合があることを、ご留意ください。一番多いのは注射した部位が赤くなる「 発赤 」や腫れ、軽い痛み。また、稀に翌日の軽度の頭痛、発熱、筋肉痛、リンパ節の腫大など。
過去に飲食物に対して重度のアレルギー反応があった人は、注意が必要です。ただし対策本部は、これまでのところ、副反応が出たケースは少なく、また投与後一時的なものであるとしています。 ( 出所: 政府コロナ対策本部公式サイト )
注射を打った後は静かにして過ごす、また負荷のかかる肉体労働はしないように勧められています。
外国人は ?
では、ハンガリー在住で国家医療保険に加入していない外国人が接種を希望する場合はどうなっているのでしょうか? あいにく、これまでのところ政府から発表はありません。
新型コロナワクチン接種体制は、国が一括して管理しています。プライベート・クリニックによる調達は今のところありません。
※民間のNemzetközi Oltóközpont ( 国際予防接種センター ) は 2020 年から独自にワクチンを調達するとし、接種予約を前金とともに受け付けていました。しかし当局から「消費者を惑わす」という理由で何度か行政指導を受け、前金は返還。現在は予約自体を終了しています。( 2021 年 3 月更新 )
今後、判明次第、記事を更新していきます。また、情報を得た方は、管理人までご連絡いただければ幸いです。
参考サイト
政府コロナ対策本部 ( https://koronavirus.gov.hu/ )
政府ワクチン公式サイト ( https://vakcinainfo.gov.hu/ )