ハンガリー在住 3 年目のまじゃおらさん ( 30代、女性 ) は、当地で第 2 子を妊娠、出産しました。その体験談を綴った連載、第 3 回目は、出産直前についてです。出産前にしておく準備、無痛分娩事情など入院に関わる情報もレポートしていきます。
年齢:30 代
保険:ハンガリーの国家医療保険に加入 ( TAJ kártya あり)
在住地:ブダペスト
妊娠、出産経験:日本で有り、ハンガリーでは初
ハンガリー語レベル:初級 ※英語での日常会話は OK
第2子出産年:2023 年
もくじ
出産直前の準備
兄姉がいる場合
上の子がいる&近くに家族や親戚がいない、この2つのキーワードが当てはまる方はまず、出産予定日あたりで子どもを預かってくれる所や人を探してお願いしておくことが重要です。
私の場合、上の子はブルチ ( 保育園 ) に通っていたので、平日の日中の居場所は何とかなりました。ですが、
お迎え時間に陣痛が来たら?
祝日や週末に陣痛が来たら?
私一人で病院に行き出産すれば、父親に上の子は任せられる、と思われるかもしれません。でも外国での出産で、言葉もままならず、私自身の不安が大きすぎて夫の付き添いを必要としていました。
でもそうなると、上の子に付き添ってくれる別の人が必要です。
幸いにも、保育園のママ友家族が出産予定日周辺は、週末含めてスケジュールを空けて対応してくれることになりました。ママ友が仕事等でどうしても駆け付けられない日時を先に聞き、その時は仲良くしているご近所さんにピンチヒッターをお願いしておいたり。
どの日、どの時間に陣痛が来ても大丈夫なように、上の子の安全確保をしました。
実際に本陣痛が来たのは週末の明け方。ママ友がタクシーで飛んできてくれて、上の子のお昼ご飯まで対応してくれました。
ママ友は午後から外せない予定があったため、お昼過ぎにご近所さんとバトンタッチ。午後に夫が病院から自宅に戻るまで、友人たちがリレーを繋いでくれて乗り切ることができました。
病院内のルート確認
私が出産したのは、在留邦人も多いエリア、ブダペスト 12 区にある聖ヤーノシュ病院。ここがまるで迷路のよう。ハンガリーの公立病院は総じて、どの建物も似たような感じで看板も分かりづらいです。
なので、出産時のシュミレーションを事前にしておくことをおすすめします。確認ポイントは
- タクシーや自家用車で来る場合、どこから入れて、どこまで車で行けて、どこに駐車できるのか
- 車両について、日中の入口と夜間の入口はどこなのか ( 特に夜間時の確認は大切です )
- 夜間に陣痛が来た場合、産婦人科病棟の入口はどこなのか ( 夜間は基本的にどこも施錠されています )
特に夜間はいつもと勝手が違います。陣痛がきて余裕がない時でもスムーズにたどり着けるように、事前に確認しておくことを強くお勧めします。
荷物はキャンプ仕様
妊娠後期に入ってから何が起こってもいいように、入院の準備をしてきたわけですが、当日持参の荷物の量がすごいことに。
健診の際に医師から「キャンプのつもりで用意してきてね!笑」と冗談めかした感じの笑顔で言われたのですが、本当に今からバックパッカーでもするかのような格好になりました。
入院に必要なものリストは、ハンガリー暮らしの健康手帖サイトがまとめてくれていたので、それを参考に。
トイレットペーパーや子どものおむつなど、日本では当たり前に病院側が準備しているものはこちらの公立病院ではありません。私は登山リュックで行きましたが、大きなスーツケースで来る人もいるようです。
まさかの当日決まるですって!?
無痛分娩は選べない?
私は無痛分娩を希望していました。そのため、出産する病院での医師の診察の際にそのことを伝えたんです。
そして返ってきた言葉は「無痛分娩にするかどうかは、当日の様子で決まります。なので、到着したらすぐに医師にその希望を伝えてくださいね。」でした。
無痛分娩は計画的にはできないの?と思いましたが、そうするしかないなら、仕方ないです。でも私のハンガリー語レベルで非常事態に「 無痛分娩を! 」と周囲に言い続けるのは難しい気がしました。
どう端的にいえば伝わりますかと聞いてみると、医師から EDA ( エダ ) と言えば、病院の人はみんなわかるからと教えてもらいました。
これは実は、Epidurális érzéstelenítés 硬膜外麻酔のこと。エダというのは専門・業界用語で、いわゆる無痛分娩、和痛分娩を示す言葉として、ハンガリーの医療現場で使われています。
エダなら言えそう!その時が来たら、言い続けようと心に誓いました。
結果的にどうなったかというと、伝わってはいたはずなのですが、無痛分娩にしてもらえませんでした。涙
一生懸命に周りの看護師や医療スタッフに「エダ!エダ!お願い!」と言っていたのですが、医師が状態を確認しに来た時には、もう無痛分娩にする意味はないと判断されてしまったのです。自然分娩でいきますと言われた時は、絶望的でした。苦笑
どういう状態なら無痛分娩 OK と判断されるのか、今後ご希望の方は具体的に医師に聞いておいた方がいいと思います。
追記:
プライベートクリニックならば希望を言えば、追加料金で無痛分娩はできるようです。無痛分娩が絶対条件という場合は、私立の病院の情報も収集されるのが良いと思います。また、何らかの事情がある場合、帝王切開は早い段階から公立病院でも予定を決められます。
プライベートクリニックならば希望を言えば、追加料金で無痛分娩はできるようです。無痛分娩が絶対条件という場合は、私立の病院の情報も収集されるのが良いと思います。また、何らかの事情がある場合、帝王切開は早い段階から公立病院でも予定を決められます。
個室は当日の空き状況次第
聖ヤーノシュ病院で個室を希望する場合、事前に予約はできません。その日に空きがあれば希望者は個室に入れます。事前予約はできないようです。
標準的な相部屋の場合は、国家医療保険内で入院費はカバーされますが、個室の場合は自己負担。
ですが、驚きの事実が判明!
個室の部屋料金は患者が決められるんです!!
どういうこと!? となりますよね。
事情を聞くと、病院自体は国が運営していますが、追加的なサービスにあたる個室は病院が独自に持つ「財団 ( alapítvány )」が運営しているとのことでした。
こうした個室は「財団の部屋 ( alapítványi szoba / アパピートゥヴァーニ・ソバ ) 」※と呼ばれています。
※ ハンガリー語で alapítványi は財団、szoba は部屋の意味。
そのため、宿泊のお金は財団に支払う≒寄付になるという仕組み。
私の担当だった Védőnő ( 保健婦 ) さんに相場を聞いてみると、1 泊 10,000Ft ぐらいじゃないかなとのこと。実際の支払いの際に、支払い記録がちらりと見えたのですが、だいたい 2 泊で 20,000Ft 前後ぐらいじゃないかなという感じでした。
支払いは現金のみで退院時になります。私も相場通りで、2 泊で 20,000 Ft を払いました。
その時に絶対に忘れてはいけないもの
- 両親の身分証明証 ※お父さんも忘れず!
→パスポート、滞在許可証、保険証、住所カード - 身分証明書類のコピー
→これは事前に患者側で用意しておいた方が、スムーズです。 - 母子健康手帳 ( 日本語不可 ) や Várandós gondozási könyv ( 保健婦さんからもらう妊婦手帳 )
- 青ペン
→公式書類を書くのは、ハンガリーでは青ペンです!黒ではダメですよ! - 生まれる子どもの名前
→入院期間中 ( 2泊3日 ) に出生届を出すため、子どもの名前を事前に決めておく必要があります。
よし、これで直前準備は整いました。あとはその時を待つだけです。
次回は出産時に起こったあれこれを綴ります!無痛分娩できず、痛みにもがく私に看護師がしたアドバイスとは。聞くと見るでは大違いの病室事情や退院までの流れをレポートしていきます。