大量のサハラ砂塵、欧州を覆う


日本に飛んでくるのが「 黄砂 」ならば、欧州に飛んでくるのは「 サハラ砂塵 」です。

4 月 20 日頃から欧州南部で確認された砂塵は、過去 10 年で最大級。3 日後にはハンガリー上空も覆いました。サハラの砂塵や、健康への影響、気をつけたいことをお伝えします。( 2019 年 4 月 23 日記 )

サハラの砂塵とは ?

アフリカ北部のサハラ砂漠から、欧州に飛んでくる砂塵。その大きさは直径 0.002 ~ 0.06 ミリと、非常に細かい粒子です。

英語では「 サハランダスト ( Saharan dust ) 」と一般的に呼ばれています。( ハンガリー語では szaharai por )。

 

実のところ、アフリカからは年がら年中、塵はいろいろなところに運ばれているそう。ただ、ヨーロッパに目に見えてわかるほどの量が流れてくるのは、春先から夏にかけてが多くなっています。

2018 年 3 月下旬には、ヨーロッパの広範囲がサハラの砂塵に包まれることに。

私自身も、ブダペストで 2 ~ 3 時間ほど路上駐車しただけで、車のウィンドウが薄っすら覆われたことをよく覚えています。

その他、ギリシャでは空が褐色に染まったり、ロシアの山岳地帯で雪がオレンジ色になったりと、数々の奇怪な現象が報告されました。

天気が悪いからなのか、砂塵が大気に混じっているからか、はたまたその両方か… いずれにしても一日中強風で、空はどんより。4 月 23 日撮影。 Photo by Ako

今回の砂塵は、先週末のイースター 4 連休 ( 4 月 19 日 ~ 22 日 ) の間にヨーロッパに飛来。運んできたのは、地中海で発生した低気圧による強い風です。

最初はスペイン、フランスなどで確認され、22 日には英国やアイルランドにも到達。23 日には、北はノルウェー、また東はハンガリーにも。

砂塵が飛んでくること自体は珍しくはないのですが、今回は数千万トン、「 過去 10 年で最大級 」とされます。ハンガリーでは今後、数日は影響がありそうです。

 

 

呼吸器系疾患のある場合は要注意

サハラの砂塵は、人の体にはどんな影響を与えるのでしょうか?

健康な人には、通常は影響を及ぼさないとされています。そのため、「 家から一歩も出ない!」と戦々恐々状態になる必要はないようです。

ただ、呼吸器系の疾患がある場合は、注意が呼びかけられています。例えば、喘息患者は、息苦しくなったり発作が起きたり、症状が悪化しがちとのこと。

砂塵自体にアレルギーがある場合は、くしゃみ鼻水、目のかゆみの他、頭が重いなどの症状が出る可能性があります。現在、花粉症を抱えている人は、ダブルパンチでつらいかもしれません。

また、屋外で長時間スポーツをすることは控えた方が良さそうです。肌が荒れたり、唇が渇いたり、ということもあるようです。

 

サハラ砂塵の成分
主要成分は、リン、カリウム、カルシウム、鉄などのミネラル。それ自体が有害と言うわけではないようです。

実は、遠く離れた海やアマゾンに運ばれた塵は、海洋生物や動植物の栄養分になっているほど。

一方で、塵の中には微量ながらも胞子、真菌、バクテリア、といったサハラの微生物も含まれています。

最も深刻な問題と考えられているのは、砂塵が飛ばされている最中に、工場や自動車から排出される汚染物質、欧州の農家が使うアンモニア系化学肥料などと混じってしまうこと。これが、大気汚染の一因になっています。

 

 

暮らしで気をつけたいこと

雨に砂塵が混じっているため、泥がはねたような跡が付きます。 Photo by Ako

健康への影響以外には、次のことにご留意ください。

✓ 洗濯ものは部屋干し

✓ 車のフロントガラスなどの砂塵除去は、水による洗い流しで ( 拭き取ろうとすると、砂塵の細かい粒子で傷がついてしまうことがあります!)

✓ その他、砂塵が付着して困るものは家の中に移動、もしくは逆さに ( 庭やテラス用の家具、植木鉢など )

お気をつけてお過ごしください!

ABOUTこの記事をかいた人

鷲尾亜子

1997年よりハンガリー在住。日本とハンガリーでの新聞記者の経験を活かし、現在、Twitter では「 ハンガリーのニュース 」、また政治経済ニュースレター「 ハンガリー経済情報 」( 有料 ) を配信中。