世界一の長寿国日本に比べて、ハンガリーの平均寿命が短いのは想像がつきますが、いったい具体的には何歳なのでしょうか? また、ヨーロッパの中での位置づけは? 数字で見るハンガリーの第 2 回は、平均寿命、そして近年注目される「 健康寿命 」について、お伝えします。
EU の中でも最下位グループ
まず、平均寿命 から。( 出所:欧州統計局 Eurostat )
男性: 72.5 歳
女性: 79.3 歳
日本人の平均寿命は男性 81.09 歳、女性 87.26 歳。( 2017年、 厚生労働省 ) そのため、平均的なハンガリー人は、男女とも、日本人より8 年以上も人生が短いことになります。
ただ、日本は長寿国ランキング 1 位のため、比較の対象が高すぎるかもしれません。そこで、EU 域内で見てみますと、、、
男性: 78.3 歳
女性: 83.5 歳
と、ここでも、ハンガリー人の平均寿命は、EU 平均に達していません。男性は 6 年近く、女性は 4 年ほど短め。
実はハンガリーは、EU の中でも下から 4、5 番目なのです。下の図は、緑が濃いほど長寿、逆に黄色が薄いほど寿命が短いことを示します。ここでわかるのは、寿命に関しては「 西高東低 」の傾向があること。ハンガリーなど中東欧は平均より短くなっています。
図 EU 加盟国やその他欧州、周辺国の平均寿命 男性 ( 2017 年 )
図:EU 加盟国やその他欧州、周辺国の平均寿命 女性 ( 2017 年 )
EU 平均に追いつけない訳
ハンガリー人の平均寿命は、過去 10 年で男性は 3 年近く、また女性は 1.5 年延びており、これは歓迎すべき傾向です。
ただ、EU 平均も伸びているため、その差は縮められないまま。
これについて、EU の報告書 ( * ) は、ハンガリー人の生活習慣が一番のリスク要因になっていると指摘しています。具体的には、食生活から来る肥満の多さ、喫煙率やアルコール消費量の高さ、一方で運動不足を挙げています。
( ” State of Health in the EU Hungary ” EU加盟国の健康状況 国別報告書「ハンガリー」)
報告書によると、
✓ 5 人に 1 人が肥満
✓ 4 人に 1 人が毎日喫煙 ( EU の中では 3 番目に高い )
✓ 年間平均アルコール消費量は 10.9 リットル ( EU 平均より 10 %多い )
特に 深刻な懸念材料として挙げているのは、15 歳のティーンエージャーでも喫煙、飲酒が多いこと。
この歳で定期的に喫煙しているのは 20 % ( EU 平均は 14 % )。一方、既に何度か飲酒したと回答している15 歳は 38 % ( EU 平均は 25 % )。
EU 平均も結構高いので驚きましたが、ハンガリーはさらにその上を行きます。確かに、私の元同僚のヘビースモーカーは、15 歳の時には毎日吸っていたと言っていました。「 非行 」に走っていたわけでもなく、周りが普通に吸っていたのが始まりだったそうです。
もう一つ、問題とされているのは、国内の健康格差。ブダペストや地方都市、教育水準が高いほど、余命は長くなっています。一方、地方の村在住で教育水準が低い場合は、喫煙率やアルコール消費量が全国平均より高く、余命が短い傾向があります。両者間の平均寿命の差は実に 9 年にもなるのです。
健康寿命は?
最後に、ハンガリーの平均「 健康寿命 」も見てみましょう。
「 健康寿命 」とは、健康な生活を送れる期間。より正確には、日常的また継続的な医療や介護に依存しないで、自分の心身で生命を維持し、自立した生活ができる期間を表します。
近年は「 健康寿命 」が、注目されるようになっています。平均寿命が延びることが、国民の健康状態がよくなっているとは限らないからです。「 寿命 」のうち、健康である期間をなるべく高めることが大事とされます。
男性: 59.5 歳 ( 63.5 歳 )
女性: 60.2 歳 ( 64.2 歳 )
ここでもやはり、EU 平均とは 4 年ほどのギャップあり。ただし、順位で見ると、最下位グループではなく、「中の下」くらいです。
一方、日本は、男性 72.14 歳、女性 74.79 歳でした。
私の夫はハンガリー人のため、書きながらすっかりうなだれてしまいました。ただし、これはあくまでも統計的な「 平均 」。ハンガリー人すべてが遺伝的にこうなると決まっているわけではありません !!
食生活やタバコ・酒、そして運動は、本来は自分で ( もしくは家族がチェックして ) コントロール可能なもののはず。その点においてはハンガリーでも日本でも変わりません。適切な情報をもとに、なるべく健康な生活が送れますよう願っています。