ハンガリーの公的医療サービスは、国家保険に入っていれば基本的には無料です。外国人でも加入は可能。ただ、現地雇用されているか、「永住許可証」を持っているかなどで、保険料負担が大きく変わります。制度の概要と、外国人が知っておくとよい情報をまとめました。
保険制度の仕組み
まず、ハンガリーの制度そのものを見ていきましょう。
加入すると、NEAK から健康保険証 ( TAJ kártya、タイ・カールチャ ) が交付されます。そこに記載される 9 ケタの数が、保険番号 ( TAJ szám、タイ・サーム ) です。
保険料をきちんと納付していれば、基本的な公的サービスは自己負担ゼロ。風邪での受診はもちろんのこと、例えば、骨折や胆石の手術も支払いなしです! また、保険は、医薬品の一部にも適用されています。
ハンガリー国内の企業等で雇用されている場合は、給与から天引き。( 2018 年は、給与の 7 % 分 ) 個人事業主の場合も納付は義務です。
ハンガリーでは専業主婦/主夫で被保険者に扶養されていても、自動的に保険給付の対象にはなりません。自分で支払う必要があります。保険料は、2018 年は 7,320 Ft / 月。( 約 3,200 円 )
例として、以下の場合に支払いが免除されます。
・18歳未満の子ども
・大学などのフルタイム学生
・国から出産前後の手当、出産後育児手当の給付を受けている場合 ( 出産前に勤労経験があり保険料納付実績があることなどが条件 )
「無料」というと大変聞こえは良いですが、その反面、待ち時間が長い、設備が古いなど欠点もあります。
また、医師に往診など便宜を図ってもらうときや、手術をするときには、非公式に「謝礼金」を渡す習慣があります。
さらに、公的保険は、基本的に私的医療機関では使えませんのでご注意ください。
外国人が加入する場合
では、外国人の場合はどうするのでしょうか。
在留邦人で国家保険に入っているのは、主に企業・組織の現地採用職員、自営業者、ハンガリー人と結婚している長期滞在の方々です。( 駐在員や帯同家族、留学生は、民間保険に入り私的クリニックを利用する方がほとんど。)
現地雇用の場合は、雇用者が加入のための必要な手続きを行ってくれます。保険料は、ハンガリー人労働者と同様に給与から7%天引。
一方、国際結婚で就労していない場合は、自分で地域の NEAK 窓口に赴き、個別に手続きをする必要があります。
保険料は、上記の配偶者の項と同様に、夫もしくは妻がハンガリー人被保険者であっても自動的には免除にはなりません。
納付は毎月もしくは年間一括で。最低滞在年数の要件は特にありませんが、気をつけたいのは、外国人は当地での滞在の法的ステータス ( 滞在許可か、永住許可 ) により以下のように額が大きく異なることです。( EU 市民の場合などは別規定あり。)
※追記 滞在年数について: ハンガリー人男性と結婚している日本人女性が事務所窓口に赴いたところ、加入には最低 1 年の滞在が必要と伝えられたとのこと。制度は頻繁に変わり、また窓口の担当者によって対応が違うということも聞きます。当サイトではなるべく正確な情報をお伝えできるよう努めていますが、詳細については実際に移民局に赴きお尋ねください。( 2018 年 9 月 5 日 )
未就労 外国人の保険料 ( 2018年 )
a ) 滞在許可証の場合 ( tartózkodási engedély / residence permit )
18歳以上成人: 69,000 Ft / 月
18歳未満: 41,400 Ft / 月
ハンガリー国内大学などのフルタイム留学生: 41,400 Ft / 月
— 金額は、毎年の法定最低賃金に連動し上がります。成人は最低賃金の50%、18歳未満、留学生は30%相当。
b ) 永住許可証の場合 ( letelepedési engedél / permanent residence permit )
7,320Ft/月 (244Ft/日)
— 金額は、毎年上がります。( 追記 2020年の最低賃金は161,000Ft/月 。30%は 48,300Ft。永住権保有者の月当たり納付額は7,710Ftになっています。)
永住許可証保有者は「内国人」とみなされるため、ハンガリー人の専業主婦、主夫と同じ扱いになります。
まとめたのが下表です。( 現地雇用されていない場合 )
最後に
以上、外国人でも国家保険に加入できることをご紹介しました。ただ、婚姻の場合でも、移住年数が浅く未就労であれば負担は重くなるのが現状です。
そのため、日本やハンガリー国内で入れる民間保険の料金、サービス内容と比較しながらのご検討をお勧めします。なお、国家保険に加入していない外国人が公的サービスを受ける際は、全額自己負担となります。