ハンガリーで猫と楽しく暮らす


ハンガリー在住歴 22 年の Picur7 さん。その生活の半分以上をネコちゃんたちとともに過ごしています。今回は、そんな Picur7 さんの所へ 2020 年 11 月にやってきた仔猫タロウについて。保護猫だったタロウとの出会いや当地の猫保護団体、動物病院やペットショップ事情を綴ってもらいます。

保護猫との出会い

保護猫団体ボランティアの Mónika さん ( 左 ) とタロウ  Photo by Picur7

タロウはうちの隣の廃墟となっていたアパートの裏庭で 6 匹の兄弟ともに生まれました。私がタロウの里親になったきっかけは、たまたま裏道で猫に餌をあげていた女性 Mónika さんに声をかけたことから始まります。

当時、隣の裏庭に時々やってくる野良猫 4 匹くらい ? がいたのですが、その猫たちが春に 3 匹、秋に 6 匹の赤ちゃん ( タロウの兄弟 ) を出産。その仔たちを救助しにやってきたのが Mónika さんです。彼女はハンガリーの猫保護団体でボランティアとして働いています。

この Mónika さんと親しくなり、ハンガリー人の夫と共に、生まれたばかりの赤ちゃん猫の救助をしているうちに、うちでも一匹を家族として迎え入れたいと思うようになりました。

Photo by Picur7

その生まれた仔猫たちの中で体が一回り小さかったのが、タロウでした。その時はラスタヘアーのように毛が絡まり臭く、骨と皮だけのような状態でした。が、私自身が一目惚れ。既に飼っている先住ネコとの相性も悪くはなさそうだと直感的に感じ、この仔を引き取りたいと申し出ました。

Mónika さん所属の保護団体からタロウを譲渡してもらうための条件は、

  1. ボランティアさんが里親になる人の家へ行く
  2. どんな家に住んでいるか ( 猫にとって良い環境か ) 、スタッフが実際に見て確認
  3. 他にも猫がいる場合は、相性がいいか、別々の部屋で様子を見られるかもチェック ( 例 : 我が家に10 年目の先住ネコがいたので、まず 1 週間くらい一緒に過ごして様子を見てもらいました )
  4. 猫の場合は一生涯、家の中で育てられるかどうか ( 安全性の為 )、 去勢手術や避妊手術を必ず行えるかどうかなど飼い主候補者にヒヤリング ( 偽りがあれば譲渡はされません )

などがあり、これらの手順を踏んで、引き取ることができるかどうか判断されました。保護された動物たちの安全性幸せに一生涯受け入れてもらえるのかをきちんと調べてから譲渡するためだそうです。

こうしてタロウは、保護団体がノミ・ダニの駆除をしてから、私たち家族の仲間入りをすることに。

タロウを我が家に迎えるために行ったこと

ブダペスト 1 区の動物病院 Photo by Picur7

引っ越しをしたので、まずは近所で評判のよさそうな動物病院をネット調べ。それから実際歩いて病院の前まで行き、人の出入りも見てみました。

訪ねてみると、とても感じのいい先生。詳しくタロウの状態を説明してくれました。8 区に住んでいた時は、別の病院の獣医さんにも本当にお世話になり、こちらも安心して任せられました。

日本で猫を飼ったことはありませんので比較は難しいですが、ハンガリーの動物病院事情はとても良いです

動物病院や動物薬局で提示する予防接種手帳 Photo by Picur7

感染症の検査や混合ワクチン接種*、駆虫薬 ( 虫下し ) を病院でしてもらいました。かかった費用は合計で 1 万フォリントほど ( 約 3,590 円 ) だったと思います。

* 予防接種には Feligen CRP を使用。ネコカリシウイルスや猫ウイルス性鼻気管炎、汎白血球減少症によって引き起こされる疾患を予防するためのワクチンです。

そして今月 2 月中旬 ( 生後 5 か月目 ) に去勢手術、マイクロチップの装着をしました。去勢手術の際は全身麻酔なので、同時にマイクロチップもつけることが多いそう。マイクロチップは、海外にペットと出国する際の動物検疫にも必要なもの。飼い主の名前や住所、電話番号、国コードが記録されています*

*住所や電話番号が変われば無料で変えられます。

去勢手術は、生まれてからおおよそ 4、5 か月でできるそうです。予約してから 1 週間ほどで手術してもらえました。

施術当日は朝から水を飲ませない、ご飯もなし。タロウを病院に預けて私は帰宅しました。手術時間は 20 分くらいだったようです。ですが、すぐに帰れるわけではなく、麻酔が切れた後の様子を見るために 2 時間ほど待機。問題がなかったので、その後に病院から電話があり、引き取りにいきました。料金は、17,000 フォリント程 ( 約 6,100 円 ) でした。

先住ネコのリリー ( 左 ) とタロウ ( 右 ) Photo by Picur7

今では、元気いっぱい飛び回っているタロウ。はじめは大人しい性格の先住ネコと仲良くなれるのか、少し心配でしたが、今はもう大丈夫そうです。

猫や犬を売っているペットショップはない

夫と私、そしてタロウ   写真提供 : Picur7

ハンガリーでは日本のペットショップのように犬猫の生体販売をすることはありません

飼いたい種類のブリーダーさんを探す方もいますが、当地では、友達や知り合いから譲ってもらったり、SNS やネット上の里親募集広告を見るのが主流なよう。春と秋になると、仔猫が生まれたのでもらってくれる人を探しているといった話がよく出ます。

私がたまたま声をかけたボランティア Mónika さんが所属している MAVED ( Magyar Macskavedo Kozhasznu Alapitvany / 非営利団体 ) は、当地でよく知られている猫を専門に扱う保護団体です。

MAVEDとのやりとりは、基本的にはハンガリー語になりますが、ご関心のある方は連絡を取ってみてはいかがでしょうか。

先住ネコ  リリー ( 左 ) とタロウ ( 右 )  画像出典 : Instagram @happynekochan7

ですが、里親になると決めたら、動物たちを健康に最期まで楽しく過ごさせてあげる決意をもってください。病気になったら病院に連れて行ったりと、いろいろお金もかかり大変かもしれません。それでも、私はそれ以上にネコちゃん達から癒しをもらっています。家族となったネコ達と毎日笑顔になる生活が共にできるのは嬉しいかぎりです。

( *Ft = ハンガリーフォリント、100 Ft ≒ 36 円、2021 年 4 月上旬現在 )

ハンガリー暮らしの健康手帖では、読者の皆様の体験談をお待ちしております!自分の経験が誰かにとって価値ある情報になるかもしれません。海外暮らしに役立つ知恵をぜひ当サイトお問合せからご投稿ください☆

ABOUTこの記事をかいた人

武田友里

日本ハンガリーメディアート在籍の撮影コーディネーター ( Production Coordinator ) です。神戸大学を卒業後、映画などのロケ地として人気になっているブダペストの大学院でメディアの世界に飛び込みました。現在は、マルチリンガルを活かして、ハンガリーを拠点に中欧・東欧諸国での取材・撮影で走り回っています。